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[寄稿]あなたたちの差別を許すことはできない

登録:2022-07-08 02:55 修正:2022-07-08 06:19
ハン・チェユン|韓国性的少数者文化人権センター活動家
先月15日午前、ソウル市役所前で、ソウルクィア文化祭組織委の関係者たちがソウル広場使用届についてソウル市行政に対する糾弾記者会見を行っている/聯合ニュース

 先月15日午前9時、ソウル市役所本館8階で「開かれた広場運営市民委員会」が開催された。ソウルクィア文化祭組織委員会(組織委)が提出したソウル広場の使用届を承認するかどうかを審議する場だった。

 「前についているソウルというのは外していただきたい。何だかソウル市が認めたみたいだし、単なる彼らだけの文化祭として進めていただけたら。あれがどうして文化なのかもよく分かりませんし」。ある委員が不満をぶちまけた。ソウル牛乳はソウル市役所が作ったと勘違いされる恐れがあるから、社名を変えてほしいと言うのと同じくらいあきれた発言を、その委員は二度も繰り返した。23年目を迎えるソウルクィア文化祭は、毎年ソウルで開催される地域に根差した行事であり、プンムルペ(伝統的な農楽隊)や踊り、歌や楽器演奏などの様々な公演が行われる文化イベントだ。にもかかわらず名前から「ソウル」と「文化」を抜こうとは。これは次の二つのうち一つだ。自分が審議する祭りについて全く知らないか、あるいは誤った認識を持っているか。

 組織委員会は広場の使用期間を6日間と申請したが、委員たちは「そこまで長く使うことはない」として半分にぶった切って金土日の3日に減らした。その後「現実的に日曜日、今はただでさえキリスト教諸団体が反対しているのに」として日曜日を外した。残りの2日間も多すぎるとして「一般市民との軋轢をそれなりに最小化するという側面から、期間を少し短縮しよう」という提案が後に続いた。ここで言う一般市民とは、祭りの反対集会の参加者を意味する。このような過程を経て、ソウルクィア文化祭のソウル広場使用日は土曜日のみが残った。

 これらすべてのことは、5日に会議録が匿名ではあるが公開されたため知ることができた。当初、委員たちは全面不受理の決定を下そうとしていた。しかし、それはできなかった。新型コロナウイルス流行前に最後に広場を使用した2019年の祭りでは、過剰な露出やいわゆるわいせつ物の販売などの問題はこれといってなかったと報告されたためだ。不受理の大義名分がないと分かると、条件付き受理に方向を転じた。今年は一日はさせてやるが、条件を付けてそれを破れば今後は広場の使用を禁止しようというわけだ。引っかけるのが目標なので、会議では肝心の条件に関する議論はほとんどなかった。ただ一言「上着脱衣」がすべてだ。そしてあけすけに本音をさらけ出す。「もしこのような行為が、程度の問題ではなしに少しでもあれば、責任を取らせて次の受理の可否に影響を与えるのです。不受理となりうる、これを守ってもらうということで」

 露出の程度と関係なく露出がありさえすれば不受理にするという。これは大ごとだ。上着脱衣が「過度な露出」の基準ならば、すぐさま禁止されるような祭りも多いからだ。新村(シンチョン)の水鉄砲祭り、保寧(ポリョン)のどろんこ祭りはどうしろというのか。

 性的マイノリティに対する偏見と差別も問題だが、委員たちの労働認識もめちゃくちゃだ。どうにかして広場の使用時間を減らそうとしたため、夜9時以降に夜通しで舞台を設置し、また夜通しで撤去すれば良いという対話が自然に交わされていたのだ。昼にやってもよいはずの舞台設置をあえて真っ暗な夜にしろというのか。ケガをしたらどうするのだ。舞台設置労働者の安全は関心の外だ。組織委はソウル市と闘って、ようやく金曜日の昼1時から舞台設置の時間を確保したという。

 ソウル広場の使用は無料ではない。組織委員会は広場の使用料を払ったり集会届を出したりと、要求されるすべての手続きを踏んだ。それでも委員会では差別が実にたやすく作動する。祭りに反対する人々は「市民」、祭りの参加者は「少数者」と呼べばよい。市民の意見を反映するためには少数者の祭りを制限せざるを得ないという結論が自然と出る。ソウル広場の目的は「市民の健全な余暇の善用と文化活動」だから、少数者の祭りの制限は当然だ、というわけだ。

 市民ではない少数者はどこかに隠れて暮らしており、いきなりソウル広場に数万人が飛び出してくるのだろうか。少数者も市民だ。16日土曜日、ソウル広場では市民の祭りが、排除されることを拒否する少数者の祭りが開催される。7日からはオンラインで参加するクィアパレードが、15日から31日まではクィア映画祭も開催される。差別を許さない市民なら誰でも参加できる。

//ハンギョレ新聞社

ハン・チェユン|韓国性的少数者文化人権センター活動家 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )

https://www.hani.co.kr/arti/opinion/column/1050092.html韓国語原文入力:2022-07-07 18:02
訳D.K

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