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[社説] 差別禁止法は人権国家の最低限の条件

登録:2013-04-13 22:20 修正:2013-04-13 22:37

 <ハンギョレ>が連載している‘差別に代えて差異に’のシリーズ記事は我々に多くのことを考えさせる。社会には同性愛者や障害者、未婚の母以外にも性別や地域・学歴はもちろん政治志向や皮膚の色を理由にした差別が随所に潜んでいる。役場や保健所に行くたびに "未婚の母になった理由は?" という質問のために外出もはばかれるというキム氏や、サウナに行くのでさえ人目を気にしなければならないという同性愛者イ氏の例は氷山の一角にすぎない。一時期、各政党が地域差別禁止法の制定を公約にしたほど、出身地にまつわる差別は気づきにくい形で我々の暮しの中に潜んでいて、転入者に対する侮辱的な行為はマスコミで取りざたされる以上に頻発しているのが現実だ。

 しかし国会がすでに三回にかけて進めている差別禁止法立法の動きが今回もまた難航しているという。民主統合党のチェ・ウォンシク議員が代表発議して、9日に立法予告をした差別禁止法案に対して、昨日までになんと10万6643件のコメントが寄せられ、その大部分が反対意見だった。問題は宗教的な理由から同性愛に反対する意見が大多数だという点だ。特に一部のキリスト教保守系宗派は、同性愛者や従北(訳注:親北朝鮮)勢力、性犯罪者を一連の‘社会3悪’として清算運動まで行っているという。差異と差別を区分できない偏狭な姿勢と言える。

 チェ議員らが提案理由で明らかにしたように、この法案は "人権向上と社会的弱者および少数者の人権保護" のための最低限の条件だ。障害や性別にともなう差別を禁止する法をそれぞれ別に設ける代わりに、それらを包括して適用範囲を拡げ、出身地域や皮膚の色、学歴、年齢、思想、病歴、宗教、容貌などの身体条件、婚姻有無を理由にしたあらゆる差別を禁止して、それによる被害を訴訟などで救済できるようにしている。

 おそらく民主国家、人権国家ならば最低限このような原始的な差別や不平等を容認してはならない。国連の人権理事会が各国に包括的差別禁止法の成立を促し、多くの人権先進国がそのような法や制度を採択している。わが国政府もすでに立法を約束した事項であるという点も忘れてはならない。 宗教的な理由などで今回も差別禁止法の成立が挫折するならば、我が国は人権後進国という汚名から抜け出すことはできないだろう。

 特に、北韓の人権問題に関心を持つ人ならば、当然差別のような私たちの身の回りの人権問題にも関心を持ち是正する努力をすべきだ。米国最高裁の同性結婚裁判は派手に取り上げておきながら、私たちの身近な同性愛者の差別問題をないがしろに扱ったことが、もしやないか、言論も一緒に考えてみるべきだ。

https://www.hani.co.kr/arti/opinion/editorial/582571.html 韓国語原文入力:2013/04/12 19:13
訳T.W(1228字)