日本政府が‘河野談話’の核心である日本軍慰安婦動員の強制性を事実上否認して、韓-日間で事前調整したかのように明示した検証報告書を出したことに対して、韓国政府は外交部スポークスマン名義で反論声明を出した。 予想以上に強硬な日本の報告書内容に当惑する雰囲気も感知される。 しかし、駐韓日本大使館関係者たちを召還するなどの具体的な‘行動’は取らず、事案の重大さに比べて過度に消極的に対応しているのではないかという批判も起こると見られる。
まず韓国政府は声明を通じて、日本が河野談話を継承すると言いながら、これを検証すること自体が矛盾した行為という点を何度も強調したという点を再確認した。 日本の検証作業自体を源泉から否定したわけだ。
また、韓国政府は日本政府が今回の検証目的が談話作成の経緯を客観的に調査するだけだと主張しているが、実際の内容を見れば事実関係を糊塗していると反論した。検証報告書は日本政府が韓-日間で事前協議をしたというような内容を含んでいるが、政府は「(当時)真相究明は両国間交渉の対象ではないという立場を明確に堅持したし、日本側の度重なる要請により非公式に意見を提示しただけ」というものだ。
韓国政府は日本政府が日本軍慰安婦動員の強制性を認めないとする態度を巡っても「(当時河野談話を作成するために日本政府が会った)16人の被害者ハルモニ(おばあさん)の生々しい証言こそが日本軍慰安婦問題の強制性を立証するいかなる文書より強力で明確な証拠」と強調した。
韓国政府は日本政府の検証報告書発表が、国際社会での‘世論戦’の性格を帯びていると判断して、これに対しても積極的に対応することにした。 政府は「日本側が発表した河野談話検証結果の詳しい内容に対する韓国の評価と立場を別途明確にする」としながら「国際社会とともに適切な対応措置を取っていくだろう」と明らかにした。
韓国政府は更に付け加えて「日本政府が過去の過ちに対する真の反省に基づいて、日本軍慰安婦被害者問題に対する責任を明確に認め、一日も早く被害者ハルモニが納得できる解決策を提示しなさい」と促した。
しかし韓国政府は、日本の教科書歪曲などに対してこれまで駐韓日本大使や公使などを呼んで抗議したような強力な外交的措置をこの日は取らなかった。 政府が今後の対日関係を考慮して対応強度を調節していると見られるが、慰安婦問題が教科書や独島(ドクト)問題に劣らない深刻な人道主義的事案であることを考慮すれば、政府の立場が過度に消極的と言えるわけだ。
イ・ヨンイン記者 yyi@hani.co.kr