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[ニュース分析] 米国の日本寄り姿勢は韓米日安保協力体制で中国を牽制するため

登録:2015-04-09 00:40 修正:2015-04-09 06:36
 「アジア再均衡」政策の成果に
 韓日間の軋轢が妨げになると判断
日本を訪問したアシュトン・カーター米国防長官が8日、東京の総理官邸で安倍晋三首相との会談に先立ち握手している 東京/APニューシス

 米国が韓日の過去の歴史問題をめぐる対立と関連して「日本への肩入れ」に乗り出したのは、今年に入ってからだ。日本の安倍晋三首相が1月初めに行われた年頭記者会見で、今年8月に発表する「安倍談話」に戦争への反省と今後アジアと世界にどのように貢献するかなどを盛り込むとしたが、米国はこれを建設的な方向だと評価した。最近、安倍首相が米紙ワシントン·ポストとのインタビューで、慰安婦被害者を「人身売買の犠牲者」と表現したことについても、米国は、これには性奴隷も含まれているとし、肯定的に受け入れる雰囲気だ。安倍首相が過去の歴史問題にある程度誠意を示をしているという評価を下しているのである。

 バラク・オバマ米大統領が昨年慰安婦問題について「衝撃的」とまで表現しながら、日本を圧迫していた姿が今年入ってからは見られないのも、こうした理由からだ。むしろウェンディ・シャーマン国務省政務次官やアシュトン・カーター国防長官の発言で示されたように「過去を後にして未来に向かって一緒に行こう」というメッセージを投げかけるのに力を注いでいる。

 このような米国の態度変化の裏には、任期が残り1年9カ月となったオバマ大統領の焦りがあると思われる。オバマ大統領は、主要外交政策である「アジア再均衡」政策を発表してから4年になろうとするのに、目立った成果を挙げられずにいる。軍事・外交・経済の中心をアジアに移すことを意味するこの政策は、実際には浮上する中国を牽制しようとする目的を持っている。この政策は米国への脅威を防止するために、特定の地域で覇権国を容認しないという米国の伝統的対外戦略、「勢力均衡論」につながる。しかし、最近アジアインフラ投資銀行(AIIB)設立の問題でも現れたように、米国はむしろ中国の勢力拡大を牽制することに限界を露呈している。

 東アジア最大の同盟国である韓国と日本が、過去の歴史問題をめぐり数年間も対立を続けていることを、これ以上放置するわけにはいかないとの認識が政府と民間で広がったのは、このような状況にかかわっている。米国は軍事的に韓米日の三角安保協力体制を強化して対中国牽制の橋頭堡にしようとする構想を持っているが、韓日間の軋轢が妨げになっていると見ている。この点で、集団的自衛権の拡大と軍備増強などを通じて、東アジアで米国の確実な「代理人」になる安倍首相の動きを、米国は大歓迎しているのである。

 特に、安倍首相は今月26日、米国を訪問し、米日防衛協力指針改正と環太平洋パートナーシップ協定(TPP)の妥結という戦略的利害関係がかかっている二つの事案について、重要な決定を行うと予想される。防衛協力指針については、両国間の意見調整が終盤に差し掛かっているものと見られる。カーター長官は8日、読売新聞とのインタビューで、「米国は、日本がこの地域と世界の平和と安全に貢献するため、より積極的な役割を果たそうとする努力を歓迎し、支持する」と述べた。ただし、TPP妥結のために日本がどの程度譲歩をするかはまだ不透明だ。日本は昨年4月、オバマ大統領が日本を訪問した際、尖閣諸島(釣魚島)に対する米国の防衛公約を引き出したにもかかわらず、TPPについて米国が求めている対応を見せず、米国を困らせた。

 韓日間の歴史問題は、米国の戦略的利害がかかっているような事案に比べれば、米国にとっては副次的である。米国の主流社会は韓日間の過去の歴史問題は、基本的に自分たちの問題ではないという認識を持っている。米国が1905年、フィリピンの支配を認めてもらう代わりに、日本の大韓帝国支配を認めた桂・タフト協定や独島(日本名・竹島)紛争の火種となった1953年のサンフランシスコ条約を通じて、現在の韓日間の軋轢が生まれるのに深くかかわった事実を知っている米国人は、米国の歴史学者や一部の良心的知識人だけといっても過言ではない。

ワシントン·東京/パク・ヒョン、キル・ユンヒョン特派員(お問い合わせ japan@hani.co.kr )

韓国語原文入力: 2015-04-08 20:36

https://www.hani.co.kr/arti/international/asiapacific/686080.html  訳H.J

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