李明博大統領の息子イ・シヒョン(34)氏がソウル内谷洞(ネゴクトン)私邸土地買い入れ過程について「父親に言われたとおりにしたし、地価も知らない」として責任を否認したことが明らかになり、李大統領一家の‘不動産実権利者名義登記に関する法律’(不動産実名法)違反疑惑が深まっている。 内谷洞土地買い入れ過程の‘名義信託’が確認されれば、李大統領一家は刑事責任を避けられないものと見られる。
不動産実名法3条は 「何人も不動産に関する物権を名義信託約定により名義受託者の名義で登記してはならない」として他人名義で不動産を取り引きする‘名義信託’を禁止している。 名義信託約定は書面契約が必ずしも必要でなく、口頭で提案し受諾することによっても成立する。
処罰も厳しい。 名義を貸してくれと言った信託者は5年以下の懲役または2億ウォン以下の罰金刑を受け、不動産価格の最高30%を課徴金として払わなければならない。 名義を貸した受託者は3年以下の懲役または1億ウォン以下の罰金刑が規定されている。 名義信託をほう助した人も1年以下の懲役または3000万ウォン以下の罰金で処罰される。 名義信託をそそのかした‘教唆犯’も信託・受託者と同じように処罰を受ける。
内谷洞事件に適用すれば、名義を貸してくれと言った李大統領は信託者、名義を貸したシヒョン氏は受託者、このような方式を建議したと言ったキム・インジョン(67)前大統領室警護処長は教唆犯になる。 ある弁護士は「犯行がなされることを知りながらも、その過程を助けるのがほう助だが、自身の不動産を担保にシヒョン氏に6億ウォンを貸したキム・ユンオク(65)氏は幇助犯になりうる」と話した。 イ大統領とキム・ユンオク氏、イ・シヒョン氏らは全員不動産実名法違反に該当しうるということだ。
法務部が発行した<不動産実名法解釈事例集2012>は 「母娘間の名義信託にも不動産実名法により課徴金を賦課できるか」という質問に「夫婦間、宗中(訳注:同姓同本の一族)の名義信託の場合、租税脱漏、強制執行免除などの目的がない限り課徴金を賦課できないが、母娘間の名義信託にはそのような制限がないため課徴金賦課対象になる」と明らかにしている。 財政経済部が発行した2001年版<不動産実名法解釈事例集>でも、企業の社長が商店に入居した商人の反対座り込みを恐れて会社職員の名義を借りて商店建物を競売で買い入れた場合も不動産実名法違反と判断した。
これに先立って検察は「セキュリティー問題や地価上昇を憂慮してシヒョン氏名義で土地を買い入れ、私邸が建設された後に李大統領が買い戻すことにした」という大統領府の説明をそのまま受け入れたが、この主張が妥当かも疑問だ。 検察のある中堅幹部は「売買契約と所有権移転登記に‘大統領室警護処’名義が露出した以上、セキュリティー問題や地価上昇のためにイ・シヒョン氏を前面に出したという大統領府の説明も理解し難い」と話した。 シヒョン氏に私邸をまるごと‘贈与’しようとしたのではないかという疑惑が提起されざるをえない。
ある地裁の部長判事は「名義信託で起訴になれば、通常罰金刑が宣告されるが、金額が大きかったり税金免脱などの目的があるならば執行猶予や実刑になる場合もある」として「特検が不動産実名法で関連者を起訴しようとするならば名義信託の背景などを正確に捜査しなければならないものと見られる」と話した。
一方、イ・シヒョン氏が内谷洞私邸土地買い入れに名前を貸しただけだとすれば、シヒョン氏は‘背任’疑惑は避けられるが、李大統領には‘ブーメラン’となって戻る可能性が高い。 李大統領が土地購入資金12億ウォンの調達方法まで具体的にシヒョン氏に知らせ、深く介入した以上はシヒョン氏と警護処間で負担額を分けた経緯も知っていた可能性が強いためだ。 名義を貸しただけのシヒョン氏が負担する金額は低くし、大統領府が負担する金額は高めることにより、結果的に国家に損害を及ぼした背任行為に李大統領がどの程度関与したのか、今後特検が解かなければならない核心疑惑であるわけだ。
キム・テギュ、ファン・チュンファ記者 dokbul@hani.co.kr