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[ニュース分析] 『帝国の慰安婦』論争第2ラウンド(3/3)

登録:2015-03-01 20:21 修正:2015-03-02 15:14
日本軍慰安所の入口に掲示されたげき文。 大和撫子とは「美しい日本女性」の代名詞という点で、朝鮮人慰安婦が結局日本人慰安婦の代替だったことを示す一方、彼らに身体的慰安だけでなく精神的慰安まで要求したことを示している。 プリワイパリ提供//ハンギョレ新聞社

 それでは朴裕河教授が言う「解決」とは何だろうか。 著者はこれが何かについて明確に説明していないが、推定できる部分はある。 先ず、朴裕河教授は日本政府が河野談話に対する後続措置として出したアジア女性基金(1995~2007年)に対して非常に肯定的な評価を出している。 日本はこの基金を通じて慰安婦被害者一人につき慰労金200万円(日本国民の寄付)と医療支援金300万円(日本政府予算)を支給したことがある。しかし、韓国と台湾の被害者たちは日本政府が法的責任ではなく道義的責任だけを認めたとしてこの基金を受け入れなかった。 朴裕河教授はこの基金の専務理事として活動した和田春樹東京大名誉教授らと昨年4月にソウルで「第3の声」というシンポジウムを開いたことがある。

 朴裕河教授は本の中で、慰安婦問題は日本の植民支配から発生した問題であるため、これに対する「謝罪と補償」をする必要があるとして、「補償の形態を定める過程に支援団体と慰安婦を参加させなければならない」 「謝罪と補償をするならば、世界に向かって日本の考えを明らかにする公式的な形態を帯びなければならない」 「国民基金(アジア女性基金)は韓国人慰安婦に対する支給状況に関する未公開資料を公開しなければならない」 「日本政府が政府国庫金で補償に乗り出すならば、そのような政府を積極的に評価し支援しなければならない」と明らかにしている。

 このような言及を総合してみる時、朴裕河教授が考える解決策とは「アジア女性基金を受け取れなかったハルモニに日本政府の予算で謝罪金を支給し、(日本が法的な責任を負うべきか、道徳的な責任を負うべきかという論争が激しいので)日本が道徳的な責任に言及せずに全体的に日本の責任を認定」しようという和田名誉教授の提案(ハンギョレ 2014年3月5日付6面)や2012年に李明博政権と野田政権末期に議論された、△野田首相が李明博大統領に謝罪し△武藤正敏駐韓日本大使が慰安婦ハルモニを訪問し謝罪して△政府予算を投じて補償するという妥協案と似た主張であると推定できる。 朴裕河教授は日本語版ではこれに加えて日本の国会の決議が必要だとし、要求事項をやや高めている。

「東アジアの未来を考える人々」主催で、4月29日ソウル中区のプレスセンターで開かれた「慰安婦問題第3の声」シンポジウムで、朴裕河 世宗大学教授(左)と和田春樹東京大学名誉教授が対話している。 連合ニュース

私たちはなぜ慰安婦問題の解決を願うのか

 結局、この本は多くの論議にもかかわらず、慰安婦問題に対する日本政府の責任を免じようという話をしているわけではない。 むしろその反対に、日本政府に“法的責任”がないという(日本右翼の)主張を受け入れる方式を通じて、両国間の異見を狭めた後に日本リベラルが要求している妥協案+αを日本政府が受け入れるよう決断を促す本だ。

 しかし、私たちはなぜ慰安婦問題の解決を望んできたのだろうか。 戦時下で女性に強要された濯ぐことのできない人権侵害に対して国家が厳格に責任を負うよう追及し、人類社会にこのような悲劇が二度と繰り返さないよう警鐘を鳴らすためではないか。 そして韓国社会は、日本に突きつけたその厳格な定規を自らにも突きつけて「基地村浄化計画」という名で強行された米軍慰安婦問題とベトナム戦争時期に行われた韓国軍の戦時性暴行に対する国家の責任を一層厳格に追及すべきだ。 結局、朴裕河教授が提示した奇妙な論理の善意を理解できないわけではないが、「肉を切らせて骨を切る」妙案ではなく、「骨を切られて皮も切れなかった」試みだったという判断を下さざるを得ない。 朴裕河教授の主張を活用して世界を相手にした“歴史戦争”に乗り出すという日本右翼の声が少しずつ高まっている点を考える時、慰安婦問題解決の展望は『帝国の慰安婦』が出てくる前と比較して、やや暗くなっただけのようだ。

東京/キル・ユンヒョン特派員 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/international/japan/680144.html 韓国語原文入力:2015/02/27 21:50
訳J.S(1687字)

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