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[社説]文在寅政権、経済も「国家品格の跳躍」の機会として総力を

登録:2020-05-11 06:45 修正:2020-05-12 09:29
文在寅大統領が10日午前、大統領府春秋館で就任3周年の国民向け特別演説を終えた後、取材陣の質問に答えている=大統領府写真記者団//ハンギョレ新聞社

 文在寅(ムン・ジェイン)大統領が10日、就任3周年の特別演説を行った。文大統領は国際社会の賛辞があふれた新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の防疫対応の自信を土台に、今回の危機を原動力として「世界を先導する大韓民国」に韓国の国家の品格を跳躍させるとの抱負を明らかにした。

 今は、日常から国際秩序まで、人類の生活の様相全般がCOVID-19以前と以後に分かれるという展望が出ている状況だ。国難の最中に政権4年目を迎えた文大統領が「COVID-19以後」のビジョンを具体化することにより、高揚した国民的エネルギーを結集させる目標を提示したことは時期適切だったと思える。政府は周到綿密な対応により、文大統領の国政構想の実現に力を入れてほしい。

 文大統領は「危機を機会にする」として五つの国政目標を提示した。まず、疾病管理本部の疾病管理庁への昇格など、公共保健医療体系と感染病対応力の強化構想を明らかにした。最近、「梨泰院クラブ」感染を基点に第2の地域感染が懸念される状況であり、先送りはできないことだ。

 文大統領が最も力点を置いたのは、「COVID-19以後」の世界秩序の変動に備え先制的対応策を設けることだ。特に演説全体の半分以上を経済・民生危機克服案の説明に用いた。韓国の情報通信とバイオ技術の力量を基に新成長産業を育成して、優れた防疫インフラを前面に出して「安心の投資先」を探す海外投資を誘致し、韓国を「先端産業の世界工場」にするとの構想を明らかにした。

 さらに、データ収集や活用のインフラ構築と非対面産業の育成などを通じて雇用を新たに創り出す「韓国版ニューディール」を推進すると明らかにした。また、「全国民雇用保険」の基礎を作ると約束した。産業成長の動力確保に留まらず、雇用創出や雇用のセーフティーネットの強化など民生対策までまとめて提示したのは、一歩前進した構想に見える。特に「韓国版ニューディール」推進の過程で「個人情報保護と医療や教育の公共性確保という重要な価値」が守られるようにすると明らかにしたことも注目に値する。

 文大統領は南北関係に関しては、災害や疾病の共同対応などを包括する「人間の安全保障」という新たな安保概念に立って協力方法を探ると明らかにした。まずはCOVID-19の共同対応から出発するものの、南北鉄道連結や個人観光受け入れなどでも、スピード感が出るように南北関係の活路を広げていかなければならない。

 特別演説から気候変動と経済問題を同時に解決するための「グリーン・ニューディール」構想が抜けたのは残念だ。全地球的災害を予告する気候危機の克服を先導する大胆な構想も、深く検討して提示することを期待する。検察改革など未完の権力機関改革案や「協治」などの政界に対するメッセージもなかった。文大統領は「今日は直面している経済危機、また国難克服のための対策に集中した」と説明した。任期後半に「スーパー与党」を作った4・15総選挙の民意には、揺らぐことのない改革推進に対する注文も共に含まれている点もまた忘れてはならない。

(お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/opinion/editorial/944363.html韓国語原文入力:2020-05-11 02:40
訳M.S

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