本文に移動

[社説]韓国の第1四半期の急成長、「半導体錯視」を取り払い冷静に見るべき

登録:2024-04-26 06:22 修正:2024-04-27 07:31
チョコレートの原料であるココアの国際価格が急騰した中、製菓業界は値上げを切りだすタイミングをうかがっている。写真は大型スーパーのチョコレートコーナーの様子/聯合ニュース

 今年第1四半期の韓国経済が予想を上回る成長を果たしたことが分かった。半導体を中心に輸出の回復傾向が続いた上、民間消費や建設投資など低迷していた内需も改善した。しかし、民間が実感できるほどの景気回復につながるかは依然として不透明だ。

 韓国銀行が25日発表した国内総生産(GDP)成長率(速報値)は対前期比1.3%で、8四半期連続で続いた「0%台成長率」の壁を突き破ったことが分かった。これは2021年第4四半期(1.4%)以来の最高値で、市場予想値(0.6%)を大きく上回ったもの。年率で計算すると5%を越える高成長だ。四半期別成長率は景気の流れを示す指標だが、2022年第4四半期に半導体景気の低迷で0.3%のマイナス成長を記録した後、昨年第1四半期(0.3%)に持ち直したが、以後第2四半期から3期連続で0.6%の増加など弱い回復傾向が続いた。

 第1四半期の成長率を部門別に見ると、輸出(0.9%)の改善傾向が続く中、消費と投資など内需(0.7%)も回復傾向を示した。企画財政部はこの日、異例の背景説明を行い、「輸出と内需のバランスが取れた。成長の持続可能性の面で喜ばしいことだ」だと述べた。

 しかし、企画財政部も認めたように、内需の持ち直しが続くかどうかは断言できない。第1四半期の実績には昨年第4四半期のベース効果が大きく反映されており、依然として内需よりは半導体など輸出依存度が高いためだ。前年同期と比べてみると、このような特徴がさらに鮮明になる。昨年同期に比べた今年第1四半期の成長率は3.4%だが、純輸出(7.1%)の成長寄与度は3.9ポイントだ。輸出増加を主導したのはやはり半導体で、半導体景気が回復局面に入った影響が大きい。これに対し、民間消費は1.1%増にとどまり、内需の成長寄与度はマイナス(-0.4ポイント)だった。その上、先端半導体装置を独占的に供給するオランダの「ASML」の前四半期の売上が27%減少するなど、半導体景気の見通しが明るいとも言い切れない状況だ。

 今の実際の景気は、机の前に座っている人たちが感じる以上に良くない。昨年史上最高額を記録した賃金未払い規模が、今年に入っても40%も急増し、銀行圏の借り入れの延滞率は4年9カ月ぶりに最高値に達した。尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領と最大野党「共に民主党」のイ・ジェミョン代表が一日も早く面談し、内需の活性化と国民が実感できる景気回復対策を出さなければならない理由はここにある。

(お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/opinion/editorial/1138183.html韓国語原文入力:2024-04-25 19:29
訳H.J

関連記事