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<もう一つの約束> 観た三星の社員たち「ごめんなさい」「ありがとうございます」

登録:2014-02-27 15:55 修正:2014-02-28 07:24
映画<もう一つの約束>は、三星電子の半導体工場で勤務して白血病で死亡した労働者の実話を扱った。大企業を相手に苦しい法廷攻防を繰り広げる父親の話の中に家族の濃い愛情を描く。エイトボルピクチャーズ提供

三星半導体の前・現職員たち“お礼のリレー”
「三星は多くの労働者の力が加わって生まれたもの」
「ごめんなさい…そして、ありがとうございます」

 三星(サムスン)半導体で生産職として勤務し白血病にかかって命を失った故ファン・ユミさんの話を盛り込んだ映画<もう一つの約束>を観た三星半導体の前・現職員たちが、一人二人と口を開いてお礼のリレーを続けている。

 半導体労働者の健康と人権を守る<パンオルリム>のオンラインカフェ(http://cafe.daum.net/samsunglabor)の自由掲示板にこの17日、「ほんとうに尊敬します。そして、感謝します」というタイトルの文が掲載された。「2002年7月、ユミが働いていた第3ラインで一緒に勤務し、ユミの最初と最期をすべて見守った」という筆者は「映画の始まる前から本当にたくさん泣いたし、映画を観た後、忘れていた同期や先輩、後輩たちに「元気ですか」と安否を問いもした」として、故ファン・ユミさんと彼女の両親に「申し訳なく、また、感謝いたします」という言葉を残した。

 彼女はこの文で「仕事は本当にきつかった」として、「メールもインターネットも全て保安だから監視されていてカメラも使用できなかった」という当時の状況を伝えた。 「その時期、第3ラインでは同じ勤務班、同じパートの18~20人のうち2人が白血病で死亡し、1人は妊娠9ヵ月の子どもを失った」ということだ。本人もまた「アレルギーと皮膚疾患、椎間板ヘルニアなどで休日は物理治療に追われ、退社して5年ほど経った今も親指の爪には重金属の後遺症が残っている」と付け加えた。

 「彼女(ファン・ユミさん)の姿を見ながら離職を決心し、2009年2月の退社後は大学に進学して、現在は病院で作業治療師として働いている」というこの人は、「時間が経って後悔の思いが残るが、今からでも後輩たち先輩たちの健康と今後のより良い未来のために力になりたい」と述べた。パンオルリムのカフェ掲示板には、この文のほかにも「25年前サムスン電子に入社した者」、「三星の協力会社で働いた労働者」などと自己紹介をした人たちが書き残した感謝と応援のコメントはもちろん、遺族にカンパを送る方法を尋ねる書き込みが寄せられもした。

 それに先立って、映画が封切されたこの6日には、あるネチズン(ニックネームeunb****)が「私は半導体工場の女性職員です」というタイトルでネイバーに掲載した映画レビューが社会関係網サービス(SNS)を通じて伝えられ、話題になったりもした。 「ユミさんのように(2007年4月)19歳の時から昨年12月31日まで足掛け7年間、その半導体工場(三星半導体器興(キフン)工場)に勤めた」という筆者は、映画の中に描写された半導体工場の劣悪な環境が事実だったことを証言し、「この映画を作ってくださった方に、本当に感謝しています」とその気持ちを伝えた。

2003年に三星(サムスン)電子器興工場に入社した後、3年目に白血病で死亡した故ファン・ユミさんの話を扱ったこの映画に対し、メガボックスは映画の封切を翌日に控えた2月5日、一方的に映画館を15ヵ所から3ヵ所に減らした。(訳注:その後、世論の批判を受けて3ヶ所から22ヶ所に増やした)

 彼女は「今まで休んだのは、7年間で会社の休日を除いて一週間しかない」と伝えた。「盆正月にも一度も帰省したことがない」という。「長時間立ったままで、ある時は重いものを持って仕事をして、2年前に足が酷くしびれてきて仕事中にふくらはぎの筋肉が急に収縮する現象が頻繁に起きて病院に行ったら椎間板だった」という自分の経験も伝えている。特別勤務、延長勤務で9ヶ月も病院に行けずに痛みを我慢して働いて、結局、花のように若い年ごろで4番、5番の脊椎骨に人工脊椎をはめる手術を受けたが、労災承認どころか「やめるつもりなら(労災のことを)言え」と言われただけだったと付け加えた。そして「休み始めて2ヵ月目だが、今が天国」だと言い、「もう、一ヶ月に80万ウォンでもいいから心が楽な所で働きたい」という。

 実際にサムスン半導体に勤めていると明らかにしたあるネチズン(ニックネーム han*****)も、ネイバーの映画レビューコーナーに「白血病にかかった原因は正確には分からないが、一つはっきりしていることは、三星半導体で働くのは体にあまり良いとは言えない…そう言いながらも、他に食べていく道がないから働いているが、三星側でいろんな病気にかからないように確かな代案と措置があったらと思う」という文を残した。彼は「三星という企業はイ・ゴニ会長一人の力でできたのではなく、多くの労働者の力が加わったからできたのだということを忘れないでほしい」と言い、「白血病で故人になった労働者の方々に心から哀悼の意を表する」と付け加えた。

イ・ジョンエ記者 hongbyul@hani.co.kr

https://www.hani.co.kr/arti/society/society_general/624861.html 韓国語原文入力:2014/02/19 16:02
訳A.K(2289字)

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