労働者1人が亡くなり、4人が負傷した京畿道(キョンギド)華城市(ファソンシ)半月洞(パヌォルトン)の三星(サムスン)電子半導体工場のフッ酸流出事故当時、会社側が発表したより20~30倍も多いフッ酸が流出したという政府の調査結果が出た。 三星電子が故意に流出量を縮小したのではないかとの疑いが提起されている。
民主党ハン・ジョンエ議員室が雇用労働部に提出させ16日に公開した‘韓国産業安全保健公団災害調査意見書’を見れば、公団は事件発生当時に流出したフッ酸の量が60リットル以上であると把握した。 公団は 「実測は難しいが(安全保健関連ガイドラインである)韓国産業安全保健公団ガイドに基づいて計算してみた結果、時間当り29.5㎏のフッ酸が漏れ出たし、1月28日午前3時45分から午前6時まで2時間15分に計66.38㎏が漏れ出たと推定された」と明らかにした。 これは約60リットル程度となり、1.5リットル ペットボトル40本分だ。 三星(サムスン)電子が事件初期 「流出したフッ酸は2~3リットルの極微量なので別に問題がなかった」と明らかにしたことに比べて20~30倍以上多い。
公団側は「事故当時11ラインのフッ酸タンク バルブおよびフランジ(パイプをつなぐ装置)部位から漏出が続き、タンク交換が避けられなかったが、タンクを空けて作業せずにフッ酸を供給し続けたので高圧のフッ酸が飛散し大量流出したと推定される」と分析した。 三星電子側の不良対応をうかがわせる内容だ。 雇用労働部労災予防補償政策局関係者は「災害調査意見書は専門家たちの調査結果なので捜査にも活用される。 漏出量が重要な定規ではないが、会社側の過失が大きくなることもある」と話した。
元請け業者である三星電子の不十分な安全管理実態も明らかになった。 亡くなった労働者パク・某(35)氏はフッ酸が空気中に漏れ出た状況でも計22分間パッディング上衣とジーンズなどの一般服装に防毒マスクを着用しただけで室内作業をしたと調査された。 労働者に支給された保護服や安全手袋も酸性物質に対する性能試験を受けていない‘非適合保護具’であった。
ハン・ジョンエ議員は「事故初期に該当工程の作業を中止し、タンクに残留していたフッ酸を除去するなどの初期対処を正しくしていたならば人命被害も、フッ酸大量漏出も防げた筈」と指摘した。 三星電子は「現在、検察捜査が進行中であるので、捜査が終るまで結果を待つ」と明らかにした。
イ・ジョングク記者 jglee@hani.co.kr