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煙突に202日、電光掲示板に34日…それでも応答がない

登録:2014-12-17 08:39 修正:2014-12-17 08:44
行き止まりの労働者の選択、高空スト
会社の労働弾圧と解雇
国も裁判所も保護膜にならない
ケーブルテレビ会社シエンエムの下請け会社労働者のイム・ジョンギュン(左側)、カン・ソンドック氏が、15日午後、ソウル中区(チュング)プレスセンター隣の電光掲示板の上で34日目ストライキを行っている。イ・ジョンヨン記者 //ハンギョレ新聞社

悲しみに耐え切れない労働者が相次いで高いところに上っている。耳を貸してくれるが人がいない時、高いところに上がらなければ、下に向かって声を張り上げることができない。工場の煙突、高圧送電塔、都心の電光掲示板など場所を問わず、労働者たちは高い壁にもたれて生きているツタみたいにひたすらよじ登る。 15日は会社の分割売却で職を失った化学繊維会社スターケミカルのチャ・クァンホ氏が亀尾(クミ)工場の煙突に上ってから202日目だ。ケーブルテレビ会社シエンエムが請負業者を変える過程で、組合員という理由などで労働者109人の継続雇用を拒否したのに対抗して、「全員原職復帰」などを求めシエンエム下請け業者の労働カン・ソンドク、イム・チョンギュン氏がソウルのプレスセンター前の電光掲示板に登ってから34日目だ。 「双龍(サンヨン)自動車の整理解雇は公正である」という、大法院(最高裁判所)の判決に絶望した双竜自動車解雇者のイ・チャングン、キム・ジョンウク氏が平沢(ピョンテック)工場にある70mの高さの煙突によじ登ってから三日目でもある。

悔しさを訴えるところがない労働者にとって最後の戦場は空だ。国内における高空ストの歴史は1931年5月28日に遡る。厳しい植民地時代平壌(ピョンヤン)の平元(ピョンウォン)ゴム工場の女性労働者、カン・ジュリョン(当時31歳)が賃金削減の撤回を求めて平壌の名所である乙密台臺(ウルミルテ)屋根に上ったのがこれまで知られている最初の事例だ。当時、彼女は「私は死を覚悟して、この屋根に上ってきました。平原ゴム社長がこの前に来て賃金減下(削減)宣言を取り消すまで、決して下りない」と宣言した。賃金削減撤回の約束を勝ち取った彼女はそれからもストライキを起こした労働者の解雇撤回のために戦い続けた。彼女は「滞空女」と呼ばれた。

1931年カン・ジュリョンから始まった労働者の高空ストは、その約80年後、キム・ジュイク、キム・ジンスック(以上韓進(ハンシン)重工業)、チェ・ピョンスン、チョン・イボン(現代(ヒョンデ)自動車)、ハン•・サンギュン、ムン・キジュ、ポック・キソン(双龍自動車)イ・ジョンフン、ホン・ジョンイン(ユソン企業)、ヨ・ミンヒ、オ・スヨン(才能教育)など数多くの点を経て、2014年12月15日、5人の解雇労働者まで線で繋がれる。その名一つ一つがすべて労働弾圧と企業寄りの国の疎通不在が残した傷というのが専門家たちの診断だ。参与連帯労働社会委員長あるイム・サンフン漢陽大学校教授は「労働者たちは、裁判所までも自分たちを保護してくれないと思うなど、国の公的なのシステムをも信じられない状況に追い込まれると、戦いの方法も非公式な手段を選ぶほかない」と指摘した。

1931年5月平壌にある密台臺屋根の上で、平元ゴム工場の女性労働者カン・ジュリョンが賃金削減に抗議するストを行っている。ハンギョレ新聞社資料写真 //ハンギョレ新聞社

ある日突然保護装置もなく、職場から追い出された労働者が高空ストに追いやられているのに、国がむしろ事態を悪化させているという指摘も出てくる。チョ・ドンムンカトリック大学校教授(社会学)は「国が使用者たちに法秩序を守るように求めるどころか、『(労働者と)妥協をするな』、『解雇・間接雇用を自由に使いなさい』という信号を送っている。他の選択肢がない労働者が最悪の選択をするように、コーナーに追い込んでばかりいる」と批判した。

空に上る労働者の声に少し耳を傾けるだけでも、早急に解決すべき問題が何かはすぐにわかる。最も多かった声は、双龍車工場の煙突から聞こえてくる解雇要件の強化と原職復帰だ。 2003年6月キム・ジュイク韓進重工業委員長が解雇者復職を要求して、釜山(プサン)影島(ヨンド)造船所85号クレーンに上ってから8年後の2011年には、キム・ジンスック民主労総釜山本部指導委員が整理解雇撤回を求めて、同じクレーンで309日間座り込みを行い、「希望バス」旋風を巻き起こした。

労組認定と労組弾圧禁止も労働者たちに厳しい選択迫る要因だ。 「創造コンサルティング」の助言を受けたユソン企業の経営陣に対抗し、ホン・ジョンイン、イジ・ジョンフン支会長が労組弾圧をやめて会社側を処罰することを求め、2012年から今年まで高空ストを行ったが、捜査機関と司法府はピクリとも動かなかった。才能教育労働者たちも解雇者の復職と団体協約の原状回復などの労働基本権回復を求め、202日間座り込みを行ったことがある。

三つ目のキーワードは不法派遣である。国家権力の無気力をそのままうかがうことができる。現代自動車社内下請労働者のチェ・ピョンスン、チョン・イボン氏が不法派遣処罰などを求め高圧送電塔で296日間座り込みし、裁判所が現代、起亜(キア)、双竜、韓国GMなど自動車4社とも不法派遣だと判決したにもかかわらず、まだそれにふさわしい刑事処罰を受けた企業の責任者はいない。これだけでなく、法に基づいて正規職に転換されたり、差別賃金を取り戻した人もいまだいない。

チョン・ジョンヒ、キム・ミンギョン記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/society/labor/669205.html  訳H.J (2307字)

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