101件のインターネット掲示板のコメント、1057回の賛成・反対クリック、そして13万6017件のツイート。ソウル高裁が2012年の大統領選挙に介入したこと認めた国家情報院(国情院)心理戦団の活動状況だ。 「自由と真理のための無名の献身」という国情院の院訓とは裏腹に、国家情報院の献身が「与党と大統領府」だけに向けられたことを示す数字だ。
控訴審裁判所は、検察が提出した証拠の中でTwitterのアカウント716個を国家情報院心理戦団所属の職員たちが使用したものと認めた。Twitterに掲載した文章も27万4800件に達すると裁判所は判断した。 1審で証拠能力を狭め、175個のアカウントとTwitterの11万件のみを国情院によるものと認めたのに比べると、採用された証拠の範囲が大幅に増えたことになる。
裁判所は、このうち、朴槿恵(パク・クネ)大統領がセヌリ党の大統領選候補に確定した2012年8月20日を基準に選挙介入の可否を判断した。大統領選挙が予定されて年に一方の候補者が決まると、事実上の大統領選挙の局面に突入するという意味なので、その後作成された有力大統領選挙候補者への賛否文は選挙法違反に当たるということだ。
これにより、裁判所は、国情院心理戦団が作成したものと認めたTwitterの27万4800件のうち13万6017件、コメント2125件のうち101件、賛否クリック1214件のうち1057件が選挙法違反に該当すると明らかにした。これらは8月21日以降の作成・クリックされており、朴大統領を支持したり、文在寅(ムン・ジェイン)、アン・チョルス当時民主党の大統領候補ないし大統領選予備選挙の候補者を誹謗する内容のものだ。
裁判所は、特に国情院が選挙時期の政治問題の流れに沿って機敏に対応した判断した。記事の内容とインタネットを通じた伝播時点が政治的状況と密接に関わっており、それ自体でも特定の候補者を落選させようとする目的が認められるということだ。 2012年8月20日、朴槿恵大統領がセヌリ党候補に選出された時、当時、民主党を非難する文章が大挙リツイートされた点、アン・チョルス元代表のクラブ・ダウン契約書(節税などのために作成された虚偽の契約書)や論文盗作に関連した非難、そして北方限界線(NLL)をめぐって議論が提起された時、文在寅代表と盧武鉉(ノ・ムヒョン)元大統領を従北勢力呼ばわりした点など、国情院心理戦団は選挙の争点に応じて朴大統領を支援し、反対側を非難する活動を行ったことが分かった。公職選挙法は、特定の人を当選または落選させることを目的とした活動を「選挙運動」として認めているが、裁判所は国情院心理戦団が組織的なサイバー活動を通じて朴大統領の当選させるための活動を行ったこと認めたわけである。
この他にも、国情院がいろいろな種類の政治問題について、野党の候補者の誹謗に関わったことも認められた。国情院は、民主党党内予備選挙過程の非民主性などを非難する一方、北方限界線問題については大統領選挙までの議論を続けるために持続的にTwitter活動を行った。また、野党の候補一本化自体にも否定的な文章を残し、無償福祉めぐる議論にも参加した。裁判所はこのような活動をすべて選挙介入だと認めた。
裁判所は国情院心理戦団がこのような「コメントの活動」に乗り出した理由も政治的な目的に応じた意図的な行為だと判断した。「最近の選挙運動は過去の大規模な集会演説のような伝統的な方法から離れ、放送とメディアを活用する方に急速に変化している」とし「(国家情報院が活用した)Twitterのような場合は、短い文章を使って作成者の気持ちをやりとりする点からして、特定の候補者や政党をサポートする感性的な選挙運動につながる可能性が少なくない」と明らかにした。新しいメディアを変則的に活用して積極的に選挙運動に乗り出したたわけだ。
裁判所は「この事件におけるサイバー活動は、憲法が求める公務員の政治的中立義務を無視したまま、国民の政治的意思決定である選挙に介入したもの」とし「代議制民主主義を損なうという根本的な非難を免れない」と指摘した。
韓国語原文入力:2015.02.09 20:51