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[コラム]「20年革新政権論」が語るもの

登録:2020-05-14 02:11 修正:2020-05-14 09:11
文在寅大統領が就任3周年を迎えた10日午前、大統領府での国民向け特別演説後、取材陣の質問に答えている=大統領府写真記者団//ハンギョレ新聞社

 4・15総選挙以降、いわゆる「主流交代論」「20年革新政権論」といった期待混じりの展望や主張が出てきている。20年政権論は、共に民主党のイ・ヘチャン代表が2年前に提起したものだが、近ごろ再登場している。これらの主張は、注目に値する内容はかなりあるものの、慎重にアプローチすべきだ。

 主流交代論が代表的だ。今回の選挙で主流が変わり、国のかたちが変わったというのは言い過ぎだ。主流を政界の主導勢力程度に限定するならともかく、社会全体から見れば状況は違う。

 とりあえずマスコミだけを見ても、朝中東(朝鮮日報、中央日報、東亜日報)と呼ばれる保守メディアの力は絶大だ。特に保守一色の総合編成チャンネルは、一般の人々の耳目をつかんで久しい。極右保守を基盤とした財閥体制も強固だ。ウォール街の大手の中に米民主党の資金源があるという話は聞いたことがあるが、韓国でこのような話は聞いたことがない。財界は依然として民主党政権に対する警戒を解いていない。

 ただし今回の選挙で保守メディアの影響力が限定的であることが再び立証されたこと、サムスンのイ・ジェヨン副会長が早くも4世継承をあきらめたことなどは、保守主流体制にひびが入り、生命力が尽きつつあることを示している。それでもまだ私たちは「保守の国」に住んでいる。

 今回の選挙では民主党が5分の3の議席を占めたが、政治地形に大きな変化がなかったという点では、いわゆる「重大選挙」と見なすことはできない。そして「2020年体制」と呼べるほどの新しい内容もない。

 「1987年体制」、すなわち地域対立構図と二大政党制に基づいた古い政治地形が今回も繰り返された。連動型比例代表制による多党制の試みは頓挫した。二大政党の議席差はかなり大きいが、得票率は8.4ポイント差に過ぎない。多党制、合意民主主義、分権、地域間対立構図の克服、リーダーシップの交代などで顕著な進展はない。

 「民主化世代」ともいえる50代の有権者が「汎革新」の主軸として登場したのは興味深い。50代の有権者は今回、汎革新49%、汎保守35%の支持率を示した。若い時に民主化を経験した世代が50代にさしかかり、有権者の構成が変わりつつある。慎重に革新優位の時代を予想できる。

 イ・ヘチャン代表の「20年政権論」は、長期政権に重点をおいているというよりも、主流交代や多数派連合形成の困難を吐露したものと理解される。イ代表は2018年7月、「先の民主党政権の10年間の成果は、わずか2~3年で根こそぎ奪われた。20年ほど連続して政権を担当できる企画をしたい」と述べた。

 米国の場合、ルーズベルト大統領が1932年の大統領選挙で勝利して以降、30年以上も民主党多数派時代が続いた。ルーズベルトは様々な進歩的政策で南部、都市労働者、先進資本分派のニューディール連合を構築した。1932年から1968年の大統領選挙までの10回の大統領選挙において、民主党は7回勝利し、議会はいつも民主党が多数派だった。

 20年革新政権論とは、格差の解消、公正、政治改革、平和などの進歩アジェンダが、時代精神としてかなり長く貫徹される時代を意味する。高位公職者犯罪捜査処などを作って長期独裁を画策する陰謀論程度に考えるべきではない。名実共に主流交代、改革時代を切り開くという誓いや決意と見てもいい。

 保守の一角から「これではヒトラー式全体主義、社会主義になってしまう」との声が上っているのは、敗北主義的な恐れの別の表現にすぎない。これは、韓国民主主義の成熟度と市民の民主的力量を軽く見るものでもある。市民は革新であれ保守であれ、独裁に決然と立ち向かう決意と伝統を持っている。

 保守も、進歩的な時代精神に足並みをそろえて大変身を図らなければ、生き残りの道は開かれない。保守が時代の責務を分かち合う準備ができているなら、進歩優位の時代だからといって政権を担当するなとは言えない。

 韓国の政治において20年連続の政権担当は不可能に近い。民主国家では、おおよそ10年周期で政権が変わる。総選挙の結果などを見れば、2年後の大統領選挙で革新が勝利する可能性はかなり高い。強いて言えば「革新政権10年プラン」程度は現実性があるという話だ。もちろん韓国政治の躍動性からすれば、断言できるものではない。

 金大中(キム・デジュン)、盧武鉉(ノ・ムヒョン)両大統領の民主政権第1期に続き、文在寅(ムン・ジェイン)大統領で開始された民主政権第2期は、名実共に進歩の時代へと進まなければならない。選挙で実現した議席の優位、勢力関係の変化に満足するのではなく、20年、30年を見据えた大改革の時代を切り開かなければならない。

//ハンギョレ新聞社

ペク・キチョル|編集人(お問い合わせ japan@hani.co.kr )

https://www.hani.co.kr/arti/opinion/column/944817.html韓国語原文入力:2020-05-13 18:10
訳D.K

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