本文に移動

朴大統領ガイドライン通りに検察が文書流出捜査結果発表

登録:2015-01-06 00:19 修正:2015-01-06 06:59
チョ・ウンチョン、パク・クァンチョンの噂をつぎはぎ
大統領発言に合わせた筋書き通りの結論
ユ・サンボム ソウル中央地検3次長検事が5日午後、ソウル瑞草洞のソウル中央地検で「チョン・ユンフェ国政介入報告書」事件の中間捜査結果を発表するため決裁書類バインダー内の資料を取り出している。 イ・ジョンヨン先任記者//ハンギョレ新聞社

“秘線介入”まともな捜査もせずに
チョン・ユンフェと“門番3人組”の疑惑打ち消し
文書流出の高強度捜査と対照的
チョ・ウンチョン、ハン警衛は不拘束起訴

 「チラシにでも出て来るそんな話のために、韓国全体が揺らぐということは本当に大韓民国にとって恥ずかしいこと」(先月7日、朴槿恵大統領)

 「今回の捜査が『チラシ』や根拠のない風説を無分別に拡大・再生産する誤った風土を是正できる契機になることを期待する」(1月5日のソウル中央地検中間捜査結果発表文)

 チョン・ユンフェ国政介入報告書事件を捜査したソウル中央地検捜査チームは5日、チョ・ウンチョン前大統領府公職規律秘書官(53)とパク・クァンチョン前行政官(警正)(48・拘束起訴)が私設情報誌水準の情報をつぎはぎした文書を作成・流出したという内容を骨格とした中間捜査結果を発表した。 朴大統領の“ガイドライン”にぴったり符合する結論だ。

 検察はこの日、チョ前秘書官を大統領記録物管理法違反と公務上秘密漏洩の疑いで不拘束起訴した。 また、パク前行政官が保管していた大統領府の文書を無断コピーし同僚のチェ警衛(死亡・公訴権なし)と韓火(ハンファ)情報チーム社員に教えたハン警衛(44)も大統領記録物管理法違反と公務上秘密漏洩、公用書類隠匿、虚偽告訴罪など4つの容疑で不拘束起訴した。

 大統領府は最初から捜査を指揮したと言って過言でない。 昨年11月28日『世界日報』が「チョン・ユンフェ国政介入報告書」を報道すると、イ・ジェマン大統領府総務秘書官など8人は名誉をき損されたとし告訴状を出した。チョン・ユンフェ氏も12月3日に告訴した。 疑惑の当事者が直ちに逆攻勢に出たわけだ。

朴槿恵大統領が昨年12月7日、大統領府で開かれたセヌリ党指導部および予算決算特別委員会昼食会で挨拶している。イ・ジョンヨン先任記者//ハンギョレ新聞社

 朴大統領は検察が捜査に着手した先月1日、大統領府首席秘書官会議で「文書流出は決してあってはならない綱紀紊乱行為」だとして、捜査の方向と事件の性格を一言で整理してしまった。 同月7日のセヌリ党指導部との昼食の席ではチョン・ユンフェ報告書の内容を“チラシ”と規定して、捜査の結論まであらかじめ提示して見せた。 収集した証拠をベースに実体的真実を糾明するという捜査の常識を否定して、検察の足を縛る発言だった。

 中間捜査結果はこの“ガイドライン”に忠実だったと見られる。検察はチョ前秘書官がパク警正を通じて17件の大統領府文書をパク・ジマンEG会長側に流出させたと明らかにした。 またチョン・ユンフェ報告書とパク・ジマン尾行説を記した文書などは、信頼に値する根拠がない状態で噂を誇張でつぎはぎしたものと結論づけた。 検察関係者は「携帯電話基地局情報とクレジットカード使用内訳、関係者の陳述などを総合的に調べたが、報告書の内容を立証する事実は見つからなかった」と話した。 検察は「チョ前秘書官らがチョン氏に対する誹謗文書を作成し、パク・ジマン会長に伝えた過程などを見れば、パク会長を利用して自分たちの役割または立場を強化する意図があったと思える」と明らかにした。

 しかし、捜査過程には随所に“ガイドライン”を逸脱しないように配慮した痕跡が見える。 まず検察は「2013年末に十常侍が定期的に集まってキム・ギチュン大統領府秘書室長交替の必要性などを議論した」という要旨のチョン・ユンフェ報告書の内容のうちソウル江南(カンナム)のJ食堂で実際にそのような集いがあったかを確認することに捜査を集中した。報告書の先に存在するかも知れない“国政介入”は暴こうとしなかった。 集いの有無で国政介入の有無に対する判断を置き換えたわけだ。

 チョン氏と門番3人組側とチョ前秘書官側に対する捜査態度は大きな違いを見せた。 国政介入疑惑の当事者側についてはチョン氏、イ・ジェマン大統領府総務秘書官、キム・チュンシク行政官だけを出頭させて調査するなど対象を最小限に抑えた。 チョン・ホソン、アン・ポングン大統領府1・2付属秘書官、ホン・ギョンシク前大統領府民政首席は何の強制性もない書面調査のみを行い、チョン氏と大統領府秘書陣に対する押収捜索など強制調査は試みさえしなかった。 検察関係者は「明確な疑惑点が現れない以上、告訴人側に対する押収捜索など強制捜査に出る名分はない」と話した。 結局、検察は2013年12月初め~2014年11月末の通信記録を中心に個人の動線などに目を通した後、疑惑を打ち消してあげた格好になった。

 反面、文書流出の捜査は強力に進められた。チョ前秘書官、パク警正、パク警正が持ちだした文書をコピー・流出させたソウル地方警察庁情報分室ハン警衛、チェ警衛の4人全員に逮捕状と拘束令状を請求した。彼らの事務室と自宅も押収捜索した。このうち検察の思い通り拘束できたのはパク警正だけだ。 チョ前秘書官は逮捕状と拘束令状がともに裁判所で棄却されたし、それに先立ち逮捕状が棄却されたチェ警偉は自ら命を絶った。

 こうした差は陳述の信憑性を問い詰めることにも反映され事件の結論と性格の規定に決定的な影響を及ぼした。 検察はチョン・ユンフェ報告書の情報提供者として名指しされたパク・ドンヨル前大田(テジョン)地方国税庁長が「パク警正にした話は誤って伝わり、誇張されて報告書に載せられた」と述べたという点も主な判断根拠に挙げた。 だが、パク前庁長は大統領府秘書陣だけでなくチョン氏の周辺人物とも広く懇意にしているという点で、パク警正が報告書に書いた内容が純粋に推測と誇張に過ぎないという結論には疑問が残る。

 ある検事長出身の弁護士は「大統領府が描いた通りの結論が出てきた。検察は捜査して処罰する機関であって、説明する機関ではないのに、どれほどの意志を持って捜査したのか疑わしい」と話した。

ノ・ヒョンウン、チョン・ファンボン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/society/society_general/672210.html 韓国語原文入力:2015/01/05 21:56
訳J.S(2810字)

関連記事