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"根拠なき従北罵倒は名誉毀損" …裁判所‘反国家勢力烙印’に制動

登録:2013-02-25 00:03 修正:2013-02-25 07:23
全教組を非難した保守団体らに
控訴審も相次ぎ賠償判決
公益・表現の自由の限界を外れ
‘従北表現’乱発ムードに警鐘
昨年9月25日午後ソウル清渓(チョンゲ)広場で自由民主連合会員たちが‘従北政党解散、従北議員除名、全教組解体 要求100万人署名運動 記者会見’を開いている。 ニュース1

 根拠なく‘従北’という単語を使って特定団体・個人を非難する行為が名誉毀損に該当するという判決が相次いで出ている。 社会的烙印・排斥効果を狙って‘北韓政府に盲目的に従う’という意味を持つ従北という表現を乱発するムードに裁判所が警鐘を鳴らしたものと解釈される。

 21日ソウル高裁民事24部(裁判長 キム・サンジュン)は保守団体‘反国家教育清算国民連合’(反教連)等が全国教職員労働組合(全教組)所属教師が勤める学校の前で‘主体思想で洗脳する従北集団 全教組’と書かれた横断幕を持ってデモした行為などで名誉をき損されたとし全教組が起こした損害賠償請求訴訟控訴審で反教連に‘全教組に5000万ウォンを賠償せよ’として原告一部勝訴判決を下した。

 反教連が横断幕に 「金正日が可愛がり主体思想で洗脳する従北集団全教組、北韓から月給をもらえ」と書いたことに対して裁判所は「原告(全教組教師)が主体思想を教育していると認める何の証拠もない点に照らして、虚偽事実の摘示に該当する」として「これは反国家・反社会勢力と烙印を捺され、その社会活動の幅が顕著に萎縮する可能性があるほど相手方に対する社会的評価を顕著に阻害させる表現であり、全教組の名誉を重大に傷つける行為」と明らかにした。 従北だと非難するには証拠がなければならないということだ。 昨年7月、1審裁判所であるソウル南部地方裁判所民事合議15部(裁判長 ユ・スンニョン)も同じ趣旨の判決を下した経緯がある。

 去る15日ソウル中央地裁民事控訴1部(裁判長 キム・ジョンハク)も全教組所属教師たちに「従北勢力が全教組を率いている」などの手紙を送った保守団体‘教育と学校のための学父母連合’(教学連)を相手に全教組が提起した損害賠償請求訴訟控訴審で名誉毀損を認め200万ウォンの賠償判決を下した。 裁判所は被告が提出した証拠が一時全教組ホームページなどに掲示された資料であることは事実だが、そのうちの一部は外部人士が作成したものであり相当な時間が過ぎただけに全教組の立場を代弁する内容と見るのは難しいなどの理由を挙げた。 1審裁判所も 「全教組を従北団体と描写したことは名誉毀損に該当する」として‘教学連は300万ウォンを支給せよ’で判決した経緯がある。

 相次ぐ判決で裁判所は客観的な根拠のない従北非難が‘表現の自由’や‘公益的目的’では合理化されない‘不当な社会的烙印’という判断を下している。

 教学研に対する名誉毀損判決で裁判所は「(北韓を利する行為が)国家保安法で厳しく処罰される実情を勘案すれば、従北勢力でない個人や団体が‘従北勢力’と名指しされる場合、その個人や団体に与えられる社会的評価が客観的に侵害される」と説明した。 特に‘従北’という単語使用が表現の自由に該当するという教学連の主張に対しては「教学連が提出した根拠は真実と信じるに足る根拠になりえないので表現の自由の限界を外れたもの」と判断した。

 また、反教連に対する名誉毀損判決で裁判所は「虚偽の事実を公表したとしても公益的目的によるものだ」という反教連の主張を受け入れなかった。 公益的目的を前面に出しても虚偽事実に基づいて‘従北’という表現をむやみに使ってはならないということだ。

ホ・ジェヒョン記者 catalunia@hani.co.kr

‘アカ’のように政治・社会的排斥の用語で
MB政府高位公職者まで無分別に使用

裁判所の相次ぐ名誉毀損判決の意味

 ‘従北’という単語は解放以後、韓国社会を押さえつけた‘アカ’の進化した表現に他ならない。 自身と異なる考えを持つ人をアカに追い詰め、理性的な対話と討論を不可能にさせた過去の‘アカ論争’が従北という烙印を利用してよみがえったためだ。

 北韓政権に盲目的に追従するという意味を込めた‘従北’という用語は2007年3月盧武鉉大統領が「親米もして親北韓もしなければならない」とした発言に対して、当時ナ・ギョンウォン ハンナラ党スポークスマンが 「親北韓ではなく従北をしようということ」と批判して初めて公論の場に登場した。

 以後2008年民主労働党分党事態の時、保守言論および保守団体が民族解放派(NL)指向の民主労働党派閥を指し示す用語として使い広まった。 李明博政府になってからは進歩・改革指向の人物・団体を攻撃する用途で無分別に使われている。 ついにハン・サンデ前検察総長は2011年8月の就任式で‘従北左翼勢力との戦争’を宣言までした。

 ハン・ホング聖公会(ソンゴンフェ)大教養学部教授は「韓国戦争時は‘アカ’と名指しされれば即決処刑に遭った。 その単語自体が社会的烙印はもちろん生命を奪う超法規的暴力として使われた。 そのような歴史的経験がある韓国の保守勢力が今は‘従北’という単語を‘アカ’に代えて使っている」と分析した。 ハン教授は「裁判所の相次ぐ名誉毀損判決は従北という単語をむやみに使ってはならないという社会的憂慮を込めた判決であると解釈する」と付け加えた。

 シン・グァンヨン中央(チュンアン)大社会学科教授も「理念対立を煽り政治・社会的排斥の意味をこめて使われているという点で‘従北’という単語は‘アカ’のような機能をするマッカーシズム的用語」と指摘した。

 しかし、一部の極右団体はもちろん保守政治家まで‘従北’用語を依然として乱発している実情だ。 昨年の総選挙でセヌリ党ソウル瑞草(ソチョ)乙地方区に公認を申請したチョン・ミホン前アナウンサーは先月ツイッターに「ソウル市長・城南(ソンナム)市長・蘆原(ノウォン)区庁長他、従北指向の自治体長を全員記憶して来年の地方選挙で退出させなければならない」という文を載せ論議をかもした。

 チョン氏を相手に名誉毀損などで民・刑事訴訟を提起したイ・ジェミョン城南市長は「従北という単語には北韓体制に追従するという意味が含まれているので‘感情的非難’が込められた‘アカ’より極悪な表現だ。 このような単語を使って自治体長などをむやみに非難することを放置すれば、私たちの社会の民主的基本秩序が崩れかねず告訴することにした」と話した。

 ピョ・チャンウォン前警察大教授は「ハン・サンデ前検察総長のように政治的に中立を守らなければならない高位公職者が、一部の政治集団が悪意的に使う従北という単語を使って‘従北左翼勢力との戦争’を云々したことは、民主主義社会では極めて不適切な行為」と批判した。

ホ・ジェヒョン記者

https://www.hani.co.kr/arti/society/society_general/575339.html 韓国語原文入力:2013/02/24 22:37
訳J.S(2946字)

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