半年後に撤去が予定されていた再開発地域
店主のキム氏「ここでは商売できないが
引っ越しても学校の近くでやりたい」
学校前のおにぎり屋で火災が起きた。いくら食べてもお腹のすく年齢である高校生たちが、店主のおじさんとおばさんを助けようと募金運動を行った。 ソウル冠岳(クァナク)区の永楽高生徒会長のイム・ヒョンイク君(18)は9日「単純に商売だけしていたならば私たちがここまではしなかっただろう」と話した。
言葉を略すのが好きな生徒たちが「ポムル(宝物)」と呼ぶ粉食店「ポリトック(麦餅)とムルコギ(魚)」に火災が起きたのは先月の26日だ。 主人のキム・ナクチュン氏(49)夫婦が粉食店の向い側に暮らすキム氏の母親の朝食を準備するために席を外した間に台所の油に火がついた。
キム氏夫婦が永楽高前に粉食店を開いたのは2006年。キム氏は「イエスが麦餅5つと魚2匹で5000人を食べさせたがまだ残ったという話のように『少しでも分けあえる店になろう』という意味で店名をつけた」と話した。 ラーメンや餅炒め(トッポッキ)も売るがポムルで最もよく売れるメニューはおにぎりだ。 店を開いた当時、永楽高校長が「子供たちが朝ごはんをまともに食べて来ないのでおにぎりでもやったらどうか」と薦め、この時からおにぎりが主メニューになった。
プルコギ(焼き肉)、チャムチ(マグロ)、キムチなどとご飯を混ぜた材料の名前を取って「プルチャム(不参加)」、「チャムキム」等と呼ばれるおにぎりは10種類を超える。 キム氏は「子供たちがアイディアを出して作られたメニューが多い」と話した。 朝の登校時と夕食時間に主にここを訪れる生徒たちは、キム氏夫婦が具合が悪くて店を閉める日には「ご飯ください」とドアを叩いたりもする。 キム氏夫婦は「時々“母さん”“父さん”と呼ぶ子供もいる」と話した。
冬休み、ポムルに火事が起きたという便りを知らせたのも生徒たちだ。 生徒たちは火事が起こった店の写真をスマートフォンで撮って先生に送り、自分たちどうしで転送し合い残念がった。 始業後に生徒会役員を中心に「私たちのポムル(宝物)を取り戻そう」と書いたプラカードを持って教室を回り募金運動を始めた。
募金に参加したクァク・ミンジョンさん(17)は「子供たちが小遣いを募金した。 友達に『良心もないのか。おにぎりを買って食べた数ぐらいは出せ』と促す子供もいた」と笑った。 入学以来おにぎりでお腹を満たした3年の男子生徒が募金に最も積極的だったという。 教師のチョン・ヨン氏(53)は「学校で育てている猫の治療費を集めた時はお金が集まらなかったが、子供たちが本当に残念がっていたようだ」と話した。 生徒たちは過失で起きた火災のために罰金まで払うことになったキム氏夫婦のために嘆願書まで書いた。
生徒たちはこの日の午後、火災のために商売ができなくなっているキム氏夫婦のために募金45万ウォンを手渡した。 キム氏夫婦は「朝ごはんを食べる子供たちは、そうでない子供たちより表情が明るい。 子供たちがそんな風に幸せになる姿を見ながら仕事をした」と話した。 ポムルは半年後に撤去が予定された再開発地域にある。 ここで商売を続けることは難しい。 キム氏夫婦は「引っ越してもなじんだ学校の近くにいたい」と話した。