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韓国のブラック企業「クラウン製菓」 販売目標満たせない営業社員は自腹…

登録:2014-12-15 16:07 修正:2014-12-16 05:57
売れ残りの商品のダンピング販売を黙認
裁判所、クラウン製菓の“変則販売”認定
クラウン製菓のロゴ //ハンギョレ新聞社

 一日の売り上げ目標を定めておき、これに満たなければ退勤させない製菓会社がある。 営業社員の選択は明らかだ。菓子箱を自分の車に載せておき「すべて売った」と報告する。 その後、菓子をダンピング販売して、足りない販売代金は金を借りて納める。問題はこれらすべての過程を会社が事実上強要、もしくは黙認していたということだ。

 クラウン製菓がこのような方式で営業社員に“横暴”を働いていた事実が裁判所の判決を通じて明らかになった。 ソウル西部地裁民事14部(裁判長イ・ジョンオン)は、クラウン製菓が元営業社員ユ氏(35)とユ氏の身元保証人であるイム氏(56)を相手取り、菓子の販売代金とその利子として2億550万ウォンを支払えとして起こした損害賠償訴訟で原告敗訴判決を下したと14日明らかにした。

会社側、2億ウォンの損賠賠償請求訴訟で敗訴
営業社員に月・日の販売目標を決め
売れなかった菓子は返納を認めず
社員は実績を満たすために金を借りて埋める

 ユ氏は昨年1月、クラウン製菓京仁(キョンイン)地域営業所に就職した。 すぐにダンピング販売や仮想販売などの異常な取引はしないという覚書を書いた。 クラウン製菓は取引があったかのように装って売上として報告した後に、これをダンピング販売する行為(仮想販売)を禁止する内部規定を置いている。 これによって発生した損害は営業社員が弁償することになっている。

 しかし、実際の営業現場はそうではなかった。 会社は月別・日別に販売目標を営業社員に割り当て、これに伴い給与と成果給を差別支給する方式をとっていた。 営業所長は日別の販売目標を満たせなかった営業社員には、それを満たすまで退勤させないこともあった。 販売できない菓子の在庫は返納も認められなかった。

 結局、営業社員は実績を上げるために仮想販売を行い、その菓子を自分の営業車に載せておくよう強要された。 このような菓子は取引先にダンピング販売された。 会社が定めた正常価格と“泣く泣く”営業社員がダンピング販売した商品間の差額はそっくり営業社員が埋めなければならなかった。 これを埋め合わせるために借金までした。

 そうまでしても差額を埋められなかった営業社員に対して、会社は「後で返す」という返済覚書や「販売代金の一部を横領した」というとんでもない覚書を書かせた。 これは後に会社が民事訴訟を起こす根拠になった。

 そのうえ、クラウン製菓は大型マートに43%以上の高い割引率を適用し製品を販売しながらも、中小小売店取引を行う営業社員には35%の割引率しか適用せずに営業させた。 この事実を知った零中小小売店側から同じ割引率を要求されると営業社員の状況は一層悪化した。

 ユ氏も借金をして営業を続け、九か月後に会社を辞めることになった。 退社直後に裁判所に自己破産申請までする境遇になった。 それでも会社はユ氏を相手に“会社の金を横領し損失を及ぼした”として、菓子の販売代金とその利子を払えと訴訟を起こした。

 裁判所はクラウン製菓の“横暴”を容認しなかった。 裁判所は判決文で“仮想販売は営業社員が会社に損害を与えるためのものではなく、会社の在庫管理方針によったものであり、会社の売上実績を上げるためのものと見られる”としてユ氏の手を挙げた。

キム・キュナム記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/society/society_general/669047.html 韓国語原文入力:2014/12/15 08:48
訳J.S(1580字)

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