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‘違法’に合意した与野党…悪い先例を残した

登録:2013-07-02 23:47 修正:2013-07-03 06:27
ニュース分析‘対話録原本公開’国会通過
2日午後ソウル汝矣島(ヨイド)の国会で開かれた316回国会(臨時会)本会議で、2007年2次南北首脳会談会議録、録音記録物など国家記録院保管資料提出案が賛成257人、反対17人、棄権2人で通過している。 2013.07.02.ニューシス

‘最小範囲閲覧’規定法を越えて
録音ファイルなど資料一切を公開要求
セヌリ、南北関係を生贄とみなし
民主、国家情報院の無断公開 焦点ボカシ

 セヌリ党と民主党は2日、国家記録院に保管されている‘2007年南北首脳会談関連会議録’(対話録)等、関連資料一切の閲覧および公開を国家記録院に公式要求した。 午後の本会議で‘2007年南北首脳会談関連保管資料提出要求案’を在籍議員276人中 賛成257人、反対17人、棄権2人で通過させた。 しかしこれは、国家安保次元で少なくとも30年間保護するように定めた軍事・外交・統一に関する国家記録物を与野党が国内政治的利害関係により公開することにしたことであり、政略的談合という批判が出ている。

 両党は午前の院内首席副代表会談で 「資料一切を閲覧・公開して盧武鉉前大統領と金正日国防委員長間の西海(ソヘ)NLL(北方境界線)関連対話の真相が何か事実を確認しようと思う」として、要求案処理に合意した。 両党は2007年南北首脳会談当時、盧大統領と金委員長の会議録、録音記録物(録音ファイルおよび録音収録を含む)等の関連資料一切、わが政府の首脳会談事前準備および事後措置と関連した会議録、報告書、電子文書など付属資料を全て閲覧・公開することを要求した。 この合意を巡って両党内部で反対意見が出てきて、午後にそれぞれ議員総会を開いて要求案通過を党論として決めた後、国会表決に臨んだ。

6月臨時国会の最終日である2日午後、ソウル汝矣島(ヨイド)の国会本会議場で開かれた第316回国会(臨時会)第10次本会議で2007年第2次南北首脳会談会議録、録音記録物など国家記録院保管資料提出要求案を投票に付して在籍300人、在席276人、賛成257人、反対17人、棄権2人で資料提出案が通過した。 2013.07.02.ニューシス

 だが、セヌリ党と民主党の今回の談合は、政治・社会的攻防を静めるどころか、また別の違法論難を呼び起こすものと見られる。 大統領記録物管理法は、国会の要求がある場合、10日以内に "最小限の範囲内で閲覧、写本製作および資料提出を許容" している。 与野党が‘最小範囲’の閲覧を越えて一般に広く公開することは法違反になる可能性が高い。 一般に公開する場合、法を作る国会が便宜により違法の先頭に立つという批判を避け難い。

 更に根源的な問題は、両党の党利党略的発想だ。 今回の要求案処理でセヌリ党は無責任さを再度明らかにした。 セヌリ党は昨年、大統領選挙を控えてチョン・ムノン議員が持ち出した盧前大統領の‘NLL発言’問題を選挙の争点とした時から大統領記録物の全面公開を主張してきた。 結局、先月国家情報院を通じて無断で機密解除をしたのに続き、直ちに国家情報院が保管中の対話録を言論に流す方式で全面公開した。 政治で相手方を攻撃するために執権与党が南北関係を政略の犠牲にするなど国家運営の基本秩序を傷つける先頭に立ったと批判を受ける理由だ。

 第二には、民主党の自己矛盾だ。 民主党は先月国家情報院が対話録を機密解除した後にセヌリ党議員に公開した時 "クーデター的抗命" 、"不法" と激烈に反発し、ナム・ジェジュン国家情報院長などを検察に告発さえした。 しかし今度は国家記録院原本資料の全面公開の先頭に立つことによって国家情報院の不法性と白昼の政治介入という綱紀紊乱行為をぼかす敗着を置いてしまった。 「国家情報院の対話録公開で、首脳会談の非公開会議内容の一部が多くの国民と言論に知らされることになった」として、もはや秘密ではないという民主党の論理も、先月に国家情報院が前面に掲げた「去る6年間、関連内容の相当部分がマスコミの報道を通じてすでに公開されており、秘密文書として維持しなければならない価値を喪失した」という主張と全く同じだ。 ‘自己矛盾’の論理であり、今後国家情報院の無断公開を追及することがきわめて難しくなった。

 "国家記録院資料の公開によりNLL論難が解消されるだろう" という民主党の期待にも根拠がない。 盧前大統領が南北首脳会談でNLLを放棄するという発言をしなかったという事実は、国家情報院対話録ですでに明らかになっている上に、国民の多数がこれを認識しているという点から見て、追加公開で得る実益が大きくないものと見られる。 しかもセヌリ党の態度を見れば、原本公開にもかかわらず「NLLに対する事実上の譲歩」という‘解釈’が変わる可能性は殆どない。

 以上より、今回の資料提出要求は結局、政争のせいで国家機密が公開される‘悪い先例’として残ることになった。 シム・サンジョン進歩正義党院内代表は議員総会で「これ以上、国家機密資料が政争の手段として使われてはならない」と話した。 キム・ヨンチョル仁済(インジェ)大教授は自身のフェイスブックに文を載せ "文明国家では起きえないこと" と批判し、ユ・チャンソン政治評論家も「今回の国会決議は今後、政治的理由で大統領記録物を公開する先例になりうるという点で憂慮される」と話した。

キム・ジョンチョル記者 phillkim@hani.co.kr

https://www.hani.co.kr/arti/politics/politics_general/594179.html 韓国語原文入力:2013/07/02 22:06
訳J.S(2390字)

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