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[ニュース分析] 軍事的役割拡大させる「安倍日本」は韓国の悩みの種となる

登録:2015-04-27 02:31 修正:2015-04-27 13:44
 日米、地域を超えてグローバル同盟に
 原油輸送路の確保・MD協力の一軸
 自衛隊の活動範囲・軍事力急膨張
 大きく見れば、中国包囲する形
 もしもの時は元も子も失う可能性
1987年以来の日米ミサイル防衛技術の共同研究によるSM-3迎撃ミサイル(左)、2003年に日本が米国のミサイル防衛システムの購入を決定し、現在世界第2位のミサイル防衛能力を構築したパトリオットミサイル(PAC-3、右)は17基ある //ハンギョレ新聞社

 「日本の集団的自衛権の行使などの努力を歓迎する!」

 2年前の2013年10月3日、韓国に「寝耳に水」のような衝撃的なニュースが伝えられた。米国がこの日開催された日米安全保障協議委員会(2+2会議)で「アジア・太平洋地域の変化する安全保障環境に備え、日米同盟の能力を大幅に向上」させるとし、日本の集団的自衛権の行使を公開的に支持したからだ。それまで韓国では、「戦後体制からの脱却」を掲げて歴史修正主義的な動きを見せてきた日本の軍事的役割の拡大を、米国があまり歓迎しないだろうという見方が支配的だった。

在日米軍主要施設 //ハンギョレ新聞社

 日米両国はこの日、「日米同盟の能力向上」の具体的な内容として、日米安保協力指針(ガイドライン)の改定とアジア・太平洋地域およびそれを超える地域の安全保障と防衛協力の拡大などを提示した。日米同盟を朝鮮半島・台湾の有事などに備えた地域同盟から「アジア太平洋地域とそれを超えた」グローバルな同盟に格上げするという宣言だった。米国は1年後には「日米同盟の戦略的目標と利益は完全に一致している。ガイドラインの改定は、米国のアジア太平洋地域の再均衡(リバランス)政策と整合する」と宣言した。これで米国の「アジア再均衡」政策の具体的内容が日米同盟の強化という事実が公式化された。

 日米両国は、同盟の強化を通じて、大きく分けて二つの目的を達成しようとするものと思われる。第一次安倍内閣で官房副長官補を務めた柳沢協二氏はハンギョレとのインタビューで「今回のガイドライン改定の最大の目標は、自衛隊が米国を助けて中東から東アジアに至る『原油輸送路』の安全確保に貢献することだと思われる」と指摘した。 27日に予定通りガイドラインが改定されれば、日本はホルムズ海峡の機雷除去や、この地域で活動する米国、オーストラリア、韓国、場合によってはアセアン(ASEAN)など他国軍を「後方支援」できるようになる。米国は日本に南シナ海の偵察業務も担うように要求している。

 活動の地域的範囲だけでなく、内容も急激に拡大される。これまで日本は、後方支援の範囲を給油、給水、医療支援など非戦闘的な内容に制限してきた。しかし、今後は弾薬補給、発進準備中の戦闘機への給油なども可能になる。こうなると、米海兵隊の垂直離着陸輸送機オスプレイ(MV-22)や2017年に日本に配備される予定の最新鋭ステルス戦闘機F-35B(垂直離着陸用)が日本の超大型護衛艦出雲(排水量1万9500トン)などで弾薬・燃料を普及してもらって出撃できるようになる。この時、ターゲットとなるのは東シナ海と南シナ海での「力による現状変更」を非難されている中国だ。日米両国が軍事的に一体化し、周辺国と一緒に中国を包囲する形を整えていくのだ。

 もう一つは、ミサイル防衛(MD)の協力の強化である。現在、日米はMDを北朝鮮の核・ミサイルの脅威に対する防御策として提示している。ところが、徐々に中国のミサイル攻撃能力を無力化する方向に発展させていくものと予想される。現在、日本はパトリオットミサイル-3(PAC-3)17基とミサイル防衛機器を搭載したイージス艦4隻を購入した、在日米軍はすでに先進的な探知・追跡装置であるXバンドレーダー(AN / TPY-2)2基を青森と京都に配備した。日米は横田空軍基地にミサイル防衛統合運営センターを作って、敵から発射されるミサイルの探知・追跡・迎撃まで合同作戦が可能な体制を整えた状態だ。

米国は日本にXバンドレーダー(AN / TPY-2)2基(2006年青森県津軽、2014年京都校丹後)を配備 //ハンギョレ新聞社
2003年、日本が米国のミサイル防衛システムの購入決定し、現在世界第2位のミサイル防衛能力を構築したイージス・ミサイル防衛駆逐艦。4隻ありさらに4隻を追加購入予定 //ハンギョレ新聞社

 一部の懸念通り、米国の強い統制を受ける日本がかつてのような軍国主義の道を選択する可能性は高くない。また、日米同盟の強化は、北朝鮮に対する抑止力を強化するという意味で、韓国の利益に貢献する側面もある。しかし、韓国の戦略的利害と場合によっては異なる立場をとる日本の軍事的役割の拡大は、韓国にとりこれから悩みの種になる可能性が高い。自分の国の軍隊に対する戦時作戦権すら持っていない韓国が、後方支援を名分に掲げた自衛隊の朝鮮半島上陸を、本当に止められるのか疑わしいとする指摘が後を絶たない。

 日米同盟の次の目標は、韓米日または韓米豪などを包括する「三角」または「多角」同盟の強化だ。米国はすでに昨年12月に韓米日の情報共有契約を押し通し、次のステップに高高度防衛ミサイル(THAAD)の朝鮮半島への配備に向けて圧力をかけている。韓国が熟慮せずに三角同盟に巻き込まれていくと、南北関係の改善と統一、中国との戦略的パートナー関係の深化という韓国外交のもう一つの可能性が、根こそぎ吹き飛ばされる可能性もある。韓国にとっては回復できない国益の損失だ。

東京・ワシントン/キル・ユンヒョン、パク・ヒョン特派員(お問い合わせ japan@hani.co.kr )

韓国語原文入力:2015-04-26 21:31

https://www.hani.co.kr/arti/international/japan/688567.html 訳H.J

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