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[社説]尹政権、人事責任者までも検察出身…「検察共和国」の懸念さらに強まる

登録:2022-05-07 08:57 修正:2022-05-16 11:20
大統領秘書室・安全保障室の第2次人選名簿が発表された6日午後、尹錫悦次期大統領がソウル鍾路区通義洞にある大政権引き継ぎ委員会事務所から出てくるところ=引き継ぎ委員会写真記者団//ハンギョレ新聞社

 尹錫悦(ユン・ソクヨル)次期大統領は6日、国家安全保障室と大統領秘書室の秘書官級に対する追加の人選を発表し、人事企画官にポク・トゥギュ元最高検察庁事務局長を任命した。自身が検察総長だった時に検察の一般職事務を統括した人物を人事の責任者に抜擢したのだ。企画官を補佐する人事秘書官には、検察官出身のイ・ウォンモ弁護士が任命された。前日の第1次人選について「検察親衛人事」だとする批判と懸念が強かったにもかかわらず、気にも留めない姿勢だ。特に、人事に責任を負う地位にまで検察出身者を任命したことで、世間は「検察共和国」に対する懸念を非常に高めるだろう。

 今回の人事で確定した尹錫悦政権の人事システムでは、検察出身者が公職候補者の推薦と検証を担当することになる。 廃止される人事首席に代わる人事企画官が、任命職の候補者を選んで内部推薦し、それに対する検証作業は、これまでの民情首席に代わって法務部と警察が分担するという。大統領が任命する公職者は約7000人以上といわれるが、これらの人々に対する任命作業の最初と最後に、全員が検察出身であるポク・トゥギュ氏、イ・ウォンモ氏、ハン・ドンフン法務部長官候補らが就くことになったのだ。このようなことは、過去のどの政権からも類例を見いだせない。この調子なら「検察出身でなければ公職候補にもなれない」という言葉も出てくるだろう。

 ポク・トゥギュ企画官とイ・ウォンモ秘書官が、公職の経歴のほとんどを検察で過ごしたことも、強く懸念される点だ。人的ネットワークは、人事責任者の経歴に比例するケースが多い。歴代の多くの政権が、狭い人材プールに頼って「手帳人事」を繰り返し、それによって様々な失敗を自ら招いたことは、よく知られている事実だ。ポク企画官とイ秘書官の経歴は、検察捜査の補助と一般事務、捜査が全てだ。犯罪者を探しだし処罰する業務以外には経験がほとんどない人に、社会の様々な分野の人材発掘と推薦の責任を任せるというのは常識に合わない。しかも、ポク企画官らは尹次期大統領が検察総長を務めた時に上下関係にあったことから、人事業務の独自性が保障されるかも未知数だ。

 「人事が万事」というが、尹次期大統領はすでに過度なほど検察出身を重用している。大統領室だけをみても、総務秘書官、公職綱紀秘書官、法律秘書官は全員、元検察官あるいは検察一般職出身者だ。今回の人事は、そのような構図に「画竜点睛」を加えたものにみえる。長官候補らの人選でもみられたように、「知っている人、下で働いたことのある人」だけを選ぶのであれば、遠からず深刻な人事トラブルと悪影響に直面することになるという点を、尹氏は手遅れになる前に認識すべきだ。

(お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/opinion/editorial/1041863.html韓国語原文入力:2022-05-06 18:30
訳M.S

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