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[対談]ブルース・カミングスとパク・ミョンニムが語る戦後70年と北東アジア

登録:2014-10-31 21:22 修正:2014-11-01 17:12
「韓国の産業・国力を考慮すれば戦時作戦統制権の移管延期は理解できない」
ブルース・カミングス米国シカゴ大学客員教授(右側)とパク・ミョンニム延世大学教授が24日午後、ソウル大学教授会館で韓半島統一問題に関して話を交わしている。 タク・キヒョン先任記者//ハンギョレ新聞社

 第2次大戦の砲声は止んだが、植民地と戦争の遺産は依然として朝鮮半島を徘徊している。 日本軍の「慰安婦」問題や、戦時作戦統制権問題のように最近の大きな懸案の根は結局20世紀初中盤の歴史に由来する。 韓国社会科学協議会の招請で訪韓したブルース・カミングス シカゴ大学客員教授と、彼の長年の知己であるパク・ミョンニム延世大学教授が会い、来年の第2次大戦終戦70周年の意味と北東アジアの種々の懸案の連環を探った。 対談は今月25日、ソウル大学湖巌教授会館で行われた。

■対談者略歴

ブルース・カミングス(Bruce Cumings)米国シカゴ大学客員教授は、朝鮮半島近現代史の専門家で、朝鮮戦争に関する記念碑的な著作で『朝鮮戦争の起源』(1981~1990)などを書いた。

パク・ミョンニム延世大学教授は、朝鮮戦争、韓米関係、解放前後の韓国政治などで優れた研究成果を示し、『朝鮮戦争の勃発と起源』(1996)などを書いた。

カミングス教授
安倍内閣に危険性はあるものの
日本国内に反対者が多いので心配はしていない
米国は核を保有した中国との修交で
相互間の戦争を完全に遮断
北の核を解決するには
米国の対北朝鮮関係正常化がカギ

ブルース・カミングス シカゴ大客員教授

パク・ミョンニム(以下、パク):今年と来年は清日戦争120周年、露日戦争110周年だ。 その上、来年は第2次世界大戦終戦70周年だ。 長い歳月が流れたが、東アジアにおける恒久的平和はまだはるかに遠い。この対談を通じて第2次大戦以後の東アジアを省察し、今日と明日を深層展望することを希望する。 先ず、最近議論になっている韓国の戦時作戦統制権移管の再延期、および在韓米軍移転問題から探ってみよう。 主権国家としての安保と意識の対外依存があまりにも激しいからだ。

ブルース・カミングス(以下、カミングス):韓国の発展した産業と国力を考慮すれば、戦時作戦統制権の移管延期は理解できない。 在韓米軍の移転問題も同じだ。 ただし米軍の駐留自体は一般的現象と言える。 米国は第2次大戦後、多くの同盟国家に以前とは次元の異なる安保を提供し、冷戦を経て米国の影響力は一層拡大した。 これは歴史的に類例がない形態の安保依存だったが、(各国の)指導者はこのような構造から抜け出そうとはしなかった。 なぜなら、日本に米軍が仮にいなかったとすれば、実質的な大規模軍隊を持つとして東アジア安保の緊張を呼び起こしただろうし、ドイツでも同じことが起きただろう。 日本とドイツへの米軍駐留は、両国の真の‘過去克服’と‘戦後’を見えないものにした。

パク:冷戦時代、世界には二つの冷戦体制があった。 ヨーロッパには連合国が多者間合意を通じて構築したヤルタ体制があった一方で、東アジアには米国が単独で設定した一般命令1号体制があった。 そして、こちらでは戦犯国家日本の代わりに植民または半植民国家であった韓国、中国、東南アジアが分断された。 韓国戦争以後に続いたサンフランシスコ体制もやはり一般命令1号体制の変形された延長だった。 ヨーロッパのヤルタ体制は崩壊したが、東アジアのサンフランシスコ体制は今も続いている。

カミングス:二つの体制が構築されてドイツは分断された反面、日本は米国が単独占領して分断どころか‘安楽な平和’を与えられた。 ひどい歴史の不正義だった。 米国は日本の真珠湾襲撃と広島・長崎への原子爆弾投下をおあいこと見て幕を引いた。米国は当時、日本を完全に正さなければならないとは考えなかった。 731部隊生体実験のようなおぞましいこともきちんと整理しないまま埋めた。 これは朝鮮戦争とその戦後にも続く問題の種になった。 日本が戦争犯罪に対してどのような代価を払うべきかも、サンフランシスコ講和条約は適切に扱わなかった。 日本軍‘性奴隷’、強制徴用などについても何も要求できなくした。 この点がヨーロッパとは大きく違っていた。 そのうえ、西ドイツは戦争犯罪に対して贖罪するため多くの努力をした。

パク:そうだ。 戦後継続されたアメリカによる日本偏向、日本重視の政策が今日の東アジア葛藤問題の最も重要な原因だ。 ところで、中国革命、朝鮮戦争、ベトナム戦争など世界的な理念対決が、東アジアでは毎回熱戦として爆発したという要因も重要だった。事実、冷戦初期の東アジアは激烈な熱戦地帯だった。

カミングス:同意する。 共産主義と反共主義だけが重要だったその時期、過去の問題には割り込む余地がなかった。このような問題が議論されることを願わなかった韓国と台湾の独裁政権にも一定の責任がある。 戦後40年ほど続いた韓国と台湾の独裁体制が、1980年代末に崩れて実現した民主化は、冷戦の終息と時期的に一致した。 この時から日本に対する過去の問題に対する謝罪要求に火が点いた。

パク:‘日本問題’と呼べる東アジアの過去の問題は、未だ解決の兆しが見られない。 その代わりに、今日東アジアでは強力な民族主義が台頭している。 性奴隷、領土紛争、教科書論議、靖国神社参拝など過去の問題が深刻に拡大している反面、経済的には領域内国家がより一層接近するいわゆる‘アジア パラドックス’も議論されている。 しかし、実際には‘ヨーロッパ パラドックス’はアジアより一層激しかった。 キリスト教、自由、平等、議会民主主義、国際公法体制を発展させてきたヨーロッパでは、二回の残酷な世界大戦、人種主義、全体主義、ホロコーストを含む最もおぞましい反人道主義を露呈した経緯がある。

カミングス:戦争は全てをあからさまにさせる。第2次大戦時期に乱舞した極端主義と葛藤を、ヨーロッパの人々は二度と体験したくないと思った。 それが今日の平和と統合の土台になった。 東アジアで民族主義が台頭することになったのは、米国が日本には‘安楽な平和’を与えた反面、別の国家を分断させたためだ。 第2次大戦以後、韓国と日本に進出した米資本は、1970年代に入りニクソン行政府が関係を結び始めた中国にも踏み台を用意した。 このような形で経済関係が好転しても、安保、過去事、領土紛争などが未解決のまま残るのは予測可能なことだった。 今日、韓国も中国も日本も全てが強い国になった状態で、領土、民族、歴史など第2次大戦の遺産が問題になるのは驚くことではない。

パク:ところで中国の浮上以後、日本は再び米国の安保の傘に回帰して、東アジア国家らと葛藤を起こしている。 独島(ドクト)問題、尖閣/釣魚島問題、解釈改憲、集団自衛権の問題に見るように、長期的に日本要因はまた別の平和威嚇要素として迫ってくる。

カミングス:独裁を経験した人々は独裁を徹底的に嫌う。 必ずしも抵抗しないかもしれないが嫌う。 日本の人々は帝国主義日本が犯したことを嫌っている。 現在の安倍内閣の過去に対する態度もまた、日本の人々は好きでない。 私は安倍内閣について大きな心配はしていない。 日本国内の世論調査を見れば、憲法改正、核武装などに対して友好的でない。 安倍内閣が見せている傾向は危険だが、日本も民主化された国家であるから政治的に限界がある。

パク:では朝鮮半島問題を見よう。 歴史的に見れば、米国はかつて敵対したほとんどすべての国家と一世代以内に外交関係を回復してきた。 ロシア、ドイツ、日本はもちろん、中国、ベトナムともそうだった。 そして、その正常化を通じてアメリカは国益と領域内の安定を得た。 しかし、北朝鮮とは二世代を越えて敵対関係を持続している。 朝鮮半島問題の未解決も、実際は北朝鮮と米国の敵対関係の例外的長期持続から来ている側面が大きい。

カミングス:米国は北朝鮮と70年間、キューバとは50年余り敵対関係を維持している。 過去に米国が北朝鮮との関係を正常化できなかったのは、韓国が脆弱だったためだ。 韓国経済が高度成長を謳歌している時も、米国は北朝鮮による韓国への侵略を憂慮していた。 1990年代後半、北朝鮮経済が崩壊してしまってからはそのような考えを捨てたが、その時は北朝鮮の核開発のせいで関係正常化が難しかった。 クリントン政権時代、相互訪問で生まれた絶好の機会をのがした。 以後、北朝鮮を‘悪の枢軸’と規定したブッシュ政権は言うまでもなく、オバマ政府も事実上核保有国になろうとしている北朝鮮との距離を狭められずにいる。 これまで北朝鮮と米国は関係正常化ができない理由が常にあった。

パク:北朝鮮-米国関係の正常化と韓半島統一は、世界および東アジアで第2次大戦の遺産と冷戦の残滓を終息させる最終契機になるだろう。 それだけに世界史的意味を持っている。 過去には米国が‘ソ連封鎖-日本偏向’のために韓国を分断させたとすれば、現在は‘中国牽制-日本重視’のために再び北朝鮮カードを使おうとしているのか?

カミングス:米国が中国を一層牽制しようとしたならば、北朝鮮とすでに関係を結んでいただろう。 北朝鮮と中国の関係は史上最悪の緊張状況であるから、論理的には米国が中国牽制のために十分に選びそうな選択肢だ。 北朝鮮もこのような状況をよく理解しているため、対米関係の正常化を通じて米国と中国の間で綱渡りすることが、ロシアと中国を相手にゲームをするより理想的だと判断したのだろう。 だが、米国には北朝鮮の政治的立脚点がない。 米国のいかなる勢力も北朝鮮との関係正常化を促したり圧迫したりはしない。 もちろん経済的関係が1970年代以来ねばっこくなった中国はそうではない。

パク:米国は中国との関係正常化を通じて中国の改革・開放を促進し世界市場に入って来させたし、それは結局ソ連の崩壊、社会主義の没落、冷戦の解体につながった。 ところで、このような世界的構造変動を招いた得策を北朝鮮に対してはなぜ試みないのだろうか? これは十分に合理的な質問だ。

カミングス:中国の改革・開放と対米関係正常化はほとんど同時になされた。 以後、米中関係の勝者は米国だった。 中国の人々は世界経済に飛び込んで金を稼ぎたがったし、中国の若い世代は米国に憧れて留学したがった。 中国は民主化デモや言論の自由の要求ような望まざる開放の結果にも直面することになった。 結局、中国を孤立から引き出したことは、米国から見れば‘神の一手’だった。 中国の変化は途方もなく、今後10~20年後には韓国や台湾のように民主化がなされると見る。 反面、米国の変化は、事業家が中国で金を稼ぐようになった程度だ。 そのような歴史的経験に照らしてみれば、北朝鮮-米国関係正常化をするにしても、究極的に変わるのは北朝鮮だということを米国は知っている。

パク:米国は北朝鮮の核保有を口実に関係正常化に消極的だ。 しかし北朝鮮が核保有国家になる最悪の状況よりは、核保有を阻止するためにでも北朝鮮と米国関係の正常化カードを使う方がはるかに良いと見ている。 北核と朝鮮半島の平和?統一は両立し難いためだ。

カミングス:中国も核を保有したままで米国と関係正常化した。 1964年中国の初めての核実験は米国にとって大きな脅威だったが、むしろ関係正常化を通じて中国の核は米国の核と相互に抑止力として作用することになった。 米中間にはいかなる戦争も起きえなくなったのだ。 北朝鮮の核も同様に安全装置だと見なければならない。 もし米国が核保有国である北朝鮮と関係正常化するならば、彼らの核は完全に米国の核によって抑止されるだろう。 おもしろいのは、ワシントンでは北朝鮮が崩壊すれば米海兵隊が北朝鮮に浸透し、武器システムを掌握しなければならないという主張が出ている。 なぜだろうか? テロ集団が核を保有しかねないからだと言い訳しているが、東アジアにそのような力量を持つテロ集団は存在しない。 彼らは韓国が核を保有することを容認したくないからだ。 もし北朝鮮が崩壊して統一されれば統一韓国が核保有国になるためだ。

パク:一つ逆説を検討する必要がありそうだ。 金泳三、金大中、盧武鉉政権が北朝鮮の実質的な‘非核化’を推進した一方で、李明博や朴槿恵政権は米国の‘非拡散’グループの路線に従って積極的な北朝鮮非核化努力は何もしなかった。北朝鮮の核問題に関する限り最近の米国は、ホワイトハウス-国務部-駐韓大使館が‘北核不認定-非核化’路線を好むグループだとすれば、CIA-国防総省-軍部-軍産複合体は‘北核認定-非拡散’政策を追求している。後者は北核を理由にして韓国や東アジア諸国から莫大な武器販売利益を得ている。 韓国の保守政権が彼らに従って北朝鮮非核化を積極的に主導する役割を放棄しているのは驚くべきことだ。 北朝鮮の非核化を最も積極的に主導しなければならない当事者は韓国だからだ。

カミングス:金大中・盧武鉉元大統領は、対北朝鮮関係で相当な進展を見たし、長期的な和解を通じて統一を追求した。 その方式が北朝鮮に接近して成果を得る唯一の方式だと思う。 しかし、李明博・朴槿恵政権は右派既得権政権の帰還だ。 彼らは北朝鮮に対して‘武力接収’または‘崩壊放置’以外には別の路線を試みたことが殆どないが、その間何の成果も得られなかった。 その間に北朝鮮は核とミサイルを増強したのみだ。

パク・ミョンニム教授
アメリカの日本重視政策は‘冷戦の遺産’
日本は米国の安保の傘への回帰後
解釈改憲など平和を威嚇する要素に
中国は経済成長後にも一党統治
民主主義に至る経路に対する例外か、別モデルかの別れ目

パク・ミョンニム延世大教授

パク:金日成、金正日体制と比較した時、金正恩体制は突然登場した側面がある。直ちに危機が来ることはないが、金日成執権初期のソ連軍、金正日執権初期の金日成のような後援者もいない。 若い金正恩が、孤立して崩壊した経済体制を率いて国家生存、経済回復、北核、統一問題を扱えるかは疑問だ。

カミングス:能力についてはもう少し見守らなければならないが、体制自体が不安だとは考えない。 永らく北朝鮮崩壊論が取りざたされたが、北朝鮮は依然として崩壊していない。 だが、今後は体制と人権問題に関する圧力はますます高まるだろう。 国連が北朝鮮の指導者を国際司法裁判所(ICJ)に回付する事も起きうるし、金正恩がその名簿に入ることもありうる。 北朝鮮はそれを侮辱と受け止めて反発している。 北朝鮮を孤立させようとする努力はあるが、それほど不安ではないと考える。

パク:では中国について検討しよう。朝鮮半島問題に関する限り、中国の役割はますます重要になっている。 韓国と中国は最近経済を越えて安保面でも接近する雰囲気だ。 同盟関係である北朝鮮-中国は以前と同じではない。 朴槿恵と習近平はすでに何回も会っているが、金正恩と習近平はまだ一度も会っていない。 現在中国は、韓国と北朝鮮の一番の貿易相手国で、北朝鮮にとっては唯一の同盟国家だ。米国が韓米同盟と北米敵対という二重構図を通じて韓国だけに影響力を行使している間に、中国は南北双方に莫大な影響力を行使している。

カミングス:中国は1992年に韓国と修交し、ソウルと平壌に同時に影響力を発揮している。 米国も韓中修交に合わせてクロス承認しようとする構想があったが実現しなかった。 結局、北朝鮮に対しては消極的な影響力だけを持つことになっただけだ。 中国はとても賢く、韓国に対しても友好的な関係を形成した。 中国との関係を維持する以外に当然な選択肢がない北朝鮮に対しては、中国は叱咤し批判しながらも北朝鮮-中国関係自体は傷つけなかった。 そして韓国と北朝鮮に対して同時に大きな影響力を持つようになった。 米国は中国のこのような朝鮮半島政策を見習って、北朝鮮と米国関係の改善に乗り出さなければならない。 朝鮮半島問題に関する限り、最大の影響力はまだ中国ではなく依然として米国が持っている。

パク:過去70年間、東アジアだけでなく世界的にも最も重要な変化は中国の急浮上だった。 その過程で4回の‘チャイナ ショック’があった。 朝鮮戦争への参戦、米国との関係正常化、日本との国内総生産(GDP)逆転(2010年)、米国とのG2時代開幕などだ。

カミングス:もう一つのチャイナ ショックを加える必要がありそうだ。 中華人民共和国の成立だ。 中国は1949年に革命と統一を通じて得た強力な国力を基盤に朝鮮戦争に参戦し、米国との膠着局面を成し遂げ、第3世界に対する影響力も拡大した。 19世紀中葉、阿片戦争以後に軽んじられてきた中国が1949年を契機に復活した。 現在の浮上はその時に比べれば小さなものだ。 この頃は経済規模が大きくなったと言っても、1人当りGDPはアフリカ水準だ。 年間GDP順位も米国が約16兆ドル、中国は9.2兆ドルで、次いで米国の同盟国である日本(4.9兆)、ドイツ(3.6兆)、フランスと英国(各2.5兆)の順だ。中国は経済規模の大きい同盟国がなく、技術力や金融システムも西側に至らない。

パク:アメリカの現実主義者が中国脅威論、米中衝突論を言うのとは異なる診断だ。

カミングス:中国に対して心配することは、経済大国として成長することではなく、領土紛争などに見られる気まぐれな態度だ。 中国は自ら経済大国だと言いながら、皆が中国と良い関係を結びたがっていると自慢している。 だが、一方では南シナ海の食卓ほどの‘島’に砂袋を積んで軍隊を駐留させようとしている。 米国がこのような形で行動して安保不安を表わすことは想像もできない。 中国の安保は最近の香港デモに見られるように国内でも不安だ。 中国は民主化されるまでは米国、日本、ヨーロッパを威嚇できないだろう。 この頃、習近平主席が孔子の言葉を引用し始めたが、毛沢東は「中国共産党から孔子を引用する指導者が出てくるならば、その人物が共産党の最後の指導者になるだろう」と警告したことがある。

パク:それでは中国脅威論は米-日の保守勢力による誇張なのか? 経済と統一問題を含めて韓国の立場では中国の浮上は非常にくっきりと迫っている。

カミングス:1945年から1980年代まで韓国が中国を心配しなければならない唯一のことは朝鮮戦争への参戦だけだった。 80年代以後、中国は産業面で韓国の競争者であり同盟になったが、中国が浮上するとは言っても即座に米国に代わったり圧倒することにはならない。 GDP成長や大規模観光客のようなものに韓国は脅威を感じるだろうが、80年代の米国も日本から全く同じ目にあった。 その時は日本が21世紀に新たな強大国になるだろうと言っていた。 そうするうちにバブルがはじけた日本は、今でも世界3位の経済大国ではあるが他の国を威嚇してはいない。

パク:民主化が重要だという診断に全面的に同意する。中国が経済成長以後、孔子や儒教を持ち出すのは時代錯誤的な逆進であり、自分たちの近代化と国家建設、改革開放に対する正面否定だ。 問題は民主主義だと見る。 近代以後の経済発展に伴う市民革命、普通選挙、複数政党制、議会体制は避けられない経路であった。 中国が経済成長以後にも一党統治を持続できるだろうか? 中国の実験は、民主主義の経路に対する‘例外’と‘また別のモデル’の間の重大な別れ目と見える。

カミングス:韓国と台湾が良い例になるだろう。 二つの国は70年間のうち40年は独裁の中で経済が大きく成長した後、ほとんど同じ時期に民主化要求が噴出して直選制を成し遂げた。 中国もこういう軌道に乗っていると見る。 違いがあるとすれば、1949年の革命で形成され8500万人のエリート党員を擁する中国共産党が簡単には解体されないという点だ。 だが、共産党指導者の誰も、今は思想的に共産主義を信奉してはいない。 単に香港デモのような反政府的な動きを押さえなければならないという途方もない圧迫を受けているだけだ。

パク:そろそろ対談をまとめなければならないようだ。私たちは西欧のオリエンタリズムを批判しているが、人権、自由、平等、福祉、民主主義、和解、平和などの価値と関連して今日東アジアが世界と分かち合えるものは殆どない。 東アジアの市民として常に恥ずかしく思うし、今後しなければならない仕事が本当に多いと感じている。特定の分野の技術、商品、産業、物質の発展を除けば、戦後70年間に東アジアが果たして何を成し遂げたのか深く反省せざるをえない。

カミングス:その点で韓国の国民は自負しても良いと考える。 あなた方は東アジアと世界で最も熾烈に民主化運動を展開したし、世界的な達成も見せてくれた。 自分たちの過去事を巡る真実と和解の努力も非常に積極的だった。 戦争をした北朝鮮との平和と共存努力でもそう言える。

整理:キム・ウェヒョン記者 写真 タク・キヒョン先任記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/politics/diplomacy/661886.html 韓国語原文入力:2014/10/29 08:30
訳J.S(8917字)

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