「朝鮮半島の平和を願い臨津閣(イムジンガク)を出発して全国をU自転車で巡ります」
キム・ヨンサム社団法人光州(クァンジュ)広域市南北交流協議会事務局長(45)は24日、「第1回朝鮮半島U自転車国土大長征」の日程を説明し、こう語った。同協議会は「光州夏季U(ユニバーシアード)大会を朝鮮半島平和の大会に!」というスローガンを掲げ、準備中の今回のイベントに参加する大学生100人を募集する。参加者は6月1日から京畿道坡州(パジュ)市 文山(ムンサン)邑の臨津閣を出発して14泊15日の大長征を始める。光州で開かれる光州夏季ユニバーシアード大会が南北の平和をもたらすように願ってのことだ。彼らは一日平均100キロずつ自転車に乗り、平沢(ピョンテク)→全州(チョンジュ)→光州→済州(チェジュ)→釜山(プサン)→大邱(テグ)→三陟(サムチョク)を経て6月15日に江原道・高城(コソン)の統一展望台に到着する。
25日で開催まで100日となる光州夏季ユニバーシアード大会(以下、光州U大会)が南北和解の糸口となる「平和ユニバーシアード」になれるか注目される。
光州市「単一チーム構成」を政府に建議
スポーツを超える平和の祭典に
統一部の「単一チーム不適切」意見に無念さ
卓球など単一種目だけでも推進
メガイベントにしては低費用高効率
競技場70カ所のうち67カ所を改補修で使用
1300億ウォン軽減…親環境大会へ
光州U大会組織委員会は25日午前10時30分、光州広域市庁前の文化広場で全国巡回広報団出征式を開く。7月3~14日に光州一帯で開かれる光州U大会は世界の約170カ国から約2万の大学生が参加する大規模な国際行事だ。解放・分断70周年を迎える年に現代史の節目ごとに主要な役割を果たした光州で開かれることから、今回の大会は「スポーツを通じて平和のメッセージを世界に広く知らしめることができる機会」として活用しなければならないと指摘される。光州市は3年前から光州U大会が「ピースバシアード」(平和を意味するピースとユニバーシアードの合成語)になるよう努めてきた。
なにより光州市は、大会支援法第33条(2011年9月改正)を推進根拠に、南北単一チームの構成を希望してきた。南北単一チームを組み開閉会式の共同入場と共同応援を繰り広げる場合、平和と和解という大きな響きを世界の人々に伝えることができると考えるためだ。光州U大会に北朝鮮は8種目の選手75人と役員33人など108人を送ることにした。最近10年間に開催された夏季ユニバーシアード大会に北朝鮮が送った平均45人規模の選手団に比べると2倍ほどになる規模だ。6・15共同宣言実践の南側委員会のイ・スンファン共同代表は「北側で大規模選手団を送るのは光州ユニバーシアードを北が重視していることを暗示する。今回の光州ユニバーシアード大会が南北青年の祝典になったらいい」と話した。チョン・ヨンジェ光州市南北単一チーム推進団長も「南北が膠着した局面にあるほど非政治的なスポーツ交流を積極的に活用しなければならない」と話した。
だが、光州市は政府が「南北単一チームの構成は適切でない」という立場を明らかにすると無念さを隠せなかった。一部では南北単一チームの構成は現実的に不可能で、すでに決着した事案だと見做している。このために1~2種目の南北単一チーム構成や北朝鮮応援団訪問などができるかに関心が高まっている。ユン・チャンヒョン光州市長は「南北和解に役立つように少なくとも卓球や女子サッカーのような象徴的な競技だけでも南北単一チームが組まれるのを期待する」と語ったことがある。
光州U大会組織委は朝鮮半島平和のメッセージを盛り込むため白頭山(ペクトゥサン)と無等山(ムドゥンサン)でそれぞれ点火し、京畿道坡州の臨津閣を通して「合火」した後、光州の主競技場から聖火リレーする方向で推進中だ。キ・グァンソ朝鮮大学教授(政治外交学)は「4月末まで予定された韓米連合軍事訓練が終われば硬直した南北の雰囲気も多少和らぐ。北朝鮮応援団が光州に来るだけでも南北和解の雰囲気に役に立つだろう」と話した。統一部当局者は「現在の南北関係と国民感情を考慮すると、南北単一チームの構成は適切でないと判断し検討していない。応援団は参加国である北朝鮮が決める事案であり、今年の場合、応援団は国際関係により入国を許容されるだろう」と明らかにした。
「光州U大会は低費用高効率の大会で、親環境大会(エコバシアード)です」
キム・ユンソク光州U大会事務総長は「光州U大会競技場施設は70カ所のうち国際基準に達しない一部競技場だけ新設し、67の施設を改補修して使う」と述べた。多くの施設をリサイクルし、新築中の競技場は南部大学国際プール、光州女子大学ユニバーシアード体育館、光州国際アーチェリー場など3カ所に過ぎず、真月(チンウォル)国際テニス場では増築工事が進行している。光州U大会組織委は国際大学スポーツ連盟と二度にかけて調整・交渉を行い、当初8171億ウォン(約900億円)だった総事業費規模を6857億ウォン(約750億円、国費負担31.9%)に減らした。光州U大会は昨年初め大統領府で開かれた会議で企画財政部が国際スポーツ行事模範誘致大会事例として紹介したことがあるほどだ。
光州U大会は「文化大会」(カルチャーバシアード)になるとも言われる。大会選手村と競技場近隣の夜市場、錦南(クムナム)路、無等山付近の伝統文化館などでは32の主な文化芸術イベントが繰り広げられる。フォーク音楽祭と路上公演など15の舞台、市立美術館と光州文化財団によるメディアアートフェスティバルとハ・ジョンウン・コレクションなど7つの展示も用意される。各種青年文化イベントと光州水鉄砲祭り(7月11日)、対人芸術夜市場(7月10~11日)に訪ねれば各種の文化体験を楽しむことができる。
文化イベントは7月4~12日に光州5・18民主化運動の主舞台となった錦南路で行われる。特に7月4日夕方7時から翌日まで25時間続けられる文化イベントには「アフターパーティー」まで用意されている。国内外の観光客と韓国にいる外国人留学生など約5000人が交わり」文化を媒介に和合の時間が設けられる。光州市はこの期間に西区楓岩(プンアム)洞の湖水公園近くの生活体育公園の芝生にテント500個を用意して青年が安い値段で利用できるようにする方針だ。光州市青年人材育成課クァク・サンヒ氏(37)は「光州で繰り広げられる文化イベントに世界各地の大学生や青年が一緒になることを願う」と話した。
この他、水泳やバスケットボールなどの競技がある日には、競技場周辺で東洋と西洋の音楽を聞ける多彩な小規模文化イベントも予定されている。7月11日午後7時、ユニバーシアードパーク公演会場とワールドカップ競技場北門では、ジャズ、インディバンド、レゲエなどが聞けるワールドミュージック・フェスティバルが開かれる。また、粉青沙器陶芸体験など全羅南道の文化を広く知らしめることができる場も用意される。
■ 南北スポーツ交流史
1991年にヒョン・ジョンファとリ・ブンヒの「コリア単一チーム」が世界制覇
2007年冬季アジア大会共同入場を最後に交流なし
2012年に封切られた映画『コリア』はコミックと誇張されもしたが、南北の卓球選手たちの個人的な親しさはよく伝わる。監督などコーチ陣も監視員が見えない所では実の兄弟のようになる。分断の痛みを知らない若い世代に南北スポーツ交流を素材にしたこの映画はいかなる統一教科書より効果的だ。
映画の背景となる1991年の日本の千葉世界卓球大会は南北スポーツ交流の最も象徴的な大会だ。韓国のヒョン・ジョンファ、北朝鮮のリ・ブンヒで構成されたコリア単一チームは、団体戦で卓球世界最強の対中国9連敗を阻止して優勝する。異質な選手とコーチ陣が互いに悩み強くなっていく単一チームの劇的な要素は、それ自体が感動だ。
卓球単一チームの構成は一日で成し遂げられたのではない。1963年1月に国際オリンピック委員会は東京オリンピック(64年)での南北単一チームの参加を斡旋し、会議が2回開かれた。失敗に終わったとはいえ、この試みは1990年にソウルと平壌(ピョンヤン)で南北統一サッカー大会を開催につながる背景となる。当時、女子サッカー代表選手として北京アジア競技大会に出場し、直ちに平壌統一サッカー大会に参加したイム・ウンジュ江原(カンウォン)FCサッカーチーム代表理事は、「ずっと反共教育を受けていたので北側の人々は顔つきが違うと思っていたら、まったく同じなのを知って笑ったことがある。北朝鮮の故郷を懐かしがった父が思い出され涙声で話した」と回顧した。統一サッカーを起爆剤として翌年3月に千葉卓球単一チーム、5月にポルトガル世界青少年サッカー単一チームが構成されるなど、南北スポーツ交流は急進展した。
単一チームの構成は容易ではない。韓国が「競技力で選ぼう」とするのに対し北朝鮮は「同数にしよう」と対抗する。政治状況が介入すればさらに混迷する。2000年のシドニーオリンピックの時は単一チームの代わりに南北が朝鮮半島を描いた単一旗を持って開幕式に共同入場した。2002年の釜山アジア競技大会では南北選手団が共同入場し、共に聖火を点火した。同行した北朝鮮応援団は韓服やユニフォーム姿で節度をもって行動し、韓国の観衆の関心を集めた。2003年のユニバーシアード大会、2005年の仁川アジア陸上大会に北朝鮮は応援団を派遣した。国際大会の共同入場は2007年の長春冬季アジア競技大会を最後に消えた。キム・ドンソン京畿大学教授(スポーツ経営学)は「スポーツ交流がすぐに統一にはつながらないが、南北が互いを理解して関係を改善する触媒剤としては最高だ。硬直した関係を和やらげるためにも南北スポーツ交流はやればっやるほどいい」と話した。
韓国語原文入力:2015.03.24 21:14