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"環境オリンピック" 約束した平昌(ピョンチャン)のジレンマ

原文入力:2011/07/07 22:27(1380字)
ナム・ジョンヨン記者

‘原始林の宝庫’可里旺山(カリワンサン)にアルパイン スキー場 建設予定
江原道 "樹木 移植する"
環境団体 "生存率 高くない"

←可里旺山(カリワンサン)アルパイン競技場予定地

2018年冬季オリンピックの誘致に成功した平昌が‘可里旺山のジレンマ’に陥った。こちらにスキー場を建設すれば‘環境保護’というオリンピック精神に少なからぬ傷をつけざるを得ないためだ。
江原道は旌善郡(チョンソングン)、可里旺山の中峰と下峰一帯に880億ウォンを投じ10面のスロープを備えるアルパイン競技場を作る計画だ。男女スキー滑降競技が開かれるこちらの男子用スロープは中峰(高さ1433m)を出発点とし3.3km、女子用スロープは下峰(高さ1380m)を出発点とし2.5kmの長さだ。だが、こちらは韓国で生態系が最も優秀な所の一つだ。絶滅危機種であるテンとヤマネコ、ムササビなどが生息しておりトドマツやイチイが育ち山林遺伝資源保護区域にも指定されている。

山林遺伝資源保護区域は山林法により開発行為が厳格に制限されている。アルパイン競技場と保護区域の重複面積は9~10ha(2万7000~3万坪)に及ぶ。問題は代替敷地が見つからないという点だ。男子滑降スキー場の場合、長さ3360m、標高差880m以上のスロープが必要だが、こういう国際規格を満足する所が可里旺山しかない。これに伴い、政府と江原道は‘平昌冬季オリンピック支援に関する特別法’の制定を通じ山林法を回避するという立場だ。1997年、茂朱・全州冬季ユニバーシアード大会と99年江原冬季アジア競技大会の時にも使われた‘便法’だ。

そのために政府が誘致運動には積極的に乗り出しながらも、環境き損に対する検証には手を抜いていたという指摘が出ている。緑色連合は「可里旺山環境き損の可能性に対してはきちんとした論議さえなかった」と指摘した。山林庁関係者は「これと関連した公式的な協議要請や公文書を受け付けたことがない」と話した。

江原道はこの一帯の樹木を他所に移植する計画だ。だが、環境団体は「茂朱、徳裕山へ移植された樹木も枯死するなど生存確率が低い」と指摘する。

環境はオリンピック精神を実現する重要な価値に位置している。2000年シドニーオリンピックの時、オーストラリア政府は絶滅危機種である‘グリーンアンドゴールデンベルフロッグ’という稀少カエルを保護するために競技場の場所を替えることもした。平昌冬季オリンピック誘致委員会もオリンピック計画で "平昌の多様な親環境プロジェクトで生態系活性化と多様性を改善するだろう" と明らかにしている。

環境団体らでは環境き損を最小化する方案を探さなければなければならないと指摘する。ソ・ジェチョル緑色連合自然生態局長は「環境オリンピックの価値を実現するため最適な解決策を見出そうとするなら政府が原点から熟慮しなければならない」と話した。 ナム・ジョンヨン記者 fandg@hani.co.kr

原文: https://www.hani.co.kr/arti/society/environment/486375.html 訳J.S