9日、7年ぶりに日本を訪問したアンゲラ・メルケル ドイツ首相(60)は日本社会に二つの重たい話題を投げかけた。 一つは周辺国と真の和解を成し遂げるためには、日本が歴史的誤りを直視しなければならないということであり、他の一つは脱核に向けた堅固な信念だった。
メルケル首相が日本を訪問したのは、6月に開かれる主要7カ国(G7)会議の議長国であるドイツの首相として、同じ参加国の日本の安倍晋三首相に会い、現在の国際社会の最も緊急な安保懸案であるウクライナ事態について日本と意見を交換して協力を要請するためだった。そのためメルケル首相はこの日午前、朝日新聞社主催で開かれた講演会でウクライナ事態など最近不安定化した世界秩序に言及して「ドイツと日本は自由で規範によって支えられる世界秩序の中でグローバルな責任を担当するパートナー」と語るなど、世界秩序維持のために日本のより多い寄与を要請した。
しかし、その後の質疑応答では、歴史問題などに対する刺々しい質問が出てくると返事を避けようとしなかった。 彼女は「ナチによるホロコースト(ユダヤ人虐殺)の歴史を負っているドイツは、第2次世界大戦以後に過去を直視することで国際社会に受け入れられた」と答え、安倍首相と首脳会談をした後に開いた共同記者会見では「過去の清算は(戦争加害国と被害国間の)和解のための前提」だとして「ドイツが第2次大戦の誤りを整理できたので後日ヨーロッパは統合できた」と強調した。
メルケル首相のこの日の発言は、安倍首相が8月に出そうとする「安倍談話」で、1995年の村山談話の主要な表現である「植民支配と侵略に対する反省と謝罪」という字句を除く意思を明らかにした状況から出たものであるため、海外の主要メディアの大きな関心を集めた。メルケル首相は婉曲な表現を使いはしたが、日本に「歴史を直視して、過去を整理しなさい」と公開助言した形になったためだ。 メルケル首相のこの日の発言は、慰安婦問題などに対する加害と被害の歴史を区別しなかったウェンディ・シャーマン米国務部政務次官の先月27日の発言とも顕著な認識の差を見せた。
さらにメルケル首相が強調したのは“脱核”に対する明確なメッセージだった。彼女は「私は永く平和的核利用を支持してきた。 しかし驚くべき技術水準を持つ日本で事故が起きた後、(原子力発電には)本当に予想できない危険があるということを理解した」と話した。ドイツが2022年から原子力発電所に依存しない脱核の道を進むことを選択することになった直接的原因が、福島原子力発電所事故であることを明確にしたわけだ。 彼女は訪日直前に公開した映像メッセージでも「福島の経験から言えることは、安全が最優先ということだ。 日本と共にこの道を進まなければならないと信じる」と話した。
そのような関心を反映したように、この日朝7時頃に羽田空港に到着したメルケル首相が初めて訪問したところも東京江東区の日本科学未来館だった。 ここでメルケル首相は自由自在に曲げられる有機太陽電池を見た後、研究担当者に「これは今使われているのか」と尋ねるなど日本の再生可能エネルギー産業に強い関心を見せた。
メルケル首相は10日には岡田克也民主党代表などと会談した後、1泊2日の訪問日程を終える。