李明博(イ・ミョンバク)政権で行われた資源外交の不正を捜査する検察が、最初の捜査対象に慶南(キョンナム)企業と韓国石油公社を選んだ。税金浪費に直結する「成功払い融資」(事業が失敗したら融資金が棒引きされる)を糸口にするものとみられるが、資源外交捜査の名分と実利を念頭に置いた多目的カードとなりえる。
検察は当初から業務上背任罪の“わな”にこだわらない資源外交捜査ができる方法を探ってきた。業務上背任は、任務に背反する行為で本人や第三者が財産上の利益を取得する場合に成立する犯罪だ。だが、「結果的に失敗したが当時はやるだけの価値があるという経営上の判断があった」と当事者が弁明すれば、反証するのは容易でない。実際、李明博政権初期の2008年、大検察庁中央捜査部が公企業約20社を捜査して経営陣を業務上背任容疑で起訴したが、無罪判決が相次ぎ面目を失ったことがある。
そのうえ資源開発事業は高いリスクを伴うので背任容疑の立証は一層困難だ。こうした事情からソウル中央地検関係者は「資源外交捜査を成功させるには背任では足りず、金が出てこなければならない。金の流れを捉えるのに時間を割いている」と語った。
また、李明博政権の資源外交がアフリカ、南米、北米、ロシアなど世界中に広がり、直接確認するのが容易ではない。最高検察庁関係者は18日、「資源外交捜査だが基本的には国内で起きたことを捜査する他ない。外国との協力がうまくいけばいいが、基本的に海外で起きたことは確認し難い」と打ち明ける。
こうした状況を切り崩していくため、検察は国の金が注がれた成功払い融資が当初の目的通りに使われたか、他の用途に使われなかったか解明することに捜査の焦点を合わせた。誇張された資料を利用して融資を受けたり、金をとんでもないところに流用したとすれば詐欺や横領罪で処罰が可能になる。
成功払い融資は李明博政権の時に大幅に増え、2011年以後、政府が弁済を諦めた額だけで3700億ウォン(約407億円)に達すると推測される。慶南企業は成功払い融資を受け、石油公社とともにロシアのカムチャツカ、米国、メキシコ湾、カザフスタンのカルポブスキー鉱区などで石油・ガス探査プロジェクトに参加したが、ほとんどの事業で失敗した。慶南企業が支援された成功払い融資金は総額350億ウォン(約38億円)余りだが、検察はこのうち数十億ウォンがソン・ワンジョン会長に流れるなど、相当額が事業費以外の用途で使われたとみている。容疑が立証されれば背任ではなく横領と詐欺罪を適用できる。石油公社も相次いだ油田開発の失敗により、2011年から昨年まで2245億ウォン(約246億円)の成功払い融資が棒引きされた。
検察は石油公社の家宅捜索を通じ確保した成功払い融資金の執行・管理内訳を綿密に分析する予定だ。成功払い融資を受けた民間企業は石油公社に支援金使用、会計管理内訳を報告することになっている。押収物分析結果によっては融資を受けた他の大企業に捜査が拡大する可能性も排除できない。
ソン・ワンジョン会長は議員在職当時から“親李明博系”として知られ、李前大統領の実兄イ・サンドク元議員(80)との親交も深く、捜査が政界に飛び火する可能性もある。ソン会長は19代国会選挙で当選したが、昨年6月、公職選挙法違反罪が確定して議員職を失った。
慶南企業は2010年にアフリカのマダガスカル・アムバトビーのニッケル鉱山事業の持ち株を韓国鉱物資源公社に渡したが、鉱物資源公社は投資約定未履行を理由に既存投資金の25%(38億ウォン)だけ支給すればすんだのに、100%(154億ウォン)支給したことが明らかになっている。これもソン元議員と政界の特殊な関係のためとされる。慶南企業が2013年に法廷管理に処されずワークアウトする過程でも、主要取引銀行側に外圧があったという疑惑が提起された。
韓国語原文入力:2015.03.19 01:07