チョン・ウィソン現代自動車副会長はここ半年の間に1兆ウォン(1円=9ウォン)を超える財産を手にした。 現代グロービスとイノーションの株式持分売却を通じてだ。 チョン副会長は今月6日、時間外大量売買(ブロックディール)で現代グロービスの持分322万2170株を売った。 8055億4300万ウォン(5日終値基準)規模だ。昨年8月にはイノーションの持分72万株(40%)のうち54万株を売って3000億ウォンを受け取った。 大規模持分売却にもかかわらずチョン副会長が持っている現代グロービス(持分23.3%)とイノーション(10.0%)の株式価値は依然2兆ウォンを軽く超える。
グロービスはグループ内取引で規模拡大
イノーション・ボンテック・ウィア・オートエバーなど
手を付けた系列会社は皆同じ手法
最近は合併を通じた財産増殖が目立ち
経営権継承のための実弾確保
現代自動車“8500億ウォンは社会貢献”
■グロービスで投資金を1223倍に増加
チョン副会長が巨額資産を現金化できた背景には、種銭で先ず会社を作り先ず持分を確保しておき、グループ内での“仕事の集中割当”で規模を大きくした後に株式価値を高めるという韓国財閥3、4世経営者の典型的な“不公正な富の蓄積”過程がある。
現代グロービスは2001年にチョン副会長とチョン・モング現代自動車グループ会長が100%出資して設立した。 チョン副会長は2001年と2002年にそれぞれ14億9800万ウォンを投資して株式持分を確保した。
その後現代グロービスは、チョン副会長の確実な“金脈”になった。 業務の集中割当が主要な手段になった。 2002~2004年の現代グロービス監査報告書を見ると、系列会社を相手にした売上比重が80%を超える。グループの全面的な支援を背景にした現代グロービスの売上は、設立初年度1984億9100万ウォンから2004年には9057億5000万ウォンに急増した。 「オーナー家の会社に業務を集中発注することにより、他の系列会社のビジネスチャンスが流用された」という指摘を常に受けてきた。
蓄積した富を現金化する作業も始まった。2004年にチョン副会長は保有していた現代グロービスの持分25%をノルウェーの海運会社ウィルヘルムセンに売却し約850億2300万ウォンを稼いだ。
株価も着実に上がった。 額面5000ウォンの現代グロービス株式は2005年に2万1300ウォンで上場され、1週間も経たずに6万ウォン以上に騰がった。
以後、現代グロービスは着実に規模を拡大し売上が10兆ウォンを超えた。業務集中割当問題も続き、インサイダー取引比率は3兆ウォン台にまで増えた。 ソウル江南の韓電跡地高価買入論議で現代自動車の株価が下降曲線を描く前の昨年9月、現代グロービスの株価は33万7000ウォンまで騰がった。昨年末基準でチョン副会長の現代グロービス株式の持分価値は3兆4847億2500万ウォンに達した。 この過程で株式配当も2013年までに合計926億5500万ウォンを受け取っていた。 現代自動車側は「チョン・モング会長が2011年に5000億ウォン規模の現代グロービス株式をチョン・モング財団に出捐したのをはじめ8500億ウォンに及ぶ私財を社会貢献活動に使っている」と明らかにしたが、チョン副会長は29億9300万ウォンを投資して持分を確保した後、それをそのまま維持して株式処分と配当等を通して財産価値を1223.66倍の合計3兆6624億800万ウォンに引き上げたわけだ。
■同様手口の他の系列会社
チョン副会長が持分40%を出資した現代自動車グループオーナー家の家族会社であるイノーションも設立初年度の2005年から現代自動車グループの広告を引き受けて成長した。 設立6カ月で現代自動車グループの広告物量1400億ウォンを確保し、一気に業界5位に上がり、インサイダー取引比重が半分以上の状態で成長した。 チョン副会長は12億ウォンを投じてイノーションの持分を買い入れた後、2013年までに配当だけで165億6000万ウォンを受け取り、昨年には売却金額として3000億ウォンを手にした。まだ残っている持分の価値は343億5700万ウォンだ。残っている持分価値と売却額、配当額を合わせれば10年前の投資額の292.43倍になった。
ボンテックと現代ウィスコ(現、現代ウィア)、現代オートエバーをはじめ現代エムコ(現、現代エンジニアリング)なども“業務の集中割当と他系列会社のビジネスチャンス流用という不公正論議を呼び起こしながら富の蓄積に寄与した」という評価を免れない。
チョン副会長は2001年と2004年に合計15億ウォンを投じてボンテックの持分を買いとった。 2005年、チョン副会長はこれを売却して555億ウォンの差益を残すが、ボンテックの持分価値上昇の背景にもグループ内からの仕事の集中割当があった。 経済改革研究所の資料によれば、2001~2005年までボンテックのインサイダー取引比重は毎年90%を越えた。 初期資金源の役割をしたという評価が出てくる理由だ。
■合併作業と経営権継承
最近は合併を通した財産増加も目立つ。特に昨年相次いだ系列会社の合併は、公正取引法上の仕事集中割当規制を避けるという名分を掲げたが、結果的にチョン副会長が保有する資産の価値を高めることにつながった。 現代自動車グループは昨年現代エムコと現代エンジニアリングの合併をはじめ、現代ウィアと現代ウィスコ、現代メティアの合併、現代オートエバーと現代C&Iの合併などを進めた。 これについて「業務の集中割当などにより会社を大きくした後に規制法案が用意されると、これを避けつつ株価も高める方向で系列会社の整理がなされている」と指摘されている。
実際、現代ウィアと合併された現代ウィスコは、チョン副会長が2003年に3億9000万ウォンを投資して持分を確保したが、現代ウィアに合併された昨年9月の評価額は934億7300万ウォンで239.67倍にも膨らんでいた。2000年の設立以後、5年間で売上が7倍に増加する急速成長を見せた現代オートエバーも70%を越えるインサイダー取引比重が一役買った。現代エムコもやはり現代自動車グループ良才洞(ヤンジェドン)社屋工事を引き受けるなどの業務集中割当を通じて会社を大きくしたが、今後現代エンジニアリングが上場されれば持分価値は一層上がるというのが大勢の評価だ。
チョン副会長は投資した445億5800万ウォンを不公正問題を起こしながら4兆5429億2900万ウォンに増やした。 配当や株式売却を通じて現金化したり、まだ保有している持分価値を高めた結果だ。チョン・モング現代自動車グループ会長と故チョン・モンホン現代グループ会長の間に起こったいわゆる“王子の乱”以後、2001年に系列分離した現代自動車グループが系列会社数を増やして継承作業を始め、チョン副会長の資産価値が100倍以上に増えたわけだ。
チョン副会長の実弾確保は、経営権継承の信号弾を打ち上げる準備作業が終わったという意味にも解説される。今回の現代グロービス株のブロックディール過程でも、起亜車→現代モービス→現代自動車→起亜自動車へとつながる循環出資構造の現代車グループの支配権を確保するための鍵として議論されてきた現代モービス持分確保のための動きが始まったという分析が多く出される。 経済改革連帯は「(持株会社設立、現代モービス持分買い入れなど)多様な方法が考えられるが、ひとまず経営権継承作業のための動きが始まったと言える」と評価した。
これに対して現代自動車側は「セキュリティーが重要な新車のような場合、系列会社を通じて広告と運送も任せなければならない部分がある。グローバル5位の自動車メーカーに成長して系列会社の売上規模が大きくなったのであって、意図的な業務集中割当などではない」として「2013年からはイノーションと現代グロービスを通じて持続的に中小企業にビジネスチャンスを増やしていて、ブロックディール推進や合併も公正取引法を尊重する趣旨で数千億ウォンに及ぶ税金も納付した」と説明した。