本文に移動

[朴槿恵政権の2年]開城工団以外の南北経済協力中断5年…裏切られた協力企業

登録:2015-03-04 16:27 修正:2015-03-05 06:38
北朝鮮向けビラ問題で期待は水泡に
開城工業団地で作業している北朝鮮労働者たち。//ハンギョレ新聞社

 「正直なところ期待した。 しかし、もう疲れた」。南北経済協力企業は期待を捨て、一部は希望の糸まで手放し始めた。 朴槿恵(パク・クネ)政権になって2年間、南北関係が空転し続ける状況に絶望したからだ。

 南北経済協力企業は、李明博(イ・ミョンバク)政権時代の2010年に発効した5・24措置によって直撃を受けた。 当時政府は、天安艦沈没に対する報復処置として開城(ケソン)工業団地を除く南北経済協力と国民の北側訪問などを全面禁止した。開城工団以外の北朝鮮の内陸で行なわれてきた南北経済協力は、一瞬にして根拠を失った。1989年以来、南北交流協力の土台を築いてきた経済協力企業約1000社が絶体絶命の危機に追い込まれた。数千人が職を失い、多くの企業家たちが倒産、破産、信用不良の奈落の底に落とされた。

 それでも、あと2年半持ちこたえれば、再び這い上がる穴ができるだろうと信じた。「李明博政権さえ終われば、生きる道を見出せると思っていた。 いくら保守政権が発足したとしても、国民の財産権と生存権の侵害を傍観ばかりしてはいないだろうという期待があった」(CSグローバルのイ・ドギュン代表)

 朴槿恵政府が執権して期待はいっぱいに膨らんだ。 5・24措置以後に南北経済協力企業家が集まって作った南北経済協力企業非常対策委員会が、朴槿恵政権発足4カ月後の2013年6月に実態調査をした。 当時、調査に応じた南北経済協力企業家の82.1%は、1年以内に南北経済協力が再開されるだろうと答えた。 1~2年と答えた人も15.4%いた。 現政権での再開は容易でないという回答は3%に止まった。朝鮮半島信頼プロセスを掲げ、李明博政権との差別化を試みた朴槿恵(パク・クネ)印の対北政策に対する期待があった。昨年初め、朴槿恵大統領が“統一大当たり”を掲げる中で、こうした期待は絶頂に達した。

1148社1兆5751億ウォンの被害
 「停止した装備・施設は残っているのか」
 企業家たちは出国禁止・信用不良者の身分に
 「経済協力を統一大当たりの礎石と見てほしい」

 しかし、期待感はまもなくあっけなく消え失せた。昨年2月の第1次南北高位級接触と離散家族再会、10月の北側高位級3人組の電撃的訪韓と第2次高位級接触合意など南北関係改善の機会は、対北ビラ撒布問題が続くなか水泡に帰した。5・24措置の解除や金剛山(クムガンサン)観光再開問題などの先制的処置は、朴槿恵政権の対北カードには入っていなかった。

 南北経済協力企業の損失は雪だるま式に大きくなるばかりだ。現代経済研究院は5・24措置以来、2013年までの韓国側の経済的被害規模を145億9000万ドル(約15兆ウォン)と推定した。 新政治民主連合の鄭清来(チョン・チョンネ) 議員室は2013年10月、国政監査資料を通して開城工業団地と金剛山観光などを除いた南北経済協力企業の被害規模を1148社、1兆5751億ウォンと集計した。 それ以後の1年4カ月で被害規模はさらに増大しているものとみられる。

 南北経済協力の企業家たちは悲鳴をあげる力も底をついたと首を振った。 北側から川砂を輸入する事業を営んでいたCSグローバルのイ・ドギュン代表は「開城工団からわずか300メートルの距離に作業場があるのに、もう5年も行ってみることさえできずにいる」と話した。 この会社は臨津江(イムジンガン)上流のサチョンガンの川辺で、毎年50億ウォン分、40万立法メートルの川砂を南北合弁で浚渫して南の建設現場に供給してきた。 ダンプトラックの運転手30人を含めて南側100人、北側120人が勤務していたが、いずれも職場を失って散り散りになった。イ代表は「浚渫装備と積載場建設などに100億ウォンを投資したが、訪北が禁止されて装備や施設が残っているかどうかさえ確認できずにいる」と語った。

 平壌(ピョンヤン)で北側とステンレス高圧パイプの合弁工場を運営していたナウコーポレーションのソ・ドンウ代表は「230億ウォンを投資したが、北から無煙炭、亜鉛塊、アルルミニウム塊などで対価を受け取ろうとしたその時に交易が禁止された」と話した。 彼は「借金と税金の延滞で出国禁止にされ、銀行取引もできない“経済的植物人間”になってしまった」として「この頃は、どう死んでも同じだから、大統領府の前でシンナーでもかぶろうか、と極端な考えまで浮かぶ」と言った。

 南北経済協力に対する夢と期待を完全に放棄する人も増え続けている。 紳士服やパディングウェアなどを平壌で賃加工して持ち込んできたJMモードのイ・ユンジュ代表は、「現政権が南北経済協力企業1000社余りのために対北政策を変更するだろうという期待はもう捨てた。もう経済協力の再開は望みもしない。政府の一方的処置によって被った企業損害に対する補償でもしてくれたらと思う」と述べた。 ユ・ドングン南北経済協力企業非常対策委員長もこう語る。「南北経済協力企業を再生させるのが経済立て直しと統一大当たりの礎であるという常識的判断に、朴槿恵政権が立ち戻ることを望む」

ソン・ウォンジェ記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/politics/defense/679959.html 韓国語原文入力:2015/02/27 01:58
訳A.K(2323字)

関連記事