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[社説]「ユン・ミヒャン議論」を口実に「慰安婦人権運動」を揺るがしてはならない

登録:2020-05-12 04:38 修正:2020-05-12 08:22
日本軍「慰安婦」被害者のイ・ヨンスさんの記者会見を契機に正義記憶連帯の寄付の使い道などに関する議論が起こる中、10日、鍾路区の在韓日本大使館前の平和の少女像に雨水がたまっている様子//ハンギョレ新聞社

 日本軍「慰安婦」被害の象徴的人物であるイ・ヨンスさんが先週記者会見を開き、市民団体の正義記憶連帯(正義連)の寄付の使い道などに対して問題を提起し、波紋が広がっている。イ・ヨンスさんが30年ほどの「同志」である共に市民党の比例代表当選者のユン・ミヒャン氏(正義連前理事長)と正義連に失望を明らかにすると、慰安婦人権運動自体に対する疑惑提起まで出てきているのは残念なことだ。

 正義連は11日、記者会見を開き、一般寄付金のうち平均41%が被害者支援に使われ、残りは慰安婦問題の研究、追悼事業、歴史教育などに使われたと説明した。野党と一部の保守メディアがユン・ミヒャン氏の娘の米国留学費用に関する疑惑を提起したが、ユン氏は「スパイ捏造事件」の再審で一部無罪を受けた夫の刑事補償金などで留学費用を用意したと明らかにした。

 提起される疑惑に対して正義連とユン氏は詳しく説明して真偽を明らかにし、正義連の運営過程に不十分な点があれば改善する契機にしなければならない。しかし、イ・ヨンスさんの発言を口実に「慰安婦人権運動」を揺るがそうとする政略的意図は、断固として排除しなければならない。野党と一部の保守メディアは、ユン氏を攻撃して朴槿恵(パク・クネ)政権時の韓日慰安婦合意を正当化するのに利用しようとする態度を見せている。これらの勢力は、ユン氏が2015年の12・28韓日慰安婦合意の内容を事前に外交部から聞きながらも慰安婦被害者たちには知らせず、合意が失敗に終わったと主張する。しかし、外交部の「検証タスクフォース(TF)報告書」によると、当時の政府は「被害者団体」と接触はしたが、「最終的・不可逆的解決」や「国際社会で日本批判を自制」などの内容の核心は具体的に説明しなかった。

 「慰安婦人権運動」は一つの団体や個人の専有物ではない。過去30年間に数多くの被害者や活動家、市民たちが共に努力して成し遂げた世界史的な人権運動であることを思い起こさなければならない。日本軍に連れて行かれて多大な苦痛を味わい、長年沈黙を強要された被害者たちは、1990年代の韓国社会の民主化に伴い、口を開いて活動家たちと連帯して歴史的変化を作ってきた。そこに、全国各地から人権活動家や水曜デモに参加した若い学生を始めとする多くの市民が力を加えた。韓日市民社会は歴史を否定しようとする右傾化に立ち向かい連帯した。慰安婦被害者たちは、世界各地の戦地で性暴力にあった女性とも手を握った。このような努力が実り、国連を始めとする国際社会で、戦時性暴力を防がなければならないという人類の普遍的な人権運動として定着した。

 イ・ヨンスさんの発言は傾聴しなければならないが、これを悪用しようとする試みは容認されてはならない。今回の議論を、私たちの社会が慰安婦人権運動の意味をさらに省察し、日本の真の反省と謝罪、被害者の癒しに基づいた解決という目標に向けて、再び手を取り合って進む契機にしなければならない。

(お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/opinion/editorial/944501.html韓国語原文入力:2020-05-12 02:40
訳M.S

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