朴吉淵(パク・キルヨン)<タンポポ障害者夜学>校長
「すべての障害者に同等の支援をすべき」
ハ・サンリュン(40)氏は下半身麻痺に意思疎通の困難な脳病変1級障害者だ。電動車いすに乗るハさんは2009年療養院を出て、障害者同士が集まって暮らすソウル水踰洞(スユドン)の自立生活体験ホームで生活している。 これといった稼ぎのないハさんは「親に財産がある」という理由で「扶養義務制」に引っかかり、基礎生活受給者になれなかった。扶養義務制は障害者の父母や子供に財産があれば、彼らに扶養義務があるものとみなして当該障害者を基礎生活受給者から除外している。
「70歳の父は鷹岩洞(ウンアムドン)に小さな家を一軒持っていますが、ゴルフ練習場の管理人をして月50万~70万ウォン(約5~7万円)を稼いでいます。でも、私には何の援助もしてくれません。扶養義務制を置いたのは財政不足のためでしょう。だったら、不必要な土木事業など、とんでもない支出を減らせば、福祉に税金を使うことができるはずなのに・・・。」
国連が定めた世界障害者の日の3日、ソウル光化門駅地下道の「障害者等級制・扶養義務制廃止共同行動」の座り込み現場で会ったハさんは、切迫した事情を言語障害の中でかろうじて話してくれた。座り込み場では100万人を目標に署名活動をしている。その横を通行人の足がそ知らぬふりで通り過ぎる。 ここには全部で4つの遺影がある。 活動補助人がいない間の火災で亡くなった障害者活動家の金柱永(キム・ジュヨン)さん、両親が仕事に出ている間に火災で亡くなった京畿道坡州(パジュ)の幼い兄妹のチウとチフン、障害等級再審査で脱落し受給資格を剥奪されて自ら生を終えたパク・ジニョンさんだ。 “人間らしい暮らし”を要求する籠城闘争の同伴者は、皮肉にも4つの遺影に代表される“国家が放置した死”だった。
働くことのできないハさんは、住民センター(洞事務所)に基礎生活受給者の申請をしたが、一人食べるにもぎりぎりな父親が障害物となった。 基礎生活受給者になれば、生計・住居・医療・教育給与など、月57万ウォンあまりを受給できるが、次上位階層であるハさんは毎月障害者年金の17万ウォンしか受け取れない。月138時間の活動補助人費用11万3900ウォンも結局自己負担だ。
朴槿恵(パク・クネ)大統領は昨年、大統領選挙候補者時期にはすべての障害者に障害者年金を支給すると約束したにもかかわらず、結局、基礎年金と同じく所得下位70%の障害者にのみ支給すると言葉を変えた。
この日、地下の座り込み場の上の光化門広場では「障害等級制・扶養義務制、 間違ってるじゃないですか~」の宣布式が行われた。この行事に参加したタンポポ障害者夜学の朴吉淵(パク・キリョン)校長(49)は、障害者等級制の問題点を逐一わかりやすく説明した。「私が知っている52歳の脳病変1級のミン・ビョンウクさんが昨年11月、障害者等級の再審査を受けた後、5級に落とされました。 日常生活で困難な部分は何か、そういうことを計算して等級再審査をすべきなのに、映像撮影を通して脳病変の大きさなどを計って判定したというんです。右手しか使えないのに、障害5級というのは話になりますか? 再婚した80才の母親に財産があるからと基礎生活受給者からも脱落したんですが、区役所に抗議し、焼身自殺を試み、それでやっと受給者になりました。」 彼らは障害等級制を撤廃してすべての障害者に十分かつ同等の支援をすることを要求している。
この日、宣布式参加者たちは「誤った制度が改正されるために、障害者と貧困層があとどれだけ命を落とさなくてはならないのか」と問うた。 昨年8月に開始し、来月3日の座り込み500日目まで30日間続く「障害等級制・扶養義務制、間違ってるじゃないですか~」のリレーキャンペーンには、ペク・キワン統一問題研究所長、ホン・セファ<言葉と弓>発行人、チャン・ハナ民主党議員、パク・ネグン<人権中心、人>所長、ピョン・ヨンジュ映画監督、歌手カンホダリムなどが参加する。ソン・ジュンヒョン記者 dust@hani.co.kr