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[インタビュー]膨張する中国を自制させる軍事的均衡の維持が重要

登録:2015-04-27 08:14 修正:2015-04-27 10:49
渡部恒雄・東京財団上席研究員
渡部恒雄・東京財団上席研究員//ハンギョレ新聞社

安倍首相の「地域と和解」は米国を意識
消極的でなければいいと考えている

 日本の敗戦70周年と重なる安倍晋三首相の米国訪問に関し、日本でも様々な議論がされている。渡部恒雄・東京財団上席研究員は「日米同盟の強化は、中国が1920~1930年代の日本のように力で現状を変更する失敗を経験させる代わりに、平和的に地域との関係を結ぶことを望む意図がある」と述べた。渡部氏は米国のシンクタンク、戦略国際問題研究所(CSIS)に勤務した経験がある日本の代表する米国通であり、日米同盟に対する日本の主流の意見を代弁する。

-今回の安倍首相の訪米の主要な目標が日米同盟のグローバル化にあるとの評価が多い。

 「日米防衛協力指針(ガイドライン)の改正を通じ、今までの地域の同盟がグローバル同盟になるということだが、必ずしもそうではない。現在のガイドラインは1992~1993年の第1次北朝鮮核危機を背景に作られたものだ。普通の数々の国家が米国と協力できるなかで、日本は憲法の制約があってできないものがある。『だったら現在の憲法下でできることをしよう』いうのが今のガイドラインだ。しかし、この18年間、国際環境は大きく変わり、それに合わせガイドラインを改訂しようとするものだ。重要な変化は、中国の台頭にあるが、依然としてもっとも備えが必要なのは北朝鮮だ」

-米日同盟が強化される背景には、米国の相対的衰退と中国の浮上という変化がある。

 「日本は米国が衰退するとは考えていない。しかし、中東情勢は整理されておらず、イスラム国(IS)問題もある。米国が今までのようにすべての事案に関わるのが難しくなっている。であるなら、同盟国である日本、韓国、オーストラリアなどが、この地域の安全保障問題でもっと大きな役割を担い、相互運用能力を高めようというものだ」

-日本は日米同盟の強化を通じ、中国とどのような関係を形成しようとしているのか。

 「中国は台頭している大国だ。1920年代や1930年代の日本が経験した失敗から分かるように、力が増す国は自らを自制しにくい。軍事的な均衡をある程度維持し、中国が力に依存する行動をするのが賢明な政策でないことを理解するようにするのが重要だ。しかし、こうした点だけ強調すれば、中国の疑心が深まり、かえって緊張が高まる可能性がある。したがって地域で様々な安全保障の枠組みを作り、その中に中国も参加できるものを作りながら協力していかなければならない」

-安倍政権の歴史認識問題はどうなるのか。

 「安倍首相はワシントン・ポスト紙とのインタビュー(3月27日付)で『河野談話と村山談話を維持する』と述べた。これを変えたら韓中の反発もあるが、米国、特に米議会を敵に回すことになる。しかし、率直に言って(安倍政権は)米国や欧州などの人々から見て、安倍政権が極端的な右派政権ではなく 地域との和解に消極的でなければいいと考えているようだ。だが、韓国が憂慮するように、日本が過去の反省を覆すという懸念される事態にはならないだろう」

 「日本が集団的自衛権を行使するのは、日米同盟がうまく機能するようにするためのものだ。日米同盟が弱体化すれば、朝鮮半島の不安定が高まり、中国に対する抑止力も弱くなる。そうなれば日本も抑制的な防衛政策を放棄し、核を含めた軍備競争に乗り出すかもしれない。日本はそのような状況を望まないから日米同盟を維持しようとしている。強化された日米同盟は韓国にも利益になる」

東京/文・写真 キル・ユンヒョン特派員(お問い合わせ japan@hani.co.kr )

韓国語原文入力:2015-04-26 21:38

https://www.hani.co.kr/arti/international/japan/688568.html 訳Y.B

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