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32年ぶりに北朝鮮スパイの濡れ衣を晴らした

登録:2014-11-27 05:55 修正:2014-11-27 08:17
当時利敵表現物だった書籍がいまだに「警察の利敵物目録」に
英国の著名な歴史家E.H カーの代表作『歴史とは何か』。ハンギョレ資料写真//ハンギョレ新聞社

 1980年代に「不穏書籍」を読んだとの理由で服役させられた人に30年ぶりに無罪が言い渡された。ソウル北部地方裁判所刑事5単独ビョン・ミンソン判事は、25日、国家保安法違反などの疑いで起訴され、1982年大法院(最高裁)で懲役2年6か月の刑が確定した金氏(53)に再審で無罪を宣告したことを明らかにした。「ソウルの春」の翌年の1981年6月、慶熙(キョンヒ)大学校の学生だった金氏は反国家団体に指定された全国民主学生連盟(全民学連)に加入し、反政府活動及び北朝鮮に同調する利敵活動を行ったとの理由で令状なしで連行された。

金氏は不法拘禁された状態で拷問を受け「利敵活動を行った」と自白した。だが、検察が金氏を起訴する際、容疑を立証する証拠として挙げたのは拷問の末に引き出した自白と金氏の所持していた書籍だけだった。E.H.カーの『ロシア革命史』やモリス・ドップの『資本主義―昨日と今日』、エーリッヒ・フロムの『社会主義ヒューマニズム』、ポール・スウィージーの『資本主義発展の理論』などが公訴状に利敵表現物として名前を連ねた。金氏は裁判中起公訴事実を否認し続けたが、一審はもちろん大法院でも有罪が宣告された。

2009年「真実・和解のための過去事整理委員会」は全民学連事件で不法拘禁と拷問があったとし、2012年大法院も関連者らによって請求された再審で無罪・免訴判決を下した。

金氏個人の申請によって開かれた再審でも、裁判所は「検察が証拠だと主張した書籍は北朝鮮との関連性が認められず、出版社で正常に出版された本だ。さらにはカーが書いた『歴史とは何か』やアン・ビョンウック(前興士団(フンサダン)理事長)の『島山(トサン)思』などが被告人の意識化過程における主要書籍として挙げられていた。思想の自由は現代民主主義を志す大韓民国で広く認められるべきだ」とした。裁判部は判決文の最後に「過去権威主義政権時代に司法府が人権を守る最後の砦の役割を果たせなかったことをお詫び申し上げる」と異例の文章を付け加えた。

 ところで30年前に利敵書籍物目録に名を連ねたこの書籍らは、大法院の判決などを基に警察が作成した「2014年利敵物目録」に依然として含まれている。

イ・ジェウック記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr )

韓国語原文入力:2014/11/25 20:38

https://www.hani.co.kr/arti/society/society_general/666096.html 訳H.J(940字)

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