「貧富格差の深刻化」
政治・経済・社会・文化など各分野の専門家102人が挙げた韓国社会が直面した最大の問題であり至急解決しなければならない先決課題だ。
『ハンギョレ』が光復（解放）70年の新年を迎えて実施した特別専門家調査で、韓国社会の最大の問題を二つ挙げてほしいという質問に、専門家たちの65.8％が「貧富格差の深刻化」を挙げた。「失業・雇用不安定」が35.5％でこれに次いだ。 同様の質問の一般国民調査では「不正腐敗の深刻化」(39.1％)、「貧富格差の深刻化」(36％)、「政治的リーダーシップ不在」(32％)の順序で現れたことがある。
専門家たちが雇用不安定による貧富格差の深刻化を一般国民よりはるかに深刻に受けとめているのは、貧富格差が社会的不平等につながり「これによって社会的あつれきと対立も深刻化していて、人間の尊厳と価値が毀損される傾向」(イ・ホンフン法曹倫理協議会委員長)が現れているためであると解説される。 過去一年、トマ・ピケティが投げかけた“不平等”というテーマに韓国社会が熱狂したことと脈絡を共にする流れといえる。
韓国社会が最優先に解決しなければならない課題を尋ねる質問に対する専門家たちの回答は、「貧富格差の解消」(54.9％)、「市民文化の成熟」(31.6％)、「働き口創出」(25.8％)と「教育改革」(25.8％)、「政治安定」(22.3％)の順だった。 同様の質問に対して一般国民は「政治革新」(33.4％)を1位に挙げ、「貧富格差の解消」(28.3％)、「景気回復」(28.3％)などが後に続いた。 「経済が成長しても貧富格差を解消しなければ韓国社会全体が良くならない」(モク・ジンヒュ国民大学教授)という切迫感が専門家たちに強いためと見える。
「あつれき・対立が深まり人間の尊厳をき損」
「市民文化の成熟」32％「働き口」 26％
マクロ的には南北分断の解消・均衡外交
学閥・学歴ではなく能力社会になるべき
学校を入試ではなく人生の場に
持続可能なエネルギー確保も注文
今後の30年を見通した時、自身の専門分野で最も緊急な課題は何かも尋ねた。 政治・外交分野でチョ・セヨン東西大学特任教授は「朝鮮半島分断対決構図の解消と朝鮮半島周辺の戦略状況変化にともなう均衡外交」を注文した。南北関係の回復を通じて周辺国との関係で主導権を高め、米中の一方に偏らない実利外交を繰り広げよとの助言だ。 ペク・ヨンソ延世大学教授も「韓国、北朝鮮の住民が生態親和的な均衡発展を成し遂げ、それに基づいて東アジアの平和に寄与すること」を今後30年を考慮した韓国社会の先決課題に選んだ。
経済・社会分野でシン・ジンウク中央大学教授は「人口高齢化傾向を10年以内に反転させることができなければ、30年後には経済成長も福祉国家も難しくなるだろう」と警告し、少子化と老人不平等問題の解決を最優先課題として提示した。 保守的指向のチョン・ウォンチェク弁護士も「成長動力の不足により先進国へ発展できず、中進国に留まる、いわゆる中進国の罠に嵌まる危険がある」として「成長の踏み台の用意」を最優先課題に選んだ。
教育に対する注文もあった。 真の教育のための全国父母会のパク・ボミ会長は「学歴と学閥ではなく、各々が持てる能力により認められるようシステムが変わらなければならない」として、根本的な教育の変化を強調した。 具体的な教育の変化方向について、チョハン・ヘジョン延世大学名誉教授は「既存の学校教育を大学入試ではなく人生の場にしなければならない。 そのためには、学校の塀を崩し地域社会が世話する方向に進まなければならない」と提示した。
持続可能な社会のためには核発電中心のエネルギー政策を変えなければならないという注文もあった。 ユン・ギドン緑色連合事務局長は「福島事故後、核発電の危険性に対する国民の関心が高まった。 核発電と石炭火力発電から脱却し持続可能なエネルギー確保のための政策が必要だ」と強調した。
小説家のパク・ボムシン氏が挙げた光復100年を控えた韓国社会の核心課題は政治だった。政治が自らの役割を果たせない時代であるだけに「新しいリーダーシップを備えた政治家が出現し、国民に蔓延した政派主義を克服しなければならない」ということだ。
訳J.S(2089字)
