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[社説]北朝鮮は“対南非難”に力を入れるより対話に乗り出すべき

登録:2020-06-08 05:51 修正:2020-06-08 07:45
北朝鮮の青年たちが脱北者による北朝鮮へのビラまきは絶対容認できないと糾弾する群衆集会を開いたと、朝鮮中央通信が6日付で報じた。写真は同日、平壌市青年公園の野外劇場に集まった北朝鮮の学生たちがマスクをつけて集会を行う様子/朝鮮中央通信・聯合ニュース

 北朝鮮が脱北者団体の対北朝鮮ビラまきを問題視し、韓国に対する批判を強めている。北朝鮮は、キム・ヨジョン労働党第1副部長の談話(4日)以降、労働党統一戦線部報道官の談話(5日)、労働党機関紙「労働新聞」と対南宣伝メディアの韓国批判報道(7日)を相次いで出した。

 キム・ヨジョン第1副部長が談話を発表した日、統一部が「北朝鮮へのビラまきを法律で阻止する」という政府方針を速かに発表したにもかかわらず、北朝鮮の批判は激しさを増している。2018年の3回の南北首脳会談以降、韓国への期待が大きかっただけに、「米国の承認がなければ何もできないと言い、手をこまぬいて時間を無駄にしてきた南朝鮮当局」への失望感が深まったものと見られる。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)と経済難にある北朝鮮内部の結束を固める政治的動機もうかがえる。そのような背景を考慮しても、連日、韓国に対して激しい非難を浴びせる北朝鮮の態度は、大変遺憾である。これでは韓国世論の支持を得ることは難しく、むしろ韓国政府の包容的態度に対する否定的な世論を拡散させるだけだ。

 最近の状況で目を引くのは、キム・ヨジョン第1副部長が「対南事業を総括」(統一戦線部談話)して前面に登場した点だ。北朝鮮側が、南北関係の改善はキム第1副部長を通じて行われるべきだというメッセージを韓国側に送ったものと見られる。韓米両国も北朝鮮の立場が「キム・ヨジョン談話」を通じて伝えられた点に注目し、キム第1副部長の地位の変化とその重みを注視すべきということで意見の一致を見たという。

 最近の北朝鮮の態度は、南北関係改善に向けた基本条件と環境づくりを要求しているという分析もある。北朝鮮へのビラまきの中止は、2018年の板門店宣言と9・19南北軍事合意にすでに盛り込まれており、国際社会の対北朝鮮制裁とも無関係だ。北朝鮮が、対北朝鮮ビラ問題を今後の南北関係の風向計にする考えを示したともいえるが、もしそうであれば、もう少し正直に南北接触と対話に乗り出さなければならない。

 韓国政府は、事態をさらに悪化させないよう、状況管理をきちんと行うべきだ。まず、25日に予定された北朝鮮へのビラまきを中止させる必要がある。今月5日、接境地域の市長・郡長協議会は統一部を訪れ、キム・ヨンチョル長官に「国境地域の緊張を高めかねない脱北者団体のビラまき行為を中止させてほしい」という内容の建議文を提出した。対北朝鮮ビラをはじめ南北合意と関連した問題は、脅しや非難ではなく緊密な接触と対話を通じて解決すべきだという事実を、南北当局共に改めて認識すべきだ。

(お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/opinion/editorial/948279.html韓国語原文入力: 2020-06-08 02:39
訳H.J

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