憂慮されていた新型コロナウイルス感染症(COVID-19)発の「失業大乱」の兆しが現れている。COVID-19で直撃弾を受けた航空業界から先に始まった。格安航空会社のイースター航空が4~5月に全職員の45%に達する750人を退職させることにした。先に希望退職の申請を受けた後、申請者数が目標値に達することができなければ残りの人員は整理解雇する方針だという。1~2年目の見習いの副機長80人余りに対しては1日付ですでに契約を解除した。他の航空士の状況も容易ではなく、大規模な失業の事態に繋がらないだろうかと心配になる。COVID-19事態が長引けば航空業界のみならず、自動車、旅行、ホテル、精油、ガス、石油化学など産業全般に広がることがあり得る。
COVID-19事態による雇用への衝撃が臨時や日雇いなどの脆弱階層に続き大企業にまで移れば、手の施しようもない状況に陥ることになる。大企業の人材構造調整は次には協力業者に広まり、雇用市場が連鎖衝撃を受ける。街頭に追い出された労働者は直ちに生計を脅かされることになり、消費はより一層低迷する。格別の雇用安定対策が至急となった。
政府は、職員削減の代わりに休業や休職を施行する中小事業場に該当の人件費の90%を支援するという雇用安定対策を先月25日にすでに提示している。大企業には65%を支援する。企業のレベルでこの制度を活用し、解雇の代わりに時短労働や部分休職、循環休職制により危機を乗り越えなければならない。経済団体を中心に経営界でこのような認識を共有して歩調を合わせるのが共に生きていく道だ。
政府は雇用維持を誘導する案の追加を模索することと共に、発表済みの企業支援策を雇用維持と連携して施行し、大量解雇の事態を防ぐのに総力を挙げなければならない。文在寅(ムン・ジェイン)大統領主宰で開かれた第2回非常経済会議で明らかにした100兆ウォン(約8兆8000万円)規模の金融支援案は、企業を守るためのものであるだけでなく、雇用を守り雇用安定を果たすのが目標だ。通貨危機の時のように政府の支援が企業を生かすだけに留まり、労働者は失業の奈落に落ちることが繰り返されてはならない。雇用維持を前提に企業を支援しなければならない。
危機の中でも雇用を守るためには、政府の対策に加えて労使の共同努力が切実だ。欧州連合(EU)執行委員会が加盟国に勧告した「ドイツ式労働時間短縮支援策」は参考するに値する。労使の合意で雇用安定と労働時間短縮(賃金削減)に合意すれば、減少した賃金の中の一部を政府が肩代わりする共存案だ。このような苦痛の分担なしには史上初のCOVID-19による危機を解決するのは難しい。