日本軍「慰安婦」被害者として平和人権運動の先頭に立ってきたイ・ヨンスさん(92)が「水曜集会」への参加拒否を宣言したことで、波紋が広がっている。水曜集会後援金の使途と、ユン・ミヒャン共に市民党比例代表当選者が「2015年韓日慰安婦合意」を事前に知っていたかどうかをめぐり、未来韓国党を中心に様々な疑惑を持ちあがっている中、水曜集会主催側である正義記憶連帯(正義連)は11日、記者会見を開き、立場を明らかにする予定だ。
イ・ヨンスさんが7日の記者会見で提起した問題は大きく分けて2つだ。第一に、正義連が水曜集会などを通じて集めた後援金を被害者にきちんと支給しなかったということだ。10日、国税庁のホームタックスに正義連が公示したこの4年間の年間寄付金募金の内訳を見ると、正義連は2019年の8億2500万ウォン(約7200万円)を含め、4年間で約48億9300万ウォン(約4億2千万円)の寄付を受けた。「被害者支援事業費」の名目で使われた金額はこのうち約9億2千万ウォン(約8千万円)で、募金額の18.8%だ。
一部ではこれについて「被害者はそっちのけで正義連の規模を大きくするのに後援金を使ったのではないか」という批判の声もあがっている。しかし、正義連の寄付金は約半分が目的が決まった「指定寄付金」で、こうした内容は正義連のホームページ後援金募集案内にも明示されている。正義連ホームページには、水曜集会など国内外の活動▽憩いの場「平和の我が家」の運営、そして生存者福祉のための正義記憶連帯活動▽戦時性暴力被害女性支援基金▽戦争と女性人権博物館の運営、関連研究・調査などの募金目的が記されている。事業費もこのような目的に沿って執行された。2018年の執行内訳は、広報に2965万ウォン(約260万円)、記念事業に4550万ウォン(約400万円)、教育に1323万ウォン(約115万円)、海外戦時性暴力被害者に797万ウォン(約70万円)などが使われた。
大邱(テグ)地域で慰安婦問題の解決に向けて活動しているある関係者は「後援金を被害者の支援のみに使うべきという主張は理屈に合わない。正義連の後援金は目的が決まっており、保守陣営の攻撃に備えて徹底的に資金管理をしてきたと聞いている」と話した。民族問題研究所のキム・ヨンファン対外協力室長も「正義連は韓国社会で自分の声を出すことができなかった被害者の問題を戦時性暴力の問題、普遍的な女性人権運動の問題に拡大させるのに寄与してきた団体」だと述べた。当初から、正義連の活動は被害者支援に限られていないということだ。
また別の争点は、正義連を率いてきたユン・ミヒャン当選者が2015年に朴槿恵(パク・クネ)政府が推進した「12・28合意(韓日慰安婦合意)」の具体的内容を事前に知っていたかどうかだ。チェ・ユンギョン共に市民党スポークスマンは同日の論評で「当時、外交部は被害者及び関連団体と具体的な合意内容についていかなる事前協議も行わず、12月27日午後に開かれた韓日局長級協議で全ての事項を決定し、当日夜、ユン・ミヒャン前正義連理事長に合意内容の一部を、機密維持を前提に一方的に通知した」と述べた。これは、「事前に合意に関する内容を知らなかった」というユン当選者のこれまでの主張とは異なる。その後、ユン当選者は韓日慰安婦合意に激しく反対してきた。イさんも記者会見で、「代表(ユン当選者)だけが知っていた。(合意の内容を)被害者に知らせるべきだった」とし、「もし私が知っていたら(10億円を)返したはずだ」と述べた。これはイさんが慰安婦合意に対し反対する立場では同じであるものの、ユン当選者が当時、決定の主導権を握っていたことに対する遺憾を示したものと見られる。