「2018年平昌(ピョンチャン)冬季五輪の一部種目の分散開催は平昌が決めることだ」。グニラ・リンドベリ国際五輪委員会(IOC)平昌冬季五輪調停委員長は8日(韓国時間)、AP通信とのインタビューでこう話した。トーマス・バッハIOC委員長の言及で問題になった平昌五輪の分散開催に関連し、決定権限は平昌にあることを明確にしたのだ。リンドベリ委員長は「ソリ種目をできる候補地12か所のリストを来週平昌に送ることになる。来年3月末を決定期限に決めた」と付け加えた。この日IOCは五輪改革案である「オリンピック アジェンダ2020」のうちの一つである二つ以上の国家で五輪を行う方案を全員一致で承認した。
平昌冬季五輪組織委員会は「分散開催は原則的に不可能だ」と明らかにした。パク・コンマン広報委員は「施設問題は誘致当時にすでにIOCと我々との間で合意した事項がある。バッハ委員長の分散開催発言は勧告であり強制規定ではない」と話した。彼は「IOCで具体案を提示すれば検討することはできる」と付け加えた。
平昌組織委側はバッハ委員長の発言が8~9日の五輪総会で表決に付される五輪改革案アジェンダ2020の延長線上にあるとみている。昨年に第9代委員長に就任したバッハ委員長が推進するアジェンダ2020は、五輪誘致過程の簡素化と都市・国家間の五輪分散開催、五輪種目の弾力的な採択などを主な内容としている。特に天文学的な開催費用がIOCの大きな懸案になっている。現実に2018年平昌に続き2022年冬季五輪を開催する意向を明らかにしたオスロなど一部都市が誘致意思を撤回し、結局アルマアタ(カザフスタン)と北京(中国)しか残っていない。
シン・ムチョル平昌組織委広報局長は「五輪分散開催はバッハ委員長が強く進すアジェンダ2020の核心事案で、今後の大会だけでなく、すでに決定した平昌にも適用してみようという考え」としつつも「着工前の話であれば良い提案だが、すでに江原道のアルペンシアリゾートでスライディングセンターの建設に着手した状況では難しいというのが公式立場」と話した。さらに彼は「そうした状況を踏まえ事後活用方案まで十分に考慮して競技場を建設する」と付け加えた。
平昌アルペンシアリゾートに建設中のスライディングセンターは総事業費1228億ウォン規模で、昨年12月に着工して2016年10月の完工を目標にしている。費用負担は国費と江原道がそれぞれ921億ウォン(1ウォンは約0.1円)、307億ウォンだ。平昌組織委はスライディングセンターを五輪後に冬は選手たちの訓練用に使い、夏は冒険レジャースポーツ施設として活用する計画だ。組織委施設担当関係者は「すでに建設が進んでおり分散開催で工事を中断する場合、埋設費用が610億ウォン程度発生する」として「国民感情からも分散開催は難しい」と話した。
しかし、今後の運営費用などを考えれば分散開催も十分に考慮してみる必要があるという指摘もある。スポーツ評論家のチェ・ドンホ氏は「IOCがこういう提案をしたというのは、彼らの目から見て平昌の準備状態が不安だということ」としながら「感情的に受け入れるのではなく合理的に判断しなければならない」と話した。彼は「日本も当時天文学的な予算をかけてソリ種目競技場を作っておいて大会後は活用をできずにいる。ソリ種目を渡す代わりに2020年の東京夏季五輪種目のうち江原道でできる種目を受け取ることができれば、それが交渉力というものだろう」と話した。夏季五輪の場合、サッカーをはじめとして競技数が多い球技種目は分散開催が可能なものと見られる。
IOCは平昌冬季五輪のソリ種目を分散開催する場合、建設費用はもちろん毎年の維持費用にかかる300万~500万ドル(約33億~56億ウォン)を節約できると見ている。スライディングセンターは今後の活用方案が容易でないためだ。イタリアは2006年トリノ冬季五輪後に活用方案を見出せず結果的に競技場を撤去した。
この日のIOC委員会は正式種目数を28以上に増やせる案件も通過させ、2020年東京夏季五輪時に野球をはじめとしてソフトボール、スカッシュなどが正式種目に追加される可能性がでてきた。
韓国語原文入力:2014.12.09 00:14