易占術師の「コンジン法師」ことチョン・ソンベ氏(64)が、旧統一教会の上層部の幹部から「大統領夫人のキム・ゴンヒ女史へのプレゼント」として、ダイヤモンドのネックレスを受け取った事実を検察が把握したという。尹錫悦(ユン・ソクヨル)前大統領夫妻と「関係性の深い巫俗」の疑惑を持たれているチョン氏は、これ以外にも、前回の大統領選後に選挙公認などの各種人事の請託に関与した疑惑が相次いでいる。「ミョン・テギュン・ゲート」が発覚したのはほんの数カ月前のことだ。尹前大統領の周囲には、なぜこのような巫俗と詐欺の関係者が多いのか、嘆かわしい。
ソウル南部地裁仮想資産犯罪合同捜査団は、チョン氏が2022年に旧統一教会の幹部のY氏から、キム女史へのプレゼント用のダイヤモンドのネックレスを受け取った事実を把握した。チョン氏はこのネックレスについて、キム女史には渡さず「紛失した」という納得しがたい陳述をしたという。Y氏が同年5月の旧統一教会のイベントで「私は3月22日に(次期)大統領と1時間の単独面談を行った」と語った事実も明らかになった。チョン氏が、尹前大統領との面会のあっせんや旧統一教会の事業の依頼などの対価として金品を受け取ったのか、金品はどこに流れたのか、疑問が生じている。
検察はまた、チョン氏の自宅と法堂から、現金1億6500万ウォン(約1700万円)の札束と、有力政治家、大企業役員、法曹人、警察幹部など数百人の名刺を発見した。チョン氏の携帯電話には、2022年の大統領選挙後、チョン氏がユン・ハンホン議員ら親尹錫悦派の議員に人事の請託を行い、同年6月の地方選挙についても、これらの議員に市長・郡守・道議会議員候補を推薦した経緯が記録されているという。推薦した4人のうち2人は公認を得て当選した。ユン議員は「チョン氏の公認や人事の請託を聞き入れる立場にはなかった」として関連を否定した。
チョン氏のこのような行為は、尹前大統領夫妻との関係を背景にして行われたと考えざるをえない。チョン氏は前回の大統領選の際、尹錫悦候補の選挙対策本部組織のネットワーク本部に顧問として名前を連ねた。当時、チョン氏が尹候補の肩に手をまわして親密さを誇示する場面が目撃されたことがある。チョン氏はまた、キム女史が経営していた展示企画会社「コバナコンテンツ」の顧問として活動した。尹前大統領夫人の母親のチェ・ウンスン氏とも、昨年9~12月の間に10回、電話で会話した。
尹前大統領夫妻が政治ブローカーのミョン・テギュン氏を軸に2022年の国会議員補欠選挙の公認に介入した事実を示す通話内容の肉声は、国民の耳元に鮮明に残っている。今度は「チョン・ソンベ・ゲート」なのか。チョン氏と尹前大統領夫妻、旧与党の要人の間にどのような取引があったのか、捜査当局は真相をすべて明らかにしなければならない。