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慰安婦を「人身売買」と表現した安倍首相の思惑通りの事態に

登録:2015-04-10 00:53 修正:2015-04-10 05:40
 主体言及せず「国の責任」うやむやに
 米国では「強制連行を含む」意味
 ラッセル次官補「肯定的メッセージ」評価
 韓国政府の容認姿勢が問題に
ダニエル・ラッセル米国務部東アジア太平洋次官補 //ハンギョレ新聞社

 日本の安倍晋三首相が日本軍慰安婦被害者に使用した「人身売買」(human trafficking)という表現の趣旨が再び注目を集めている。ダニエル・ラッセル米国国務省次官補が6日、日本のメディアとのインタビューで、安倍首相の発言を「肯定的なメッセージ」と評価したのに続き、韓国政府当局者も8日、ラッセル次官補の評価に対する国内メディアの批判が問題だと述べたからだ。安倍首相が「人身売買」という表現を選択した背景について疑念が持たれる状況で、「慰安婦強制動員=人身売買」という規定自体を韓国政府が容認することになりかねないとの疑問が提起されている。

 安倍首相が「人身売買」という表現を使ったことについては、日本社会でも議論になった。安倍首相が先月27日、米紙ワシントン・ポストとのインタビューで関連発言をした直後、複数の日本のメディアは、安倍首相が英語と日本語のニュアンスの違いなどを利用し、慰安婦強制動員に対する日本政府の責任をうやむやにするため、意図的に「人身売買」という言葉を選んだという分析を出した。 毎日新聞は「『人身売買』との日本語は、民間業者による売買の意味合いが強い。これに対し英語の『トラフィッキング』は(日本政府が否定する)強制連行も含む語感がある」と指摘した。

 日本国内向けには「国家による強制連行は認めない」とこれまでの日本政府の立場を変えずに、米国には強制性の意味が込められた「ヒューマン・トラフィッキング」の表現を通じ、「歴史修正主義者」ととらえようとする世論を和らげようとする意図があったとする解釈だ。安倍首相の周辺人物は、「首相が『人身売買』という表現を公の場で言及したのは初めて」だとし、今回のインタビューの意味を強調している。

 安倍首相がインタビューで人身売買の主体や目的について全く言及しなかった点も、このような解釈を裏付ける。日本軍慰安婦問題に対する国の責任を認めようとしなかった日本政府の基調を維持したのである。むしろ民間業者による行為という意味が強い「人身売買」という表現を使うことで、当時日本軍の指示の下で慰安所の運営を任されていた民間業者に責任を転嫁しようしたのではないかという指摘も出てきた。韓国外交部も「(安倍首相の言及が)慰安婦問題の責任を民間業者に向けさせ、日本政府の関与と責任を否認しようとする意図からだったら、これは慰安婦問題の本質をごまかそうとするもの」だと指摘したが、今回の高位当局者の発言はこれとも相反する。

キム・ウェヒョン記者、東京/キル・ユンヒョン特派員(お問い合わせ japan@hani.co.kr )

韓国語原文入力: 2015-04-09 20:15

https://www.hani.co.kr/arti/politics/diplomacy/686239.html  訳H.J

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