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[寄稿]敗戦日本、70年ぶりに立ち上がるのか

登録:2015-04-27 09:13 修正:2015-04-27 10:36

 「ソ連に騙されるな。米国を信用するな。日本が立ち上がる。朝鮮に用心しろ」

 1960年代初めまで大人からよく聞かされた話だ。これは第2次大戦敗戦後に撤退する朝鮮総督府が心理戦次元で広めた言葉だった。日本人に対する朝鮮人の報復を防ぐために。ところが光復70年になる今、日本の安倍首相を見ていると、70年前の総督府が広めていった話が種となるような不吉な予感がする。

 昨年7月初め、日本は憲法9条(戦争放棄)に対する“解釈的な改憲”でで日本の海外出兵を合法化した。4月末の安倍訪米の際に日米防衛協力指針(ガイドライン)が改正されれば、これからの日本は同盟国・米国の後方支援の名分の下、集団的自衛権行使の次元で、どこにでも出兵することができるようになる。敗戦国日本が、70年間座っていた足を崩し再び起き上がれるようになるのだ。

 4月第3週の末、ワシントンで日米は「日本の集団的自衛権行使の際は、韓国の主権を尊重する」ことで合意した。しかし、4月末に改定される日米防衛協力指針にはその明文化はしないことにしたという。「韓国の主権尊重」を日米間で言葉では合意し文書化はしない? となると、日本軍の朝鮮半島出兵を日米間では事前合意し、我々(韓国)には出兵直前に「主権尊重」の格好だけを整えて通知(事実上の事後通告)する可能性もある。さて、どうする? 2012年4月17日にもたらされるはずだった戦時作戦統制権を米国に再び任せてしまったので、米国が決定すれば、日本軍の朝鮮半島出兵も受け入れるしかないようになったのだから。

 一方、22日ジャカルタのアジア・アフリカ首脳会議の演説で、安倍首相は「先の戦争について深く反省している」と述べた。しかし、村山談話(1995)や小泉談話(2005)に使われた「侵略」「植民地支配」「痛切な謝罪」などの表現は使わなかった。米下院議員25人が連名書簡を送ったものの、4月29日、安倍首相の米上下両院合同演説の論調自体が変わる可能性は少ない。

 言葉遊び水準の表現の変化は多少あるかもしれない。戦犯の子孫として、安倍首相のアイデンティティと最近の保守化された日本の対外政策の方向性のため、8月に予定された「安倍談話」でも安倍首相は、歴史についての謝罪はしないようだ。むしろオバマ大統領の広島訪問(8月)を契機に、日本も(原爆)被害国であることを浮き彫りにさせながら、「これからは未来をため、手を携えて出ていく」という具合に、過去の歴史に終止符を打とうとしそうだ。

 それでは日本が海外出兵を合法化できるようになった国際政治の背景、過去の歴史について厚顔無恥に突っ張る理由は何か? そして日本のこうした政策に対し米国はな密かに日本寄りの姿勢をとるのか?

 私は米国の対中政策が変わり、韓国に不利な外交環境が造成されていると考える。経済力と軍事力が速いスピードで増大し、中国は「中華復興と中国の夢」の実現を国家目標に掲げ、米国に新たな大国関係を要求した。事実上、米国の東アジアの覇権に挑戦している。この中国を米国は「アジア回帰・アジア再均衡」政策で牽制しようとしているが、力に乏しい。今後10年間、国防費を毎年500億ドルずつ削減していかなければならないほどなのだから。このため、米国は自前の金で軍事力を強化し中国を牽制してくれる同盟国が必要になった。そして日本が適任者に選ばれたのだ。

丁世鉉・平和協力員理事長=元統一部長官//ハンギョレ新聞社

 米国は夷(い)を以(もっ)て夷を制すやり方で中国を牽制しようというわけだが、安倍首相はこれを日本が正常な国家になり、ひいては東アジアでの覇権国家に復活する踏み台にしようとするだろう。中国に「中華復興・中国の夢」があるように、日本も第2次世界大戦敗戦で挫折した「大東亜共栄・日本の夢」をまだ見ているのかもしれない。その野望がなければ、日本が過去の歴史を認めて謝罪することを嫌がる理由などない。そうした点から、右傾化されていく日本の動きの中には「日本の夢」の残影が見え隠れする。韓国の独立70年に敗戦日本は再び立ち上がり、韓国外交の未来はますます厳しくなっていきそうだ。

丁世鉉(チョン・セヒョン)・平和協力員理事長=元統一部長官(お問い合わせ japan@hani.co.kr )

韓国語原文入力:2015-04-26 18:45

https://www.hani.co.kr/arti/opinion/column/688485.html 訳Y.B

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