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[寄稿]親日派、現在進行形の加害者

登録:2021-03-04 03:00 修正:2021-03-04 08:51
チョン・ビョンホ 漢陽大学文化人類学科名誉教授
日本軍性奴隷被害者遺族会などが2日、京畿道議会の少女像前でハーバード・ロースクールのラムザイヤー教授の論文の廃棄などを求める記者会見を行っている=ホン・ヨンドク記者//ハンギョレ新聞社

 米国ハーバード大学のラムザイヤーが「慰安婦は契約売春婦」と主張して波乱を巻き起こしている。戦犯企業三菱の後援で碩座教授となった同氏の露骨な歴史歪曲論文に反論するために尽力している海外の学者たちがいる。軍事独裁時代からろうそく革命に至るまで、韓国の民主化と人権を支援し、国際社会の盾となってくれた70~80代の重鎮教授たちも参加している。

 そのような海外の学者たちに「外部の人間には論じる資格がない」と警告した、韓国のいわゆる「親日」学者たちがいる。一体誰が「外部の人間」なのか。日本軍「慰安婦」問題やナチスの強制労働のような人類に対する犯罪は、時効も国境もない。人類の誰もが当事者だからだ。被害者の側と加害者の側があるだけだ。被害者たちの証言を無視して加害権力の論理を代弁するのは、学問ではなく政治だ。数多くの犠牲の上にかろうじて位置している学問の自由に対する冒涜だ。「権力に立ち向かって闘ったこともない者が!」 今は亡きリ・ヨンヒ教授の痛烈な一喝が懐かしい。

 国籍による資格を論じる彼らは果たして何者なのか。1910年の「韓日併合」の際に、自ら進んで日帝の貴族爵位と土地を受け取った「売国奴」のことを婉曲な表現で「親日派」と言った。1965年の「韓日基本条約」も大韓民国政府が結んだものだ。日本軍出身の独裁者が市民の反対を軍事戒厳令で抑えつけて条約を締結し、受け取った金を被害者の知らぬうちに流用した。2015年の「韓日慰安婦合意」も、彼の娘が大統領だった大韓民国政府が結んだ。10万人以上の被害女性の血の涙をたった10億円に替え、その後は言及しないことにした。このように「親日」の系譜は連綿と続いてきた。帝国主義権力とその助力者たちが結んだ詐欺性の濃厚な条約も、国際間の約束として尊重しなければならないのか。

 「親日」は歴史ではなく常に現実だった。ソウルのど真ん中で平和の少女像をじゅうりんしながらデモする彼らからは、断食するセウォル号の遺族の前でピザを食べながら野次る姿に似た、おぞましい加虐性が感じられる。米国と日本へ行って「慰安婦は偽物だ、強制労働はなかった」と主張する彼ら。どうしてあのように執拗に被害者と共に闘う人々を苦しめるのか。

 私は最近、解放後に自ら加害権力となった「親日派」の歴史の一断面を振り返ってみる機会があった。太平洋戦争末期、日本は沖縄戦を準備するために、武器を運び塹壕を掘る労働力として緊急に朝鮮の若者たちを連行していった。主に慶尚北道の各村から、貧しく力のない人々が動員された。日本人の代わりに朝鮮人の巡査や面書記、郡庁職員、地域の有志たちが彼らを捕まえて訓示し、激励して戦場へと送った。逃げて抵抗した人もいたが、残る家族のために無理して行かざるを得なかったという。

 沖縄に連行された朝鮮人軍夫たちは牛馬のようにこき使われ、戦場へと追い込まれて死に、処刑すらされた。敗戦後、日本は沖縄戦で死んだ日本兵の名を最後の1人まで探し出して称えながら、犠牲となった朝鮮人は何千、何万人なのか、規模さえ明らかにしなかった。どの村の誰々と名指しして連行した日本は、朝鮮人強制連行の記録を隠蔽し、被害者の証言は否定している。

 生き残った朝鮮人たちは解放されて1年が経ってようやく故郷に帰ってきた。残酷な戦場で仲間が死んでいく姿を見、満身創痍の体で帰って来た人々の中には、自らを死地へと追いやった親日警察官や官吏に対する恨みと復讐心を行動に移す人もいた。しかし、米軍政の側に立って新たな権力となった彼らは、真相究明を求める強制連行の被害者を「アカ」だとして弾圧した。

 日帝の反人道的犯罪の被害者に息を殺して暮らすことを強いた大韓民国の歴史を振り返ってみる必要がある。処世術で、あるいは出世のために「親日」となった人々は解放後、保身のために率先して「反共」となり、加害行為を正当化した。冷戦対立や戦争を経て、日本軍出身の将校たちは軍事独裁権力となった。国を代表して植民地支配の補償金交渉を行い、その金を転用した彼らは、またもや被害者たちを沈黙させる加害者となった。

 日帝による強制連行を否定する「親日」は、冷戦理念の陰に隠されていた、未だ回復されていない正義の問題だ。数十年前の歴史上で犯された暴力には直接の責任がないとしても、その行為の結果として得た利益を享受していれば、間接的に過去の犯罪にかかわった「事後従犯」だ。多くの犠牲者の血と涙の上で享受している地位と特権の根源を明らかにしなければならない。加害の歴史を隠すために今も加虐行為を繰り返している親日派は、現在進行形の加害者だ。罪過を追及して責任を問わねばならない。

//ハンギョレ新聞社

チョン・ビョンホ|漢陽大学文化人類学科名誉教授 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )

https://www.hani.co.kr/arti/opinion/column/985237.html韓国語原文入力:2021-03-03 15:16
訳D.K

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