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韓国最高裁、現代自動車の全ての社内下請けは不法派遣と確認

登録:2015-02-27 23:37 修正:2015-02-28 08:15
下請け労働者の「労働者地位確認訴訟
エンジンなど間接生産まで「不法派遣」
現代自動車牙山工場の社内下請け労働者7人が起こした「労働者地位確認訴訟」で、最高裁の勝訴確定判決を受けたオ・ジファン氏が26日午前、ソウル瑞草洞の最高裁法廷前で仲間の組合員の胴上げを受け喜んでいる。 キム・テヒョン記者//ハンギョレ新聞社

 「現代自動車の正社員」との原審判決を確定
 2年以上の派遣勤務は直接雇用認定

  他の完成車メーカーの社内下請けにも影響
 現代自動車の「派遣法違反」処罰に関心

 最高裁が事実上、現代自動車のすべての社内下請けを不法派遣と判断した。 現代自動車蔚山(ウルサン)工場に続き、牙山(アサン)工場の社内下請け労働者も不法派遣の確定判決を受け、直接生産工程である組み立て(艤装)ラインだけでなく、エンジンなどの間接生産工程まで不法と認められたため、現代自動車は全ての社内下請け労働者を正社員に転換しなければならないことになった。 今回の判決で、現代自動車をはじめ社内下請を乱用している多くの製造企業の雇用慣行を変えることを要求する社会的圧迫がさらに強まる見通しだ。

 最高裁第1部(主審=コ・ヨンハン最高裁判事)は26日、現代自動車牙山工場で下請け労働者として働いて解雇されたキム・ジュンギュ氏(42)ら7人が起こした労働者地位確認訴訟で、そのうち4人が「現代自動車の正社員である」とする原審判決を確定した。 裁判部は「現代自動車が社内協力会社所属の労働者が遂行する作業量と作業方法、作業手順、作業速度、作業場所、作業時間などを決定し、社内協力会社所属の労働者を直接指揮するか、或いは社内協力会社所属の現場管理人などを通して具体的な作業指示を行なった」根拠などを挙げて、下請け労働者たちが現代自動車と労働者派遣の関係にあると判断した。

 「派遣労働者保護等に関する法律」(派遣法)は、製造業の直接生産工程への派遣を禁止しているため、現代自動車が派遣労働者を使うことは不法だ。 裁判所は2年以上の派遣は元請が直接雇用したものと見なすべきという旧派遣法の条項に基づいて、キム氏ら4人を、2002~2003年からすでに現代車の正規労働者であると判断した。 カン・シンハン氏など残りの3人も不法派遣は認められたが、勤務期間が2年に満たず、敗訴した。

 今回の判決の意味は、社内下請け労働者の業務内容、正社員と非正規雇用労働者の混在勤務の如何と関係なく、現代自動車の自動車製造工程全体で不法派遣が行なわれているという事実を、最高裁が確定したということだ。 2012年に最高裁は、現代自動車蔚山工場の組立ラインで働いていて解雇された社内下請け労働者、チェ・ビョンスン氏の不当解雇救済再審判定の取り消し訴訟で、現代自動車の不法派遣を初めて認めた。 今回の判決は、蔚山工場に次いで牙山工場の不法派遣を認めたもので、組立ラインだけでなくエンジン工場など間接生産工程の労働者まで不法派遣と見なしており、適用対象範囲が非常に広い。

 しかも最高裁は、正社員と混ざっての作業でなく下請け労働者だけが働いていたキム・ジュンギュ、キム・ギシク氏(41)をも、不法派遣と判断した。「下請け会社の労働者だけが勤務しており、現代自動車が使用者の地位で指揮・命令する余地がない」という現代自動車側の主張は受け入れなかった。正社員との混在勤務でなくとも、元請けの指揮・監督を避けられない自動車工場のような、ベルトコンベアーを利用した流れ作業生産方式の特性が改めて反映されたわけだ。

 労働者側の訴訟を代理したキム・キドク弁護士は「間接生産工程は不法派遣ではないという現代自動車の主張はもはや成立しなくなった」として「自動車不法派遣の適用対象を拡張した最高裁の判決は、他の完成車控訴審にもそのまま適用されるだろう」と展望した。 昨年9月、不法派遣1審訴訟で勝訴した現代自動車下請け労働者1179人だけでなく、GM大宇(テウ)、双龍(サンヨン)、起亜(キア)自動車の下請け労働者たちも控訴審を進行中だ。

 今回の最高裁判決で“不法派遣事業場”であることが確認された現代自動車は、法的責任のほかに社会的批判も避けられなくなった。 直ちに、現代自動車下請け労働者の労組である金属労組現代自動車非正規職支部は、会社に対する圧迫に出た。 現代自動車蔚山非正規職支部のイ・ジンファン首席副支部長は「不法派遣、正社員化を要求する我々の闘いが正しかったことを、最高裁が確認してくれた」として「裁判所の判決を無視し、新規採用で法的責任を避けようとしている現代自動車は、これ以上拒否する名分はないのだから、正社員転換のための特別交渉に出て来なければならない」と話した。

 現代自動車の派遣法違反による刑事処罰も、再び社会的争点として浮上する見通しだ。 2010年と2012年など3回にわたってなされた鄭夢九(チョン・モング)現代自動車会長などに対する告訴・告発(派遣法違反の疑い)事件を、検察は早く処理すべきだという声が先ず高まるものと見られる。 現代自動車はこの日、チェ・ビョンスン氏に対する最高裁判決時と同様に、「最高裁判決に従うが、勝訴した4人に対する不法派遣が認められただけだ」と述べ、判決の意味縮小化に出た。

 「2003年に労組を作る過程で解雇された私たちとしては、万感の思いがこみ上げてきますね。低賃金に苦しめられ、年次有給休暇を取ると言えば会社の包丁テロに遭った、そんな事件を経て労組を作ったんですが、長い長い時間の末にようやく正規職として認定されたんですね」。同僚たちがお祝いの胴上げをしてくれて何回か空を舞った現代車社内下請け解雇者のオ・ジファン氏(43)が語った。 2003年、現代自動車工場内で最初に社内下請け労組を作ったという理由で解雇された不法派遣の闘いの生き証人たちに、12年目にして最高裁が軍配を上げたのだ。

キム・ミンギョン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/society/labor/679930.html 韓国語原文入力:2015/02/26 21:55
訳A.K(2602字)

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