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サムスン電子半導体工場で多発の白血病 二審でも一部が労災

登録:2014-08-21 22:17 修正:2014-08-22 07:30
サムスン電子で7年間にわたり設備エンジニアとして仕事をし、白血病に罹って2005年に亡くなったファン・ミヌン氏の夫人チョン・エジョン氏が21日午後、ソウル瑞草洞(ソチョドン)のソウル高裁で開かれた控訴審で原審同様に敗訴し、涙を流して裁判所を後にしている。//ハンギョレ新聞社

2人に「白血病の原因物質であるベンゼン・電離放射線露出」認定
3人に「取り扱い化学物質と発病には関連性がない」と不認定

パンオルリム「立証の困難性を考慮していない」
サムスン「早期解決に努力する」

 裁判所が「サムスン電子」の半導体工場で働いた一部労働者の白血病を労災だったと繰り返し認めた。 労働者が白血病などと関連があるベンゼンなどの有害物質に露出していたという判断からだ。 サムスン電子が作業場環境と白血病の因果関係を否認しているなか、裁判所が相次いで彼らの主張に反する結論を下したわけだ。 今回の判決がサムスン電子と被害者支援団体の「半導体労働者の健康と人権を守るパンオルリム」(パンオルリム)との交渉にどんな影響を及ぼすかが注目される。

 ソウル高裁行政9部(裁判長イ・ジョンソク)は21日、サムスン電子半導体工場で仕事をして白血病で亡くなったファン・ユミ、イ・スギョンさんの遺族が勤労福祉公団を相手に起こした「遺族給付および葬儀費不支給処分取消」の訴訟で労災を認めた。 しかし、共に訴訟を起こしたファン・ミヌンさんの遺族など3人に対しては「因果関係がない」と判断した。 すべて1審と同じ結論だ。

 裁判所はファン・ユミさんとイ・スギョンさんが白血病の原因物質として知られているベンゼンと電離放射線に露出していたことを認めた。 裁判所は「洗浄作業に回されたウェハー(半導体の材料になる薄い原版)の中にはベンゼンを含む感光剤が除去されていなかったウェハーも存在したものと考えられる…。随時、他のベイ(作業場)まで往復する過程で電離放射線に露出した可能性がある」と明らかにした。

裁判所は1審とは異なり、ガスの漏出を知らせる検知器が作動したことから高濃度有害物質に露出した可能性があり、3交代勤務制が呼び起こした過労やストレスも白血病の発病と関連性があると見た。 反面、1審とは異なり「半導体工場で仕事をする女性労働者が一般国民より白血病などによる死亡比率が高い」とする2008年度の産業安全保健研究院の疫学調査結果は受け入れなかった。 故ファン・ミヌンさんなど3人に対しても、「有害物質に一部露出した可能性」は新たに認めながらも「直接取り扱った化学物質と白血病発病の関連性があるとは見難い」と結論を出した。

 パンオルリムは判決後に声明書を出し、「サムスン半導体工場だけで白血病など重症リンパ造血器系疾患が発病した人が約70人に達するだけに、今回の判決で他の被害者にも労災認定の道が開かれるよう願う」と明らかにした。パンオルリムは労災を認められなかった3人について「裁判所は数百種の有害要因に複合的に露出しうる半導体工程の特殊性および被害立証の困難な状況・経緯などを考慮していない」と指摘し、労災立証責任を労働者側に押しつけている現行法制度の改善を要求した。

 パンオルリムは今回の判決を機にサムスンに対する圧迫を強める見込みだ。パンオルリムのイ・ジョンナン労務士は「労働者が有害化学物質に露出したことが再確認された」として「サムスンは工場の作業環境と白血病の業務関連性を認め、謝罪しなければならない」と話した。 また、半導体工場で用いる‘化学物質’に関する情報公開要求も強化する計画だ。 被害者に対する補償範囲を巡る両者の異見は平行線を辿るものと見られる。 サムスン側は交渉に参加した8人の優先補償を、パンオルリム側は労災申請で被害を主張する人々全員に対する補償を主張している。

 サムスン電子は「裁判所の判決を尊重して、会社はすでに苦痛を被っている家族に対する謝罪、補償、予防努力を約束しているので、交渉を通じて早期に問題を解決するよう努力する」と明らかにした。

キム・ミンギョン、イ・ジョンエ記者 salmat@hani.co.kr

https://www.hani.co.kr/arti/society/labor/652257.html 韓国語原文入力:2014/08/21 21:30
訳J.S(1810字)

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