本文に移動

書店で売っている本、 軍隊では好きなように読めなくできる

原文入力:2010-10-28午後08:33:32(2001字)
"将兵ら 基本権侵害発生しない" 判断
不穏書籍認知度‘国防部選択’に任せ
該当書籍 著者ら "過去に戻る決定"

キム・ナムイル記者,ノ・ヒョンウン記者

←軍隊内の不穏書籍指定は基本権侵害であるとし憲法訴訟を出したパク・ジウン(右側から)、ハン・チャンワン、チ・ヨンジュン、シン・ソンス前軍法務官が28日午後、ソウル、鍾路区、斎洞の憲法裁判所前で憲法裁判所決定に対する立場を明らかにしている。これらは「軍隊内でも不穏書籍指定は国家的恥辱だ」と話した。 イ・ジョングン記者 root2@hani.co.kr

国防部の恣意的な不穏書籍遮断指示を正当と判断した憲法裁判所の28日決定により、60万国軍将兵は軍部隊の中では市中書店や公共図書館などに置かれた23冊の本を決して読めなくなった。その上、憲法裁判所に期待をかけた不穏書籍判断を、基礎的な人文・社会科学的知識も整えられていないという批判を受けている国防部にすっかり任せてしまったわけだ。












↑ 不穏書籍事件 憲法裁判官別意見

■  "現実に柔軟に対応"
キム・ヒオク、キム・ジョンデ、ミン・ヒョンギ、イ・ドンフプ、モク・ヨンジュン裁判官は不穏図書遮断指示が‘将兵たちの知る権利などを深刻に侵害する’という主張は省みもせず憲法訴訟請求資格自体を認めなかった。「国防部長官が下す指示は一般将兵でなく部隊長らに対する指示」であるため「下級部隊長らが将兵を対象に不穏図書を実際に遮断する時にのみ基本権侵害が発生する」ということだ。‘指示は指示に過ぎない’というものだが、一糸不乱な軍の命令体系を全く考慮しない判断だという批判が出ている。国防部の指示が下された当時、軍服務をしていた相当数の予備役将兵たちは「指示により衛兵所などで持ち物検査が実施された。保安点検も実施された」と証言している。

憲法裁判所は 「書籍23冊の不穏性有無はいちいち判断しなかった」と強調した。憲法裁判所の権限外の問題だということだ。だが、却下意見を出した裁判官たちは「北韓と軍事的に対立している国家安保状況は非常に可変的なので、これをあらかじめ予測し規律しにくいだけでなく、精神戦力の領域は高度な専門的判断を要する敏感な部分であるので、(不穏の概念を)一義的に明確に規律するのは容易ではない。むしろ現実の変化に柔軟に対応できるよう不確定概念で規律する必要がある」という論理を提示した。不穏書籍指定が恣意的というよりは‘現実変化に柔軟に対応’したものと解釈したという批判が提起される内容だ。

■  "不穏性はさておき…"
国防部の不穏図書目録には、一般的意味の不穏性さえ認めがたい図書が多数含まれている。チャン・ハジュン教授の<悪いサマリア人>、クォン・ジョンセン氏の散文集<私たちの神様>、小説家ヒョン・ギヨンの<地上にひと匙>は政府・学術団体・報道機関などで優秀・推薦図書として選定した本だ。また、国家の予算支援を受け公共図書館に置かれていたりもする。イ・コンヒョン、ソン・トゥファン裁判官は「多数意見が認めた‘制限的不穏性’さえ認めがたい」として違憲意見を出した。これを根拠に「こういう本が不穏書籍と指定されたことは、軍人服務規律の恣意的執行可能性を示す生々しい事例」と付け加えた。これらは不穏の概念に対し△国家保安法上の利敵表現物であるのか△体制批判的図書も含まれるのか△それより低い政府批判的図書も該当するのか 「軍人服務規律ではとうてい分からない」とした。

イ・ガングク裁判官(所長)も軍人の基本権は組織の特性上ある程度制限されうるという、いわゆる‘特別権力関係’に対し 「古典的理論であり、今日確立された法治主義憲法秩序には基本権制限に対する司法的統制は例外なしに適用されなければならない」とし違憲意見を出した。

■軍が精神世界統制
国防部が不穏書籍に選定した<大韓民国史>を書いたハン・ホング聖公会大教授は「軍将兵たちの人権水準が着実に高まってきたが、これを過去に戻す決定が下された点について憂慮する」と話した。パク・ギョンシン高麗大教授は「軍という特殊な空間では、ある程度 基本権が制限されることがありうるという点は認めるが、精神戦力を理由に‘本を読む権利’まで阻めると見たことは違憲的」とし「個人の精神世界に政府と国防部が介入する方式で思想統制がなされかねないという点で今回の憲法裁判所決定は納得できない」と話した。

キム・ナムイル、ノ・ヒョンウン記者 namfic@hani.co.kr

原文: https://www.hani.co.kr/arti/society/society_general/446088.html 訳J.S