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[ニュース分析]イ・ヨンスさん、なぜ「30年同行」した水曜集会を批判したのか

登録:2020-05-09 06:33 修正:2020-05-09 10:11
「水曜集会はなくなるべき…寄付の使い道わからない」 
会見の波紋に正義連だけではなく連帯者たちも「衝撃」 
正義連側、1億ウォンの振込証などを公開…「募金の内訳は監査を受けて公示」 
団体中心の運動過程で疎外感…比例代表を排除された側の背後説も
日本軍「慰安婦」被害者のイ・ヨンスさん(右側)とユン・ミヒャン正義連理事長が1月に行われた第1421回水曜デモで対話中に抱擁している=イ・ジョンア記者//ハンギョレ新聞社

 28年間、ひたむきに「水曜集会」を続けてきた日本軍「慰安婦」被害者人権活動家たちが衝撃を受けた。被害を先頭で証言してきた被害者のうちの一人であるイ・ヨンスさん(92)が、水曜集会の寄付の使い道などについて問題を提起して「これ以上、集会に参加しない」と明らかにしたからだ。集会を主催してきた正義記憶連帯(正義連)側は、イさんに会って話し合おうとしたが、不発に終わったと伝えられた。

 8日、正義連のハン・ギョンヒ事務総長はハンギョレに「これに先立ち、父母の日を控えてイ・ヨンスさんを訪問する日程が決まっていたが、何度連絡しても電話を受けず、結局訪ねることができなかった」と伝えた。正義連は同日、声明文を出して「過去30年間、ひたむきな気持ちで日本軍『慰安婦』被害者の人権と名誉回復を願い正義連の運動を支持して連帯してきた方々の心に、予想もしない驚きを与え意図せず傷つけてしまった点に対して謝罪いたします」と明らかにした。

 イさんは7日に記者会見を開き「水曜集会をなくさなければならない。参加した人たちが出した寄付がどこに使われたのか知らない」「寄付をハルモニ(おばあさん)たちに支援したことはない」と主張した。これに関して正義連側は同日、2017年の市民募金などを通じてイさんに渡した1億ウォン(約870万円)の口座振込証などを公開して「後援金は正義連が被害者支援の憩い場をはじめとして全国に住んでおられる被害者のハルモニたちの支援に使っている。募金の使い道は定期的な会計監査を通じて検証を受け、公示手続きを通じて公開している」と説明した。

 イさんの記者会見は、単純な金銭的な問題によるものだけではないというのが、関係者の説明だ。映画『アイ・キャン・スピーク』の実在の主人公であるイさんは、2007年に米国の下院外交委員会で日本軍慰安婦被害を直接証言したほどで、被害者運動の象徴的な人物だ。そんな彼女が正義連を中心に展開してきた慰安婦被害者運動で長い間、疎外感を感じてきたことが伝えられた。正義連の内部事情をよく知るある関係者は「日本や保守陣営などからイ・ヨンスさんに対して『偽の被害者』と言われるなどの攻撃があったが、イさんが公開の席で『言うとおりに証言してきたが、なぜ私を保護してくれないのか』と正義連に残念さを吐露したこともある」と語った。

 30年間共に運動してきた正義連のユン・ミヒャン前理事長が共に市民党の比例代表候補として出馬して当選したことも、イさんの気持ちを不快にさせたとの指摘もある。ユン前理事長は「国会で慰安婦被害者問題を解決する」との立場だが、市民社会からは「現場の活動家として仕事をする時とは同じくできないのではないか」という憂慮の視線を投げかけられもした。イさんも記者会見で「私は国会議員のユン・ミヒャンというのは知らない」と言いもした。大邱(テグ)で一人で生活するイさんは最近、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)拡散後に孤立したまま過ごしていたことが分かった。

 イさんの記者会見に同席した「カジャ平和人権党」のチェ・ヨンサン代表が、前回の総選挙の際に共に市民党の比例代表候補から排除されたことに強く反発した点を挙げて、「背後説」を提起する人たちもいる。しかし、チェ代表は同日ハンギョレに「私も(イ・ヨンスさんが)あのような発言をされるとは思わなかった。イさんが現時点で過去を振り返り、空しさを感じているようだ」と背後説を一蹴した。

 これまで慰安婦被害者運動を攻撃してきた極右陣営の攻勢も続くと予想される。イ・ヨンフン元ソウル大学教授は、近いうちに慰安婦問題を正当化する『反日種族主義』の続編の出版を控えて記者会見を開く予定だ。正義連の建物前では既に保守団体が1カ月間の集会申告をした状態だ。

イ・ジェホ記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/society/society_general/944215.html韓国語原文入力:2020-05-09 02:05
訳M.S