"15泊16日の長く遠い旅程がきつくて疲れ果て、あきらめたいと思った時が何度もありました。 鎮痛剤を飲みながら全国を巡りソウルまで訪ねてきたのは、密陽で起きていることを全国民に知らせ‘第2の密陽’が生まれないようにするためでした。"
12日午前、ソウル江南区(カンナムグ)三成洞(サムソンドン)の韓国電力公社(韓電)本社前で、密陽(ミリャン)上東面(サンドンミョン)錦湖(クムホ)マウル里長パク・チョンギュ(52)氏が直接手で書いた記者会見文を淡々と読み上げた。 パク氏は同じ村の隣人パク・ムニル(48)、チョン・テホ(36)氏とともに先月28日国土縦断を始めた。 20日間に及ぶ断食までした直後であった。 3人は密陽から出発して大邱(テグ)・漆谷(チルゴク)・永同(ヨンドン)・大田(テジョン)・世宗(セジョン)・天安(チョナン)などを巡り450km余を歩いて、この日最終目的地であるソウルに到着した。
密陽から別に上京して来た住民10人余り、環境団体活動家、キリュン電子労組員など40人余りが彼らを迎えた。 パク・チョンギュ氏は「政府と公権力に対抗して住民が合法的に送電塔工事を阻む方法はもはや無かった。 身体が壊れようとも国民に密陽の痛みを伝え、韓電と政府に私たちの真心を伝えるために歩いてまた歩いた」と話した。
世論の無関心と‘地域利己主義’という非難に苦しめられた密陽住民たちは、国土縦断を通じて直接他地域の住民たちに密陽送電塔問題を知らせ共感を勝ち取った。 パク・チョンギュ氏は「他地域の住民たちが言うには、‘十分な補償をしているのになぜそんなに騒ぐのか’と言われました。 苦しかった。 その住民に私たちは密陽住民の実態を分かってもらうために長い時間をかけて話した。 そして初めて韓電に対して怒り、共に悔しさを爆発させた。 他地域の住民たちは密陽事態という名前は聞いていても、実際にどんなことが起きているかは知りませんでした」と話した。
この日明け方、徒歩巡礼団を応援するために密陽から上京して来たキム・ヨンジャ(57・上東面(サンドンミョン)ヨス村)氏は「私どもの戦いが初めは自分を守る戦いだったが、今は国のための戦いだと思います。 都市で生活する人々が使う電気のために美しい山川と村の共同体を根こそぎ破壊するこの事業は中断されなければならない。 必ず最後まで密陽を共に守ってほしい」と話した。
この日、ソウル市内巡礼は警察に阻まれあちこちで支障をきたした。 住民たちは韓電から国会まで、国会から大漢門前まで歩道を通って移動する徒歩巡礼を計画したが、警察が許さなかった。 ‘未申告’の不法行進という理由からだ。 結局、住民たちは韓電社屋から清潭(チョンダム)駅交差点までの1.5kmほど、一行を分散させて歩き巡礼を断念した。 国土巡礼団と住民たちは午後4時から汝矣島(ヨイド)の国会議事堂前から中区(チュング)徳寿宮(トクスグン)大漢門前まで7.65kmを行進する計画だったが、同じく警察が「一般市民のように歩け」として‘身に着けたポスター’等をはがすよう要求した。 イ・ゲサム‘密陽(ミリャン)765kV送電塔反対対策委員会’事務局長は「個人が歩道を自由に移動することをなぜ阻むのか。 密陽でもソウルでも公権力行使がひどい」と話した。
イ・ジェウク、キム・ヒョシル記者 uk@hani.co.kr