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韓国与党代表が「北朝鮮を核保有国とみるべき」と発言

登録:2015-03-25 00:15 修正:2015-03-25 07:36
政府も核保有国として認めないのに
「北朝鮮核対応戦略」動揺させる不適切発言
与党代表として初めて「THAAD配備」主張も
金武星セヌリ党代表//ハンギョレ新聞社

 金武星(キム・ムソン)セヌリ党代表が「北朝鮮を核保有国と認められない」という政府と国際社会の立場に反し、24日「北朝鮮を核保有国と見るべきだ」と明らかにして物議をかもした。 金代表はこの日、釜山海洋大学で開かれた「青春舞台・金武星トークショー」で進行者を務めたカン・ヨンソク前議員から高高度防衛ミサイル(THAAD)の朝鮮半島配備問題に関する質問を受けて「この発言は問題発言だが…」と前置きして述べた。

 金代表は「世界的に核実験を二度か三度行えば核保有国と認められることになる」として「北朝鮮が現在も韓国に向かって『核戦争を起こせる』と公然と威嚇している状況で、北朝鮮の核をどのように防御するかが最も重要だ」と述べた。 金代表はさらに「政治・外交的にもこの問題を解決しなければならないが、もしもの場合に備えて防御できる武器システムを備えることは我々の生存権がかかった問題」としてTHAADの配備を主張した。 金代表は「低高度ミサイルでは核爆弾を(防御)できない」として「万一、北朝鮮が打ち上げた時には約150キロ上空で迎撃できる防御システムを整えなければならないということは基本常識」と話した。 金代表がサード配備を公開的に主張したことは今回が初めてだ。

 金代表の発言に対して、与党代表として政府の北朝鮮核に対する外交戦略を動揺させかねない突出発言をしたことは不適切だという指摘が出ている。 ムン・チョンイン延世大学教授は「韓国政府は6カ国協議などを通して北朝鮮に核保有国の地位を持たせない責任がある」として「金代表の発言は率先して北朝鮮に核保有国の地位を認めようという主張と受け取られかねない」と指摘した。 ムン教授は「もし金代表がTHAADの導入を正当化するために北朝鮮の核保有国認定を主張したのなら、これもまた不適切な発言」とし「THAADでは核の使用を防止できないのみならず、核の非拡散体制に基づいた核交渉の枠組みを動揺させ、核軍備競争を呼び起こしかねないという点を見逃した発言」と指摘した。

 北朝鮮は2013年までに3回の核実験を行い、2012年改正憲法序文に核保有国であることを明示するなど、一貫して国際社会で核保有国の地位を確保しようとしている。 しかし、政府と米国などは「北朝鮮を核保有国とは認められない」と明らかにした。 北朝鮮を核保有国として認めれば、韓国はもちろん日本、台湾などで核武装論が起きるなど、核の非拡散体制そのものが動揺しかねないためだ。

 波紋を憂慮したのか金代表の発言直後にカン・ヨンソク前議員は聴衆に「金代表の話は韓国が安保の面で問題が多い状況だということを強調したもので、大韓民国など世界のどこも北朝鮮を核保有国とは認めていない。 誤解のないように望む」と話した。 金代表もこの日のトークショーの後、記者たちに向かって「北朝鮮を核保有国として認めるということではなく、見做す必要があるという意味」だったとして、「核実験を二、三度すれば核保有国と見做す国際慣例にともなう話をしたまで」と話した。

ファン・ジュンボム、ソン・ウォンジェ記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/politics/politics_general/683837.html 韓国語原文入力:2015/03/24 22:17
訳J.S(1555字)

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