臨時祝日に指定された10月1日の「国軍の日」に、またも大規模な軍事パレードが繰り広げられる。多くの兵力と兵器を動員した行事がソウルのど真ん中で2年連続で行われるのは、全斗煥(チョン・ドゥファン)軍事政権以来だ。
尹錫悦(ユン・ソクヨル)政権も異例だということを意識したのか、「言い訳のような説明」をおこなった。「市街で行進を行うのは権威主義国家だけというのは誤解で、経済協力開発機構(OECD)加盟国のうち13カ国が行っており、フランスは毎年実施している」というのだ。そして「市民と共にする文化祭の概念だと考えてほしい」と注文した。
軍に対する文民統制が確立されている民主主義国家も軍事パレードをすることはある。独立日や戦勝日を記念したり戦没者を追悼したりするために、歴史的な節目に軍事パレードで花を添えるのだ。軍事力を誇示するものではないため、概して比較的簡素なものだが、フランスは別格だ。フランスは1880年から、革命記念日の7月14日、いわゆる「バスティーユ・デー」にパリで大規模な軍事パレードをおこなっている。革命の精神を称え、欧州の団結を固める祭のような行事であるため、外国の首脳と軍隊を招待したりもする。
フランス式の軍事パレードは、2017年の同行事に参加した米国のドナルド・トランプ大統領(当時)を魅了した。ワシントンでもそのような祭を見たくなったトランプ大統領は、在郷軍人の日であり、第1次世界大戦終戦100周年でもある2018年11月11日に、大規模な軍事パレードを行う計画を立てた。しかし、独裁国家を連想させる行事に予算を浪費することはできないとする議会と世論の壁にぶつかって実行できなかった。
もともと米国は、大規模な軍事パレードはあまり喜ばない。1991年の湾岸戦争の勝利を記念してワシントンで行われた軍事パレードが異例なほどだ。軍事パレードに軍国主義や全体主義の影を見る見方が強いからだ。準備と実行に莫大なコストがかかることも、軍事パレードを忌避させた。そのため、米国が軍事力を示すのは戦場だけという冗談もある。
トランプ大統領の夢は、2019年7月4日の独立記念日についに実現した。その日、ワシントンでは戦略爆撃機とステルス機が動員された大規模な軍事パレードが繰り広げられた。トランプ大統領はショーの司会者のように兵器を一つひとつ紹介しつつ、米国の統合を力説した。しかし反対者からは、独立を記念するのではなく再選に対する政治的熱望をあらわにしただけ、と批判された。軍事パレードは必ずしも祭として目に映るとは限らない。