本文に移動

白血病の再発防止対策要求に「問題ない」と言ったサムスン半導体で労働者がまた死亡

登録:2014-08-05 00:39 修正:2014-08-05 17:34
三星(サムスン)電子半導体工場勤務後に白血病で死亡したファン・ユミ氏の7周忌記者会見が去る3月3日午前、京畿道(キョンギド)龍仁市(ヨンインシ)の三星電子器興(キフン)工場正門で開かれている。 この日‘半導体労働者の健康と人権を守るパンオルリム’会員たちはこの間に三星で働いて死亡した労働者の遺影を掲げて三星に問題解決のための交渉に応じろと要求した。 龍仁/シン・ソヨン記者 viator@hani.co.kr

23年間 設備維持・保守業務に従事した40代
高濃度有害物質に露出した可能性

サムスン、パンオルリム側の要求案を繰り返し拒否
態度変化なく交渉も危機に陥る展望
サムスン「遺族の痛みを減らすため努力する」

 サムスン電子の半導体工場で勤務した労働者がまた一人、白血病で亡くなった。 労働者たちが有害環境に依然として露出しているという傍証だ。 ‘半導体労働者の健康と人権を守るパンオルリム’(以下、パンオルリム)の有害環境改善要求に対し‘無理な要求’だとして対立してきたサムスン側の立場が揺らぐことになった。

 パンオルリムはサムスン半導体温陽(オニャン)工場で勤務するイ・ボムウ(46)氏が1日、急性骨髄性白血病で死亡し4日に葬儀を行ったと明らかにした。 イ氏がからだに異常を感じたのは先月のことだ。 直ちに病院を訪れたが、白血病の診断を受け、坑癌治療を受けて1ヶ月も経たずに亡くなった。 キム・ミンホ労務士(労務法人 チャムト忠清(チュンチョン)支社)は「遺族が労災を申請する意向を明らかにした」と伝えた。

 イ氏は高等学校卒業後、1986年からサムスン半導体富川(プチョン)工場で働き、1991年から今まで23年間は温陽工場で設備維持・保守業務を担当してきた。 イ氏の業務は2012年に産業安全保健研究院でも‘短期間に高濃度の有害物質に露出する可能性があり、作業者が有害物質の濃度を確認できるようモニタリング システムを補完する必要がある’と指摘した経緯がある。

 温陽工場では労働者の職業病被害が多数発生している。 2010年に白血病で亡くなったパク・チヨン(当時23才)氏、2012年に脳腫瘍で亡くなったイ・ユンジョン(当時32才)氏、同年に卵巣癌で亡くなったイ・ウンジュ(当時36才)氏なども全てこの工場で勤務していた。 パンオルリムは「今までに情報提供があった温陽工場労働者の職業病発病事例だけで35件に達する」と明らかにした。

 これに対しパンオルリムは再発防止を目的として△安全保健管理総合診断△化学物質取り扱い現況など情報公開△事業場安全管理の外部監督△労働者参加のための労組設立・労組活動妨害の禁止、などをサムスン側に要求してきた。 しかしサムスン側は、総合診断は受け入れるが、他は「無理な要求」だとして受け入れを拒否している。

 サムスンの公開謝罪により突破口を開いたパンオルリムとの交渉が、再発防止対策の受け入れ可否および謝罪・補償などを巡り空転を繰り返していて、イ・ボムウ氏の死にもかかわらずサムスン側に態度変化がないならば、交渉が危機を迎える可能性がある。 パンオルリムのイ・ジョンナン労務士は「職業病被害が今も発生しているのに‘既にできている、問題ない’という態度に固執するサムスンを信じられるか」と反問した。 チョ・ドンムン‘サムスン労働者の人権を守る’常任代表(カトリック大教授)も「サムスンがまた新たな死の前でも態度に変化がないならば、交渉の真正性を疑わざるをえない」と批判した。

 サムスン電子関係者はこの日「故人の残念な便りに深い哀悼の意を表し、遺族の苦痛を少しでも減らせるようすべての努力をつくす」という公式反応以外には具体的な言及を避けた。

キム・ミンギョン、イ・ジョンエ記者 salmat@hani.co.kr

※パンオルリムとは…韓国語で「半音上げる」の意味で#記号を表わす。Supporters for Health And Right of People in Semiconductor Industry(半導体労働者の健康と人権を守るサポーターたち)の頭文字を取ってSHARP=#と命名され、2007年に設立された。

https://www.hani.co.kr/arti/society/labor/649832.html 韓国語原文入力:2014/08/04 22:16
訳J.S(1673字)

関連記事