暴言を吐く顧客には電話を切って報告
安静が必要な時は早退などを許容
心理相談専門機関と連係
感情労働を団体協約に含めたり
別途に手当てを支給する企業も
顧客に応対した社員が悪口や暴言を浴びせられた時、会社はどのように対処しなければならないか? 「お客様は神様」だから我慢しろと命じるか、あるいは、たとえ顧客を失うことになってもまず職員を保護しなければならないか?今後、イーマート(訳注:韓国の代表的大型マート)の顧客応対社員はそんなことが起こった場合「相談が困難です」と了解を求めた上で、通話を切った後に部署長に報告すればすむようになる。 心に傷を受けた職員に対しては、休息が必要と判断されれば部署長は早退などの勤務調整措置を取り、最高の先任者や自分自身が代わりに顧客と通話することになる。
イーマートの職員たちが顧客に応対する時に受けるストレスによる“感情労働”を認めてほしいと要求してきたことに対して(ハンギョレ6月19日付)、会社が代案プログラムを用意したと14日明らかにした。 顧客に応対する時に発生しうるストレスを予防し、社員を保護するための「イーケア(E-Care)」プログラムだ。
まずイーマート150全店舗に店長らが参加する内部苦情処理委員会の力量を強化するために相談教育を実施し、業務関連ストレス相談だけでなく家庭、子供の問題など個人的な問題についても心理相談を行う予定だ。 感情労働により職員に心理的安静が必要だと判断されれば、早退させ休憩室も改善する予定だ。 状態が深刻な職員のためには心理相談の専門機関である韓国EAP(Employee Assistance Program)協会の協約機関との相談と連係することにした。 極端な悪口などを言う顧客に対しては、顧客の了解を求めて電話を切れという初期対応マニュアルを製作し配布した。 また、各店舗ごとに顧客応対が優秀な職員を選抜し、消費者専門相談士資格証の取得を支援する計画だ。
顧客対面が多い流通業界を中心に、職員の感情労働に対する代案準備が進んでいる。“お客様は神様”という風土の下に職員に全面的責任を転嫁するのが以前の文化だとすれば、職員のうつ病、自殺など深刻な後遺症が社会的に台頭して“悪質な顧客”を選び出して職員を保護しようという動きが広がっているわけだ。
イーマートの場合、職員が労働組合を中心に昨年から感情労働の価値を認めてほしいと訴えてきた。 イーマート労組は昨年4月から今年4月まで「感情労働の価値認定と顧客応対マニュアル作成」を団体協約に反映させることを要求した。 チョン・スチャン イーマート労組委員長は「感情労働は顧客応対の内部原則が守られないために発生する場合が多い。 例えば、領収書持参、期間基準などの払い戻し規定があるが、顧客が規定を拒否した場合、末端職員が原則通り対応しても管理者が現れ顧客の希望通りの措置を取るケースが多い。 マニュアルも重要だが、そのような状況を源泉から遮断できる環境造成も重要だ」と話した。
イーマートに先立つ今年1月にはホームプラスが、「‘労使は組合員の感情労働の価値を認める」という条項を団体協約に含めた。 釜山のロッテ百貨店は「感情労働者自己保護マニュアル」を用意し“感情労働者ヒーリング・プログラム”も運営中だ。
感情労働に対して別途の手当てを支給する企業も増えている。 ロレアル・コリアは全国のデパートで化粧品を販売する職員に月10万ウォンの感情労働手当てを支給している。 年間1日の休暇も別途与えられる。 資生堂は月額4万ウォンの手当てを、釜山新世界免税店は月額3万ウォンの手当てを支給している。 大型マートの中では手当てを支給する所はまだない。
流通企業ではないが顧客対面が多いサムスン・エバーランドも感情労働に従事する職員のための心健康管理専門プログラム“ビタミン キャンプ”を開発し、今年6月から運用している。