内閣と大統領府秘書陣の改編で3年目の国政を加速させる朴槿恵(パク・クネ)大統領が、ついに不正腐敗清算の剣を抜いた。特定の懸案を調べ処罰する「ワンポイント不正捜査」とは雰囲気が全く違う。政界や検察周辺でも、企業不正と公職腐敗を狙った「高強度全方位」長期捜査が続くとの見通しが優勢だ。
過去2年間、「不通」と「低い成果」に悩まされてきた朴大統領は3年目入り「オールラウンドプレー」になろうとしている。政治的には中東歴訪後、初めて5省庁から要人を招待して成果を説明し、すぐに与野党代表会談の日程を決めるなど、「疎通」を意識した動きを続けている。しかし、李完九(イ・ワング)首相の対国民談話など重心はむしろ疎通より「不正腐敗清算」の方に傾いているようだ。腐敗と不正清算を通じて国民の確実な支持を引き出し、これを今後の国政の動力にするという判断をしたものとみられる。ファン・ギョアン法務部長官は13日、検察に「不正腐敗事犯の取締りの強化」を公式に指示した。
資源外交特捜部の再配当に続き
首相「腐敗清算談話」の翌日
ポスコ建設押収捜索
司法長官も徹底した捜査を指示
政権3年目の国政動力の回復に出た様子
最も足早に動いているのはソウル中央地検特捜部だ。李完九首相が法務部長官(検察)と行政自治部長官(警察)を左右に従えて「不正腐敗を抜本塞源する」との対国民談話を発表した翌日、ソウル中央地検特捜2部はポスコ建設の本社と元役員2人の家を家宅捜索した。前政権末からポスコのベトナム事業に、「王次官」と呼ばれていたパク・ヨンジュン元知識経済部次官と、李明博(イ・ミョンバク)前大統領の兄イ・サンドク元議員が関わっているとの噂が流れた。検察内外では、裏金づくりと脱税容疑を狙った今回の捜査が、前政権を含む政・官界ロビーに向かって拡大する可能性に注目が集まっている。李明博政権時代に推進された資源外交も検察射程圏内に入っている。
検察は最近、資源外交関連の告発事件を一カ所に集め、ソウル中央地検特捜1部に再配分した。資源外交とポスコ建設捜査とも前政権の核心人物を狙ったものという分析が出ている。最近発足100日目を超えた防衛事業不正合同捜査団もイルグァングループのイ・ギュテ会長を逮捕するなど、活動幅を広げている。これに先立ち、パク・ソンジェ ソウル中央地検長は6日の全国検事長会議で、大企業の不正腐敗と不公正取引に対する厳罰を強調し、新設された公正取引租税調査部を通じて企業の不正捜査に乗り出す意向を明らかにした。
今回の不正腐敗清算の動きはレイムダック現象を抑えて国政3年目の足場を整えるためのものだが、すでに予想された手順でもある。朴大統領は、セウォル号事故後の昨年5月の大検察(最高検察庁)庁中央捜査部長出身のアン・デヒ首相候補者を指名した時から、すでに公職社会や企業に対する不正腐敗清算を念頭に置いていたという。アン候補者の落馬とチョン・ユンフェ氏文書波紋に伴う人的刷新などでその構想が遅れたが、これまで息を整えていた不正捜査機関がようやく出番を迎えたわけだ。
大統領府内外では、今回の不正捜査が公職社会と企業と政界まで全方位的に拡大しかねないとの見方もある。李明博政権当時、「経済再生」を理由に企業に対する捜査を自制してきたので、検察にたまった諜報も多い上に、与党の政権が続いたため、公職社会に対する不正捜査作業も本格的に行われたことがないという点がその根拠として挙げられる。大検察庁中央捜査部の廃止後、これといった不正捜査の成果を出せずにいる検察としても、組織の存在感を示す必要が切実な時期だ。
また、大統領府も、今回の不正腐敗清算がこれから行われる公務員年金改革と労使政委員会の大妥協など、労働市場の構造改編、4月の補欠選挙などを突破するための踏み台になれると見込んでいる。大統領府の関係者は「事実政治的負債がない朴大統領が最も上手にできるのが腐敗の清算だ。いつかはやるべきだったことだが、少し遅れたのではないか」と述べた。
政界でも今回の不正腐敗清算の動きの余波に注目している。首都圏選出のある議員は、「国会がますます大統領府を無視する雰囲気であり、李明博前大統領が(回顧録で)現政府のことを触れたので、前政権に手を付けることによって局面転換をしようという意図があるだ」と述べた。ユ・スンミン セヌリ党院内代表は、「国会国政調査が進行中の資源外交を腐敗事例として挙げた背景は何なのかよく分からないが、検察で厳しく捜査すると、国調が勢いづくのではないか」と述べた。一方、李前大統領のある側近は 「時期的に、政府が不正腐敗清算を必要としているようだ」とし「不正清算は良いが、検察が政府の意図に合わせて無理やり(不正を)でっちあげるのではないか懸念される。不正腐敗清算は、最終的に現政府の問題点まで露わにさせ、政権にブーメランになりかねない」と述べた。
韓国語原文入力: 2015.03.13 19:17